都議会公明党の東京電力管内の原子力発電所の稼働
に関する東京都民投票条例案及び修正案に対する意見表明
本条例案は32万人を超える都民の方々からの直接請求によって提出されたものであり、都議会公明党は署名活動を推進された方々をはじめ、署名をされた多くの都民の皆様の思いを深く受け止めてまいりました。
また、これまでの総務委員会における条例提出者の方々の意見陳述や、条例案に対する各会派の質疑はもちろんのこと、東日本大震災の被災地・被災者支援、復興支援を通じて、数多く寄せられた意見についても真摯に受けとめ、本条例案に対して慎重に検討を行ってまいりました。
こうした経緯を踏まえ、本条例案及び修正案につきまして都議会公明党として意見を述べたいと思います。
まず原案についてでありますが、都民投票の方法は原発稼働の是非を二者択一するものとなっており、多様な都民の意思が正しく反映されないことを確認しました。
すなわち投票する都民一人をとっても、子どもを持つ親の立場の一方で、激しい競争に晒された会社に勤める立場であったりするなど、多様な都民の立場や意思を二者択一にあてはめようとすることは、条例案が求める都民の意思を正しく反映するものとは言えません。加えて、二者択一の投票結果の比較多数をもって都民意思とすることも、合理性を欠くものであります。
また、都民投票を実施するにあたり、条例案で定める投票資格者の掌握方法、投票判断に資する中立公平な広報作成の方法の不備などの課題に加え、条例案に内在する法令違反の問題点のほか、原発稼働の是非は東京電力管内の他の8県や全国にも影響を及ぼすものであり、電力消費地を東京都に限定すべきではないこと、及び都民のみで判断を下す性格のものではないことも明らかとなりました。
そもそも原発稼働の是非については、安全保障も含めた国のエネルギー戦略、電力の安定供給、電気料金への影響、立地地域への配慮、地球温暖化対策など、多様で複合的に考慮すべき事項であります。
よって都議会公明党は、本条例案に反対であります。
次に修正案について申し上げます。
本委員会における質疑で民主党は、原案に対し「不備」と「違法性」を徐に指摘し修正案を提出しました。
しかしながら本修正案は、「法令違反」については修正がなされたものの、「二者択一による投票」「投票資格者の掌握方法」「中立公平な広報作成」などの問題点を解消するものとなっておりません。
それどころか原案の「投票結果を尊重」という文言を削除した上で、原発の「稼働の是非は国が第一義的責任を有し」「立地地域や当該地域の住民の多岐にわたる問題が存在することも考慮する」と修正しております。これでは都民投票を実施すること自体に意味がない、と申し上げるしかありません。
そもそも原案では、原発稼働について「国ではなく東京が」「立地地域ではなく消費地域で」その判断を都民投票に求めており、民主党の修正案は原案とは似て非なるものであります。
よって都議会公明党は、民主・ネットによる修正案、及び共産党による修正案には反対であります。
公明党は、原発に依存しない社会を目指し
一、新しい原発の着工は認めない
一、原発再稼働は、事故の教訓を踏まえた新たな安全基準に則り、判断
一、再生可能エネルギー・省エネ・ムダのない火力発電による安全・安心エネルギー社会の構築
を促進し、次世代へ「安全・安心の東京」を引き継ぐことができるよう、今後とも全力で邁進することをお約束し、意見表明とさせて頂きます。
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