東京都議会の第2回定例会は6月17日から7月1日までの日程で開かれました。都議会公明党は、東日本大震災を踏まえ、とりわけ被災現地への調査団の派遣の結果などを踏まえ、被災地支援や都内の防災対策さらには都内や近郊で発生をした液状化対策等について積極的に政策提言を行うなど活発に議論を展開しました。ここでは本会議での都議会公明党の代表質問・一般質問の論戦の要旨を紹介します。
放射能対策
情報提供や測定による監視体制を強化
福島の事故を受けて都は、雨などの降下物に含まれる放射性物質について、客観的なデータに基づき、健康への影響に関する情報を広く提供します。また、区市町村や保健所に放射線量の測定機器を貸与するなど、監視を強化します。
節電対策
中小企業の自家発電設備導入に助成
震災の影響による電力不足への対応として都は、都議会公明党の主張を受け、中小企業が安定的に事業を継続するために自家発電設備を導入する場合、今年度中の申請については導入費用の3分の2を助成します。
被災地支援
スポーツの機会を子どもたちに
都は被災地域の子どもたちに対し、都内で開催される国際大会など、注目度の高いスポーツ大会に招待します。またホームステイなども含め、東京の子どもたちと合同練習を行うなど、体を動かせる機会も提供します。
安否確認サービス
つながる通信態勢に向け検討に着手
今回の震災では、「災害伝言サービス」の接続が困難になる事態が発生しました。このため都は、安否確認サービスなどについて、通信事業者を含めた協議の場を設置して対策の検討に着手します。
帰宅困難者対策
民間施設での受け入れ拡大を要請
首都直下地震が発生した場合、帰宅できない人の一時待機施設として、駅周辺施設の活用が重要となるため、都は帰宅困難者対策の協議会で民間事業者に対し、一時受け入れの拡大や備蓄の促進への協力を要請します。
保育施設での備蓄品の購入に支援
災害時に都内の各保育・教育機関が長時間の保育を行う場合に、児童が安心して施設で過ごせるように、都は新たに、水や非常食などの購入に要する経費について、包括補助制度を活用し、区市町村を通じて支援します。
液状化対策
予測図の見直しを2012年度末までに
地域ごとの液状化予測図について、都は今後、新たに実施する地質調査のデータに基づいた判定結果を関係各局へ年度内に情報提供します。また、地形や液状化の履歴、土地利用の移り変わりも踏まえ、2012年度末をめどに予測図の見直しを完了させます。
木造住宅などの被害に備え検討委を設置
液状化による建物被害への対策として、都は7月末をめどに専門家を含めた検討委員会を設置します。その上で、木造住宅を含む建築物を対象に都民にとって分かりやすい液状化対策の指針を作成し、広く情報提供します。
都内被災世帯への支 援を具体的に検討
今回の震災で液状化などの被害を受けた都内住宅が、被災者生活再建支援法の支援を受けられないことから、都は国に対し、同法の適用要件の緩和や支援対象の拡大を提案要求していきます。また、都内の被災世帯への支援について、地元自治体と連携しながら今後、具体的に検討します。
木造住宅密集の整備促進
地区を選定し、重点的にモデル事業
都市の防災力を高めるためには、木造住宅密集地域の耐震化や不燃化の促進が重要です。そこで都は、まちづくり施策や税制、居住者の生活支援策などを総動員した新たな手法を検討します。その上で地区を選定し、今後、重点的にモデル事業に取り組みます。
下水道施設の放射能対策
適切に汚泥を処理し、灰は外に飛散せず
都内の下水汚泥や焼却灰から放射性物質が確認されていることから、都議会公明党は汚泥などに対する都の取り組みをただしました。都は下水汚泥の焼却で生じる排ガスについて「煙突から排出される前に高性能のフィルターを通し、アルカリ性の水によって洗うことで、固形物を99.9%以上回収しており、灰が施設外へ飛散することはない」と説明。また、「水で洗った後の排ガスの成分を専門機関で測定した結果、放射性物質は検出されなかった」として、「放射性物質を含む灰が飛散する事実はない」と答えました。今後、都は敷地境界の放射線量測定を毎週実施するとともに、首都大学東京などの学識経験者の意見も踏まえて測定を継続し、その結果をホームページで情報提供します。
警察施設の安全対策
今後4年間で非常用電源装置を整備
災害時に都民の安全・安心を確保するための拠点となる交番や駐在所について、半数以上で非常用電源装置が未設置のため、警視庁では今後4年間で、設置が可能な施設に電源装置を整備します。今回、補正予算に約100施設についての整備費が計上されました。
一般質問から
高齢避難者などに対し都営交通での優遇を検討
70歳以上の都民はシルバーパスで公共交通機関を利用できることを受け、都交通局は、都内に避難している高齢者や障がい者も都営交通の運賃減免などの優遇が受けられるよう関係局と連携して具体的に検討します。
東京版・被災者支援システムを来年度中に実用化
被災者の情報を一元的に管理し、迅速な罹災証明発行などにつなげる「被災者支援システム」について、都は「東京版」のシステムを開発し、来年度中の実用化をめざすとともに、区市町村に導入を積極的に働き掛けます。
被災地支援ツアー
被災地での消費を喚起するため、都は都内旅行事業者と連携して「被災地応援ツアー」を実施します。これは、事業者が企画する「被災地ツアー」に対し、都が協力金を支払うもので、事業期間は今年7月から来年2月まで。延べ5万人泊分について1泊3000円を助成します。福島、宮城、岩手県内での宿泊が対象ですが、2泊する場合、被災3県に隣接する青森、栃木、茨城の各県での1泊も助成されます。ツアー開始は10月ごろの予定です。
災害対策
衛星通信を活用した情報の把握めざす
災害発生時における被災状況の把握について、災害の影響を受けずに情報収集などができる衛星通信が有効な手段であることから、都は、日本独自の観測衛星打ち上げ計画などの動向を踏まえて活用を検討します。