こちらでは都議会定例会の報告等をいたします。

平成23年《第1回定例会の報告》

大阪都構想とか中京都構想、新潟州構想などと喧しいですが、いかにも軽躁の感が否めません。いま必要なのは、場当たり的な思い付きや、付け焼刃の構想ではなく、国のあり方を根源的に問い直す分権改革への議論であります。
石原都政がスタートして、間もなく12年。この間の石原都政の成果は、第一に公会計制度の改革です。例の事業仕分けが、ほとんど目的を達成できなかったのに比べ、行政にコスト意識を反映させ、日々の会計処理や伝票処理の段階から無駄の排除を内部化した公会計制度の改革は、画期的です。
そして、2番目の成果が、ディーゼル規制であると思います。バスや大型トラックが吐き出すあの黒煙を何とかできないものか、と嘆いていた人は決して少なくありません。ところが、それこそ様々な事情から、この問題は先送りされてきました。そこに、真っ向から挑んだのが他ならぬ石原知事であります。
ディーゼル規制が実現しておよそ一年後、乗車したタクシーの運転手さんの言葉が印象的でした。「最近、夕日がやけに眩しいんですよ。やっぱり、空気がきれいになったんですかね」との話には実感がこもっていました。確かに東京の空気は綺麗になりました。これは東京を初め、9都県市が共同してディーゼル規制に取り組んだ成果に他なりません。
大気汚染などの公害対策は、単独の自治体で解決することは不可能です。つまり、石原都政の第3の成果は、広域行政を現実の上で展開し、結果を示したことです。私は今回の代表質問で、この3番目の成果に着目し、改めて広域行政の展開、あるいは地方分権、地域主権改革を展望した道州制の導入に向け、東京都は先導的な役割を果たすべきであると申し上げたいのであります。
元都庁職員の佐々木信夫氏は最近の著書で、130年前の明治時代に画定された都道府県の区分に、今も拘束される必要はあるのか。また、牛馬や人の足しか移動手段のなかった時代の都道府県の範囲は、時代に不適合を来しているのではないか、との疑問はもっともであります。
現在、関西では7府県による「関西広域連合」が発足し、防災、文化、観光、産業、医療、環境などで広域行政の展開に取り組もうとしています。この広域連合は、地方自治法に基づく特別地方公共団体であり、関係自治体が合意すれば短時日に結成が可能です。法体系や行政機構の見直しなど、移行にかなりの年月を要する道州制より、手の届く範囲の未来に実現できる広域連合で課題の解決を目指すというなら、それはそれで一つの判断です。
一方、道州制は、明治維新以来の本格的な国の統治のあり方を問う改革であり、同時に、民主主義の根幹をなす団体自治・住民自治の本来のあり方を追求する試みです。
自民・公明の連立政権下では、国の財政の健全化、地方の活性化という観点から、地方分権改革推進委員会や地方制度調査会、道州制ビジョン懇談会などで議論の俎上に上ったものの、政権交代以降、論議はすっかり影をひそめてしまいました。しかし、分権であれ道州制であれ、これは、国が主導するものではなく、あくまでも地方の側の主導権で実現すべき新たな地方政府を確立であります。その意味で、まず東京から分権改革、地域主権改革の火の手を上げるべきであると思います。
政治、経済、財政、社会保障など、あらゆる面で限界状況を来している今こそ、東京から今後、目指すべき新たな国のかたちの提示が必要であると考えますが、石原知事の見解を求めます。

【財政運営】
続いて財政運営について質問します。平成23年度東京都一般会計予算案は、政策的経費である一般歳出が1.0%減の4兆5,839億円。しかし、投資的経費は3.3%増の8,404億円であり、景気・経済・雇用の拡大に挑む都の姿勢がよく表れています。さらに注目すべき点は、公会計制度改革の視点を取り入れて、新たな事業評価に取り組み、195件の事業の見直し・再構築によって約210億円を確保し、併せて、歳出の厳しい精査によって約890億円の事業費の見直しを行ったことです。堅実な財政運営への真摯な取り組みであると高く評価します。首都・東京には、他の大都市にはない特有の財政需要が存在します。また、後ほど述べますが、これから東京は、本格的な都市の更新時期に入ります。従って、新たな公会計制度などをフルに活用し、東京都は、これまでにも増して、財政基盤の強化に取り組まなくてはなりませんが、知事の所見を伺います。一方、国においては、財政危機が恒常化し、民主党政?権は、なりふり構わぬ歳入、歳出の辻褄合わせに終始し、国民や自治体に大きな不安と不信を与えています。とりわけ、財源確保の手法として導入された、いわゆる「一括交付金」は、東京をはじめとする大都市にとって看過しがたい問題があります。当面は、従来の継続事業が実施できるよう配分される見通しとなりましたが、一部に恣意的な「客観的指標」を導入し、今後それを拡大するとの方針を示すなど、予断を許しません。地方財政の自由度を高めるという、一括交付金の本来の趣旨を生かす意味でも、公平性を歪める恣意的な基準ではなく、大都市の財政需要を的確に反映できる基準を設けるよう、国に強く働きかけるべきであります。見解を伺います。また国は、法人事業税の一部国税化を継続し、来年度も東京から年間1,800億円を超える財源が奪われます。この法人事業税の不合理な暫定措置についても、引き続き撤廃を強く訴えていくべきであると、改めて申し上げておきます。

【東京の都市再生】
 次に、東京の都市再生について質問します。東京はまさに、都市の更新時期を迎えました。平成6年度に、都内区部の下水道普及率が概ね100%を達成したと思ったら、比較的早い時期に下水道が整備された地域では、下水管の老朽化が進み、次々と敷設替え工事が始まりました。下水道のみでなく、水道管も道路も橋梁も、今後、次々と更新時期を迎えます。
財務局の試算によれば、今後10年間で必要とされる公共施設、主に建物の更新費用だけで、およそ8,300億円とされています。公の施設だけでなく、民間のマンションや業務用ビルなども、当然、次々と更新時期を迎えます。
つまり、好むと好まざるとに関わらず、東京は都市の更新時期を迎え、新たな街づくりに取り組まねばなりません。どうせ、やらねばならないのであれば、改めて長期な視点に立って、合目的的で体系的・総合的な街づくりに挑戦すべきであります。
環境への配慮、耐震化の推進、そしてバリアフリーやユニバーサルデザインに基づいた新たな街づくりに、今こそ取り組むチャンスであると言えます。都市の更新時期における、あるべき街づくりの推進について知事の見解を求めます。また、都市の更新に当たって危惧すべき点は、個々の施設や建築物、都市インフラなどが、相互の連携もなく、バラバラに更新・建て替えを進めてしまうことです。これでは、かつてと同じことの繰り返しであり、世界をリードする先進都市・東京の再生にはつながりません。
都市の更新を体系的・総合的に進めるには、目的意識を明確にして、民間の意欲と能力、経済力を最大限に発揮できる枠組みを行政サイドで用意する必要があります。そこにおいて重要なのが、街区のあり方です。
思い切った街区の再編を実施し、大胆な街づくりの構想を促すべきであります。東京都区部のうち、約4,300ヘクタールは、戦災復興や震災復興区画整理によって形成された街区です。これでは、街区規模が小さく、敷地も細分化されているため、利用可能な容積率が低く、都市機能の更新の際の大きな阻害要因になっています。従って、細分化された土地を集約し、街区の拡大を図り、その地域の潜在的な可能性を最大限に引き出す工夫が必要です。
同様に、都心部の街区内の道路についても、思い切って道路指定の弾力化を図り、街づくりの構想や開発計画の自由度を高めることが求められます。既に民間では、韓国・ソウル市のチョンゲチョン(清渓川)を参考に、日本橋の復活構想や、都心部の官民合わせた大胆な街づくりの構想が議論されています。放置しておけば、こうした構想は日の目を見ず、都市の効率的な構造の構築や東京の誇るべき景観は形成されません。
街区の大型化と公共施設や都市インフラの再編、さらに、民間の構想力や実務能力、経済力を総合化して、活力と魅力に満ちた東京の再構築を実現するため、大街区化を促し今までにない斬新な開発プロジェクトを進めるべきです。見解を求めます。
関連して、政府の地域戦略会議は、「地域主権」の観点から、都から区市町村への都市計画の決定権限や、多摩地域における市町村への用途地域の決定権限の委譲などを行おうとしています。 分権を進めることに異論はありませんが、一方で、広域プロジェクトを阻害し、あるいは首都機能の一体的整備を損なう恐れがあります。都は「東京の都市づくりビジョン」に基づいて広域自治体として、区市町村との連携を適切に行う必要があります。都市計画や用途地域の決定権限の分権化について、都の見解を求めます。

【気候変動】
 次に、地球温暖化による気候変動について質問します。気候変動における政府間パネル「IPCC」作業部会の前議長であるマーティン・パリー博士によると、2050年までに50%の温室効果ガスを削減しても、なお2100年には平均2度の気温上昇があり、削減しない場合は平均4度の気温上昇が不可避であると警告しています。つまり、可能な限り温室効果ガスを削減しても、地球の温暖化は止めることが出来ず、異常気象をはじめとしたマイナスの影響は避け難いということであります。北極海の解氷、北米大陸への巨大ハリケーンの襲来、ヨーロッパにおける熱波の発生、そして国内の集中豪雨や猛暑の襲来など、世界各地で発生している異常な自然現象が、今後も引き続き多発する可能性が極めて高いと言えます。従って重要なことは、これまでと同様、温暖化対策を継続的に実施すると共に、避けがたい温暖化の進展に対する「適応策」への取り組みを開始することです。高潮、洪水、集中豪雨など、温暖化を原因とする異常気象や災害に対する「適応策」を、今後は計画的・体系的に実施する必要があります。
そのために、まず都庁内に局横断的な検討組織を立ち上げ、「10年後の東京・実行プログラム」で実施する気候変動の影響調査を踏まえた、東京独自の「適応策」の策定に早急に取り組むべきです。見解を求めます。

【地球温暖化対策】
 関連して、下水道局が進める温暖化対策について質問します。下水道局が排出する温室効果ガスは、都庁全体の約4割。そこで下水道局は「アースプラン2010」を策定し、汚泥処理などの過程で発生する温室効果ガスを、2020年度までに2000年度比で25%以上削減する目標を掲げました。これまで、日本で初となる汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉の導入などにより、温室効果ガス削減に多大な成果を挙げました。都の「地球温暖化対策都庁プラン」で定めた削減目標値の約8割を、下水道局で達成したことは評価に値します。このような効果の高い対策は、さらに拡充すべきです。汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉の、今後の導入・活用の方針を明らかにすべきですが、見解を伺います。

【金属資源のリサイクルについて】
 環境問題に関連して、金属資源のリサイクルについて質問します。昨年来、金、銀などの貴金属や、レアメタル、レアアース等の金属資源の獲得競争が激化してきました。
 電気製品や電子機器の内部で使用され、再利用されないまま眠っている国内の金属資源の量は、金・銀などの貴金属が7万トン、インジウム、リチウムなどのレアメタルが100万トン、ネオジムなどレアアースが30万トンといわれ、しかも、その1割以上が都内に蓄積されていると推計されております。この貴重な金属資源を回収し、効率的にリサイクルするシステムを構築できれば、東京は世界でも有数の「都市鉱山」となります。その手始めとして公明党は、国に携帯電話等の回収システムの構築を提言し、実現させました。都は、携帯電話に限定することなく、それこそ、世界最大級の「都市鉱山」の開発に着手し、都内に埋蔵されている金属資源のリサイクルに、本格的に取り組む体制を整備すべきでありますが考えますが、見解を求めます。また併せて、金属類の中には環境や人体に有害であり、環境における循環の輪を断ち切らなければならないものもあります。その一つが水銀であり、環境中に放出されると食物連鎖による生物濃縮等で、環境リスクが拡大します。近年、日本国内の使用料は減少しておりますが、依然として血圧計、蛍光灯、ボタン電池など、身近なところで使用されております。環境負荷低減のためには、使用を削減していくとともに適正処理が重要です。  特に、水銀含有製品の使用量・廃棄量ともに群を抜いて多い東京では、製造・販売・処理の各分野において、行政として協議機関を設け、先導的な回収・処理対策を打ち出すべきと考えます。都の見解を求めます。

【高齢者医療】
 次に、本格的な高齢時代を前にした都の対応について質問します。まず、医療体制の整備であります。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、東京都の75歳以上の高齢者人口は、今後20年で約86万人増加し、211万人に達する見通しであります。一方、都の調べによると、平成20年度の高齢者の死亡総数は8万979人で、このうち8割の方、およそ6万4000人が病院で亡くなっています。ところが、一般病床及び療養病床の数は、現在、都内で、総計9万5,744床にとどまっています。この病床数は、厚生労働省が都道府県ごとに定めている数ですが、今後、確実に高齢化が進展し、入院を必要とする人が激増すると予想される中、現状の基準病床数で対応が可能なのかどうか、極めて疑問であります。都の医療体制の整備方針、具体的には病床数の確保について、見解を求めます。  一方、本格的な高齢化を迎え、これまで以上に多く高齢者が、複数の医療機関や介護施設、自宅等を行き来することが予想されます。現在、こうした機関等の連携・調整は、主に、院内に配置されているメディカル・ソーシャル・ワーカーが担っておりますが、全ての病院に配置されているわけではなく、これには限界があります。 「病院」「介護施設」「自宅」などの間の移動・調整を円滑に進める仕組みを構築すべきです。見解を求めます。

【高齢者の住宅】
次に、高齢者向けの住宅整備について質問します。都は昨年9月、今後5年間を視野に入れた「高齢者の居住安定確保プラン」を策定・公表しました。本プランは、住宅施策と福祉施策が連携して、高齢者がニーズに応じた居住の場を選択できるよう、計画的に事業を進めるものとして評価できます。高齢者の住宅問題は緊急性の高い課題であり、施策展開のスピードが重要です。まずは、福祉保健、都市整備両局にまたがる実務者レベルの機動的な実行組織を早急に設置し、計画の迅速な展開を図るべきであります。
また、欠かせないことは、賃貸住宅として供給する場合、医療・介護連携型であっても、平均的な国民年金受給額の6万円強で入居できる家賃設定の実現です。こうした住宅の供給を加速化するため、低額な家賃設定が難しければ、助成制度の拡充なども検討すべきです。見解を求めます。関連して、住宅供給公社の少子高齢対応について質問します。都議会公明党は、昨年の予算特別委員会で、公社に少子高齢に対応する「検討組織」を設置するよう求めました。これに対して公社は、昨年4月「少子高齢対策室」を設置し、高齢者向け住宅の検討などを進めてきたはずですが、現段階での検討の結果を示していただきたいと思います。また公社は、公明党の要請を踏まえ、既存住宅の抜本的なバリアフリー化を進める「住戸改善」を、試行的に実施するとしていますが、こうしたハード面のみではなく、地域コミュニティの活性化などソフト面の取り組みも重要であります。ハード、ソフト両面の取り組みについて、方針を明らかにしていただきたいと思います。高齢者の住まいの安定と質の向上を図るためには、家賃が低廉な都営住宅の拡充・整備が不可欠です。都議会公明党は、昨年の第2回定例会の代表質問で、都の財政再建の過程で採用された、建替え後の狭小な間取りの見直しを求めました。特に1DKの居室については、単身高齢者の居住空間としても余りにも狭小であり、介護ベッドが入らない、子どもや孫が訪ねて来ても居場所がなく介護ができない、寝室と居室が一体で訪問客を招き入れることができない、などの切実な声が寄せられています。折から、無縁社会における高齢者の孤立化の問題が提起されており、高齢者の住居には一定の配慮が必要です。そうした意味で、将来は1DKを原則廃止し、2DK等に切り替えるべきと考えますが、まずは、現行の1DKを、より使い勝手の良い間取りに変更すべきであると考えます。都の見解を求めます。また、我が党は、近い将来、耐用年数を超える都営住宅が大量に発生し、住宅のセイフティーネット機能が損なわれることがないよう、年4000戸とされている建替事業の加速化を強く訴えてきました。今後とも、建て替え事業の進展を強く求めます。

【一人暮らし高齢者支援】
 次に、独り暮らし高齢者への支援について質問いたします。無縁社会、高齢者の孤立化は、「孤独死」の発生を招きました。今や日本は、誰にも気づかれずに亡くなる「孤独死」が、年間で3万人以上も発生する社会となっています。中には、身元すら判明せず、無縁墓地に送られる方もいます。かつてよく言われた「向こう三軒両隣」は最早、昔話でしかなく、日本の社会構造は大きく変化しました。企業の雇用制度の変化による「社縁(会社による縁)」の崩壊、未婚の増加や家庭の崩壊、親族関係の希薄化による「血縁」の弱体化、都市型社会の匿名性の高まりや地域コミュニティの劣化による「地縁」の崩壊などが、「無縁社会」をもたらしたと指摘されています。
現実に、東京都においても、75歳以上の高齢者の内の20%、約25万人が独り暮らし高齢者で、その数は、年々増え続けています。こうした独り暮らし高齢者が、孤独死に陥らないためには、地域による見守り機能が不可決であり、その機能は、地域包括支援センターに期待されていました。しかし、同センターは、業務の大半がケアプランの作成に費やされ、独り暮らし高齢者の見守りまで手が届かないのが実情です。
そこで東京都は、区市町村から委託を受けたNPOや民間介護事業者などが、独り暮らし高齢者の緊急通報や相談などに24時間365日体制で対応し、必要に応じて個別訪問も行う「シルバー交番」制度を、平成22年度から発足させました。
現在、この「シルバー交番」は、都内で3か所設置されていますが、まだ、その数は十分とは言えません。区市町村が「シルバー交番」の設置に踏み切れない原因の一つは、事業の継続性に不安があるからです。従って都は、事業の継続を明確にし、人口や地域の実情に応じて、計画的に設置できるよう、区市町村への支援を明らかにすべきであります。都の見解を求めます。また、独り暮らし高齢者への生活支援に欠かせないのが買い物支援です。過疎地はもちろんのこと、都心部の団地や中心市街地においても、地元の小売店の撤退が相次ぎ、移動手段を持たない高齢者にとって、日常の買い物が困難になっています。そこで、まず一人暮らし高齢者の、買い物を初めとする生活支援の必要性について、都の見解を求めます。
こうした中、一部の商店街やNPOなどが、移動販売や宅配サービスなどにより、独り暮らし高齢者の買い物支援を行っていますが、運営資金の捻出で行き詰まっているのが実態です。
東京都は、「新・元気を出せ!商店街事業」の中で、「福祉」「環境」施策と連動した事業に、5分の4の助成を行っ?ています。平成22年度では、街路灯のLED化にほとんどの予算が費やされましたが、新年度予算案では、新たに10億円のLED化の予算が盛り込まれました。
従って、「新・元気を出せ!商店街事業」の特定施策推進型商店街事業に、高齢者の見守りも兼ねた買い物支援事業を加えることは十分に可能です。都の見解を求めます。

【がん対策】
 次に、がん対策について質問します。公明党は国会において、がん対策を国家プロジェクトに位置付け、「がん対策基本法」の制定に取り組んで来ました。東京都においても、「がん対策推進計画」の中で、高度ながん医療や緩和ケア、がん登録の推進などを主張してきました。とりわけ、放射線治療に関しては、手術に過度に傾斜した、がん治療を改め、欧米並みに手術・放射線・抗がん剤による、効果的でバランスの取れた治療の普及を主張してきました。よく知られている通り、がん細胞のみに放射線を照射する治療法は、患者への負担が少ない効果的な治療法として、がんの専門医からも期待されています。特に最新型の機器は、常に動きのある肺などの細胞に対しても、ピンポイントで放射線を照射することが可能で、周辺細胞に損傷を与えません。従って、患者への負担を最小限のとどめ、午前中に治療を施せば、午後には帰宅が可能とまで言われています。こうした最新鋭の放射線治療器を都立病院に導入し、がんに対する都民の不安を和らげるべきであります。がん治療の拠点病院として機能が一新される駒込病院にこそ、こうした機器を導入すべきでありますが、都の放射線治療体制の強化について、見解を求めます。これまで、日本のがん治療に欠けていたのは、治療の初期段階からの「緩和ケア」であります。東大病院の中川恵一准教授によると、欧米では、がんの初期の段階から緩和ケアを行うのが一般的で、モルヒネなどを適切に処方した場合、生存率が高いとされています。モルヒネに対する忌避感の強い日本では、なかなか緩和ケアが普及しませんでしたが、患者本人の療養生活の質を高め、家族の精神的苦痛を軽減する意味でも、必要かつ十分な緩和ケアを、治療の早期から提供する体制を構築すべきです。  そしてそのためには、従事する医療人材の育成が急務であり、都は都議会公明党の提案を受け、平成24年度までに、がん医療に携わる都内の全医師に緩和ケア研修を行う方針です。これまでの研修の成果と今後の方針について、都の見解を求めます。
併せて、がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅医療における緩和ケアを実施できる体制を整備すべきですが、今後の緩和ケアの普及促進について、見解を求めます。がん治療を、適切かつ効果的に実施するために必要な制度が「地域がん登録」です。これは、がんの罹患率や生存率を把握するための仕組みであり、がん対策の有効性を評価するために不可欠です。都議会公明党はこれまで、院内がん登録を実施する医療機関を増やし、地域がん登録の実施につなげていくよう主張してまいりました。現在、院内がん登録は、がん診療連携拠点病院と認定病院の32か所で実施されています。一方、地域がん登録について都は、平成24年度の事業開始を目指して、具体的な検討を行ってきたと聞いています。
精度が高く、効果的な地域がん登録を実施するためには、それにふさわしい体制の強化が必要であり、それと同時に関係する保健・医療機関との連携や、何よりも住民の理解と協力を得るための意識啓発?が欠かせません。都の見解を求めます。

【小児総合医療センター】
 次に、昨年3月に開設した、「都立小児総合医療センター」における小児専門医療の充実・強化について質問します。患者が増えている気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど小児アレルギー疾患対策の強化が急務です。都が平成21年度に行った「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」では、3歳までに何らかのアレルギー症状が出て、診察を受けている小児の割合は38.8%と非常に高い結果が出ています。しかも発症の低年齢化、治り難くなる難治化の傾向も見られます。こうした状況に対応するためには、アレルギー疾患に精通した専門医の育成のほか、保健師、看護師、薬剤師、栄養士等においても、アレルギー患者に適切に対応できる知識・技能を習得する必要があります。さらに、専門の看護師等が治療管理や生活管理を行う「小児アレルギー・エデュケーター」の活用が有力な取り組みとして注目されております。そこで、小児総合医療センターのアレルギー科の機能さらに拡充するため、こうした専門知識や技能を身につけた医療人材によるチーム医療を強化すべきですが、見解を求めます。

【小児精神医療】
 次に、小児精神医療の拡充について質問します。児童・思春期の精神疾患は、精神遅滞や自閉症などの発達障害、摂食障害や不登校を伴う心因性精神障害など、さまざまな障害が発生します。小児総合医療センターでは、児童・思春期の精神疾患に対応するため「子ども・家族支援部門」を設置しておりますが、児童・思春期の時期においては、患者・家族にとって最も身近な存在の看護師の関わりが極めて重要です。平成19年より、精神科認定看護師制度が改正され、「児童・思春期精神看護」も含め、関わる領域が10分野へと拡大され、専門性を活かす活躍の場が広がりました。この看護のスペシャリストともいうべき認定看護師が、今後の小児精神医療を支えていく上で極めて重要です。「児童・思春期看護」認定看護師の今後の育成方針について、都の見解を求めます。

【障害者福祉】
 次に、障害者施策について質問します。 自立支援法に定めるサービスの本人負担率は、公明党などの主張で平成22年9月、かつての一律10%から、実質0・37%に軽減されました。その後、昨年12月には法律の改正が行われ、応能負担の明確化がされました。今後は、現政権下においても、政省令等で確実に改正が実施されるよう、監視を強めていく必要があります。  東京都においても、障害者福祉が着実に改善の方向に向かうように、改めて政策提言や改善要求を強く政府に働きかけるべきであります。都は、「10年後の東京・実行プログラム」において、「世界に誇る福祉健康都市」を掲げました。そこで、東京都が描く今後の障害者福祉について、知事の抱負を伺います。 障害者福祉の充実には、住まい、雇用、社会参加の三つの視点に立った取り組みが重要です。特に居住の安定は、特に重視しなくてはなりません。都は平成23年を、3か年プランの最終年として、グループホーム・ケアホームなどの整備に取り組んで来ました。この計画の新年度での事業見通しについて、まず明らかにしていただきたいと思います。  関連して、グループホームやケアホームなどに適さない重い障害を持つ方々には、地域における入所施設の整備が大きな課題であり、今後の検討を求めておきます。
次に重要なのは、雇用であります。一般に、障害者の雇用は景気や経済の動向に左右されます。しかし、その経済の見通しは、政権交代後の混乱によって一層、先行き不透明となっています。そこで着目したのが、福祉施設での就労拡大であります。予算復活要求でも申し上げましたが、都は新年度より、企業への一般就労に加え、特別支援学校の卒業生などの若年障害者を中心に、福祉職場での雇用創出に力を入れていくべきであると考えます。見解を求めます。 また、障害者の方々の生きがいと社会参加のために、強く要請されているのが、「移動支援」です。昨年12月の法改正で、重度の視覚障害者向けの移動支援が新たに個別給付に加えられましたが、まだ多くの課題を残しております。都は現在、区市町村事業に4分の1の補助を実施していますが、移動についてのガイドラインなどを示していないため、都立特別支援学校に通う生徒同士でも、利用できるサービスが異なっています。
そこで、都内の障害者の皆さんが、等しく移動支援サービスを受けられるように、サービス全体の底上げを図るべきです。見解を求めます。

【精神障害】
次いで、精神疾患の早期発見、早期対応ついて質問します。自立支援法に基づく「精神通院医療」認定者数は、最近の5年間で約2万5千人増えており、平成22年3月現在では13万7000人に上っています。
精神疾患が重症化し、本人の苦しみや家族の負担が増す前に、精神疾患を早期に発見し、適切に治療へと結び付ける工夫が必要です。  精神疾患の早期発見のためには、精神科治療の知見を備えた一般診療科の医師を増やし、日常的な診療の際に、発見・対処する方法が効果的です。また、専門的な精神科治療が必要となる場合であっても、身近な医師からの紹介であれば、精神科病院への抵抗感が和らぎ、スムースな受診に繋がりやすいと考えられます。
都は、精神科と一般診療科の二人主治医制を目指していますが、精神科と一般診療科の連携による、精神疾患の早期発見・早期対応のためのシステムを構築するべきです。見解を求めます。また、一般に精神診療機関は予約制となっています。そこで都は、急な治療や入院の必要が生じた場合に備え、それぞれの症状に適した治療機関を選択できる情報提供ネットワークを構築すべきです。見解を求めます。
都の新年度予算案では、地域に戻ったものの、生活が困難になっている精神障害者を対象に、訪問型支援を本格実施するとしています。これは、重症化している精神疾患への対応策として有効ですが、一方で、初期の精神疾患への対応も欠かせません。
初期の患者は、塞ぎがちになり、引き籠りに陥っていても、専門機関の診療を受診しない事例が多く、家族の大きな悩みの種となっています。都の訪問型支援の対象を、こうした軽症者にまで拡大する必要があり、そのためには、民間診療機関の幅広い協力が不可欠です。都の積極的な働き掛けを求めたいと思いますが、見解を伺います。

【音声ガイド付き映画】
 次に、映画のバリアフリー化について質問します。「耳が不自由な人のため日本映画に字幕を」との、かつての都議会公明党の質問に対し、映画制作の経験を持つ知事は、全ての人が映画文化に触れることのできる社会を実現したいと答弁で表明されました。平成19年6月本会議における、この知事答弁が反響を呼び、その後、国の著作権法改正につながり、日本映画に字幕を付ける取り組みが大きく前進しました。日本映画製作者連盟によれば、今では公開作品の6割以上が字幕付きになったそうであります。 一方、目の不自由な方が、劇場で映画を楽しめるのが音声ガイドシステムです。このシステムを使えば、セリフだけでなく、場面の状況説明を音声ガイドで聴くことができ、情景を思い浮かべながら作品を楽しめます。昨年、このシステムで「ノルウェイの森」を上映した都内の映画館には、盲導犬を連れた人や、杖をついた方たちが列をなしたそうです。しかし、残念なことに音声ガイド付き映画は、年間800から900本の国内公開作品の内、わずか4、5本に過ぎません。音声ガイドを付けて上映にこぎつける作業が、数少ないNPOや企業の社会福祉活動などに依存しているため、限界があるからであります。目や耳の不自由な人も、話題の映画を劇場で楽しめるように、字幕とともに、音声ガイドを提供する映画のバリアフリー化により、障害者に対する情報保障を進めることが必要と考えますが、知事の所見を伺います。こうした映画のバリアフリー化を推進していくためには、制作会社の理解・協力はもとより、広く各種イベントの主催者や、映画を所管する国に対しても、対応するように働きかけていくことが必要と考えますが、都の見解を求めます。

【スポーツ振興について】
 映画の次は、スポーツです。東京都が平成25年に、国体と全国障害者スポーツ大会を一つのスポーツの祭典として、「スポーツ祭東京2013」を開催することは、障害者スポーツの普及に向けた大きな契機となるものです。言うまでもなく、障害者の皆さんの生きがいと社会参加の実現には、スポーツの果たす役割が少なくありません。
しかし、障害者スポーツの振興は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。障害者スポーツを支える指導員やボランティアなど?の人材の養成や、障害者が身近にスポーツを実践できる環境の整備など、中長期的なビジョンを明確にして、体系的・継続的に取り組んでいくことが必要です。
そのため都は、「スポーツ祭東京2013」にも備え、障害者スポーツ振興のための中長期的な指針を策定すべきと考えますが、知事の所見を伺います。

【教育】
 続いて教育、学力の向上策について質問します。国際的な大競争の時代、日本が誇るべき資源は、やはり人材です。将来の日本と東京を展望して、教育の質を高め、学力と体力の向上を中長期的な戦略で実現して行かなければなりません。これには、公立・私立の学校総体の取り組みが求められます。
しかしここでは、まず学力向上のための学力調査の在り方の改善を求めます。現在の学力調査は、試験を実施してから、結果が届くまで、およそ半年もかかるそうです。そもそも学力調査は、その時々の児童・生徒の学力の現状を把握し、その後の学習と授業の進め方の参考するものです。それが、結果が分かるのは半年後というのでは、意味がありません。
学力調査の結果を、教育現場に反映させ、授業の改善、学習効果の向上に繋げるため、都と区市町村が連携して、教員の負担に配慮しながら、学力調査の実施方法の改善と、結果の分析、課題の整理などに取り組むべきですが、所見を伺います。  体力の向上策も重要です。全国調査によれば、東京都の中学2年生の男子の体力は、47都道府県で46番目となっています。原因は、外遊びの不足、室内ゲーム時間の増加、塾通い等で、慢性的な運動不足に陥っていることです。  先日、都議会公明党は、体力向上のモデル校を2校視察しました。そこでは、例えば、足の健康というテーマで足裏のフットプリントを撮って健康状態を調べたり、咀嚼ガムにより口の中の健康チェックを行ったり、家庭同士が工夫を凝らした食事情報を交換するなどの取り組みを行い、半年で際立った効果が出ているとのことでした。このような効果が実証された事例を公表し、他校にも普及させるべきであると考えますが、見解を求めます。

【耐震化の推進】
続いて、今定例会に提出された条例案について」質問します。最初に、「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」について質問します。オフィスビルやマンション等の倒壊により幹線道路が閉塞し、避難・救急、緊急物資の輸送、復旧・復興に大きな支障をきたした、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、幹線道路沿道の建築物に対し耐震診断を義務化する本条例は、切迫する首都直下地震対策として評価します。 本条例は、緊急輸送道路のうち特に沿道建築物の耐震化を図る必要があると認める道路を「特定緊急輸送道路」に指定し、その沿道建築物の所有者に対して、耐震診断を義務付け、耐震改修を促すものです。緊急輸送道路の沿道建築物の耐震診断と耐震改修は、道路の起点から終点まで一体的に実施しなければ効果はありません。しかし現状では、建物が立地する区?市町村によって助成制度が異なることから、その進捗状況に格差が出てしまう恐れがあります。路線全体の一貫した耐震化の実現について、都の見解を求めます。さらに今後の課題として、耐震改修をさらに促進させるため助成額の拡充を図る必要があります。また、耐震診断の結果、改修に止まらず建て替えが必要になった場合、助成制度に加え、建て替えを促すに十分な容積率の緩和などの誘導策が不可欠です。見解を伺います。

【暴力団排除条例】
 次に、東京都暴力団排除条例について質問します。
昨年、都議会警察消防委員会で福岡県と久留米市を訪問し、福岡県の暴力団排除条例について説明を聴き、福岡市と久留米市では、抗争の舞台となった閉鎖中の元暴力団事務所を視察しました。
久留米市で伺った話では、抗争が激しかった時期、住民が鋭い発砲音を聞き、表に飛び出してみると、事務所前の路上に旧ソ連製のカラシニコフ機銃が放棄してあったといいます。民家や商店が密集している地域で機銃の掃射があるなどということは、なかなか想像し難いことですが、まぎれもない事実です。また一方で、薬物汚染や闇金融、オレオレ詐欺などの背景に暴力団の影が見え隠れすることも周知の事実です。
近年、全国的な不況の影響で、地方の暴力団が上京し、東京を舞台に資金集めに力を注いでいるとの情報もあります。都民の安全・安心を守る責務を負った都政にとって、こうした状況は決して無視できません。従って、警視庁がこの条例案を提出したことは歓迎します。その前提で、2点について質問します。
まず、第16条の「青少年に対する措置」において、青少年の教育・育成に携わる者の努力義務規定を設けています。本条例案に、あえて青少年の健全育成等、教育に関する規定を盛り込んだ意図について、警視総監の所見を伺います。また、第22条の「暴力団事務所の開設及び運営の禁止」及び第23条の「青少年を暴力団事務所へ立ち入らせることの禁止」について、罰則を含めた規制を設けています。その意図するところについても、総監の所見を伺います。

【自転車政策】
 最後に、自転車政策について質問します。自転車協会の国内市場動向調査によれば、都内の自転車保有台数は平成11年から約10年間で200万台以上増え、それに伴い自転車交通事故が増加しています。なかでも看過できないのは、対歩行者の事故件数が過去10年間で3.7倍に急増している点であります。最近も55歳の女性が、横断歩道?を渡る際に信号無視の自転車にはねられて死亡した事故や、横断歩道を渡っていた60歳の男性がブレーキ装備の無い競技用自転車にはねられて死亡するといった傷ましい事故も発生しております。また、賠償能力のない中学生、高校生が加害者になるケースも目立っております。15歳の男子中学生が夜間に、歩行中の62歳の男性と衝突し死亡させた事故では、裁判所が中学生に3000万円の賠償を命じたケースもあります。
自転車による対人事故の増加の背景には、自転車利用者の運転マナーの欠如、自転車のための社会資本整備の遅れ、超高齢社会の進展などがあると専門家は指摘しております。自転車の安全運転対策について都は、平成19年1月に「自転車の安全利用推進総合プラン」を策定しましたが、実施主体や具体的な目標が明確に示されていないほか、自転車走行空間の整備が進んでいないこともあって、事故の減少に結び付いていないのが、実態です。 そこで都は、総合的な自転車政策を再構築すべきであります。そのためには、都と区市町村の責務、自転車運転者の責任の明確化、義務教育課程での交通安全教育の徹底、登録ナンバー制度の導入、点検、整備や対人保険の加入促進など、官民一体となった取り組みを規定した仮称「東京都自転車条例」を策定すべきと考えます。都の見解を求め、質問を終わります。

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