政権交代から1年。政治主導により国を変えるというスローガンに国民は欺かれ、現政権は統治能力のなさを露呈、特に、日本の外交・安全保障は、危機的状況にあることが、多くの国民の周知の事実となりました。
他方、経済対策においても、長引くデフレ状態の中での急激な円高に対し、9月はじめに我が党が対策案を発表してから、1ヶ月以上もたってから緊急経済対策を打ち出しました。しかも、その財源となる補正予算案も臨時国会から1ヶ月以上経過して提出する始末です。外交・安全保障だけでなく、経済対策においても危機感が乏しいとしか言いようがありません。
また、現政権は、3段構えの経済対策を掲げておりますが、第1段階の円高、デフレ対策ですら行き詰っており、仮に第2段階の機動的な対策がうまくいったとしても、第3段階の新成長戦略の中身は、医療ツーリズムなど、既にタイなどの諸外国で実施をしている後発的な政策ばかりで、諸外国に太刀打ちできる新経済成長戦略ではありません。今手を打たなければならないのは、保育や介護など今後も超過需要が見込まれる分野、さらには都市の集積・コンパクトシティ化などの都市再生、観光など海外需要の拡大が見込まれる分野と日本の技術革新を連動させることであります。そこで、「国がやらないのであれば、東京からやる」という一貫した?姿勢を貫いてきた首都東京の知事として世界で最先端の技術の導入や快適性、安全性をより高めていくなど東京をアジアで最も魅力的なハブ地域にしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
【経済成長戦略】
これから加速する高齢化社会を考えた場合それに対応していく新たなシステムの整備が急務であります。そのためには、需要が膨らんでいく医療・介護の分野とこれまで中小企業が培ってきた高い技術力を結びつけていく視点が必要です。
先日視察をした福岡県のある会社では以前は、ベルトコンベヤーを製造していましたが、その技術力を活かして新たにロボット産業に参入し、医療・介護・警備・災害レスキューなどの時代が求めるあらゆる分野において次々とロボットを研究開発し、製品化しています。
中でも福祉分野においては、従来の後ろ向きで腰を下ろす車椅子から発想を転換し、前向きで楽に乗車でき、身体障害者や高齢者が介護者の手を借りずに移動できる「電動車椅子ロボット」の開発や、一人暮らしを見守るための「家庭用見守りロボット」など、ロボット技術を活用した取組が実用化されています。
しかし、こうした日本の高いロボット技術について、国を挙げて大きな関心を寄せているのは、新たな産業開発に目を輝かせるアジア諸国と欧米先進国であり、逆に、企業任せでほとんど戦略的な育成・支援が及んでいないのが我が国であります。特に、現政権になってからは、支援が一段と後退いたしました。
都議会公明党が視察したまさにその時、アジアの国家関係者が、その会社が開発した人と同様に歩行するロボットを買いたいと、商談のために来日していました。この時、ロボットの開発者は私たちに、『海外諸国は、ロボットに組込まれている日本の高い技術に着目し、それを求めている』と、訴えておりました。
多くの技術が海外に流失してしまった今、日本において世界の最高水準にあるのは、ロボット技術であると言われていますが、このように国外に流出する危機的状況にあります。
本来、こうした新たな成長戦略は、国が積極的に支援をしていかなければなりませんが、国が取組もうとしない現状を考えると、都が、「福祉分野」などに活用し、あわせて関連産業を育成していくべきであります。
そこで第一に、ロボット産業に参入を求める複数の中小企業が、得意とする技術を集積し、ロボット研究の第一人者が学長を務める「首都大学東京」などの学術・研究機関と共同して研究・開発から製品化するまでのプロジェクトのネットワークを構築し、資金面からも支援するとともに、ロボット産業を支援する拠点を都内に設け?るなど総合的に取組むべきであります。見解を求めます。
第二に、ロボット産業の実用化、普及に向けた環境整備についてであります。多くの人たちに知ってもらい、理解を深めてもらうためには、先進的な「福祉ロボット」などを展示会において情報発信をしたり、都関連施設においてモデル的に使用するなど、販路拡大や量産効果が高まる取組みを後押しすべきであります。見解を求めます。
第三に、実用化したロボットの国内はもとより、海外への販路開拓についてであります。
海外への輸出については、ロボット製品を単に販売するだけでなく、他の国では真似ができない日本人の特性である「繊細さ」や「気配り」、「優しさ」が生かされた「福祉ロボット」などを開発し、ロボット産業を成長産業として位置付け、世界に通用する「東京ブランド」として海外にも売り込んでいけるよう育成を図っていくべきであります。
東京の将来を支える新たな産業の創出と育成について、知事の所見を伺います。
【雇用対策】
現在、大学生の就職難は深刻化し大きな社会問題となっています。
文部科学省と厚生労働省が、先月発表した来春卒業予定である大学生の就職内定率は、57.6%であり、また、高校生の就職内定率は、全国で40.6%、東京で33.7%となりました。これは、就職氷河期といわれた平成15年の内定率を下回っています。更に、本年10月の有効求人倍率は、全国で0.56倍、都の有効求人倍率は0.7と公表されました。このように来春に向けた就職戦線は、かつてない厳しい状況におかれています。
就職氷河期に社会に出た世代は、「失われた世代」と呼ばれ今も非正規社員として不安定な働き方を余儀なくされている人が多いと言われています。第2の「失われた世代」をつくらないためにも、新卒者の就職支援に全力をあげるべきと考えます。
知事の決意を伺います。
現在、都は我が党の主張を受け、東京しごとセンターにおいて高校生の就職支援も「新卒緊急応援窓口」で対応したり、交流会を開催したりしています。しかし、今年度の厳しい状況に対応するためには、しごとセンターで待っているだけでは改善しません、一人でも多くの高校生が就職できるよう、しごとセンターが高校の就職担当者と連携を取り合って、高卒者向けの求人情報を提供するなどの支援策を行うべきであります。見解を求めます。
有効求人倍率が1を下回る中、従業員300人以下の中小企業の大学新卒の求人倍率は、4.41倍と高い状況にあります。
都内には、優れた技術や技能を持ち採用意欲のある中小企業がたくさんありますが、学生の大企業志向、安定志向が壁となり、人材を確保できないというミスマッチが生じています。こうしたミスマッチを解消するために、
都は、産業交流展の機会をとらえ東京ビッグサイトで、中小企業の合同就職面接会を開催しました。年が明けるとさらに新卒者の就職は厳しくなってきます。そこで再度、都が音頭をとり、中小企業と新卒者の合同就職面接会を開催すべきであります。そしてその情報を学生に発信していくべきであります。
見解を求めます。
また、企業が、既卒者に新規採用の門戸を閉ざしているところが未だ多く、我が党はこれまで新卒要件を卒業後3年まで緩和すべきと主張してきました。今後都は、しごとセンターを通じた情報提供や既卒者を積極的に採用するよう企業に働きかけるなど、既卒者の就職支援を進めるべきであります。見解を求めます。
【緊急雇用創出事業】
総務省が先日、発表した労働力調査によれば、働く意欲がある15歳以上の失業者の完全失業率は5.1%であり、依然として高い水準となっています。
国は、公明党の強い推進によって、求職者や失業者の働く場を確保するため、「緊急雇用創出事業」を創設し、都はこの制度を活用し、2年間着実に事業成果を上げてきました。
しかし、未だ続く厳しい経済・雇用状況の打開について、何ら明るい展望が見えない中、都はこれまで以上に即効性のある緊急雇用創出の拡充に取り組まなければなりません。
事業開始から3度目のチャンスとなる来年は、一時的な雇用・就業機会を創出することはもとより、基金事業のプラスアルファの効果を最大限に高めていくべきと考えます。
そこでまず、本事業の成果を検証するとともに、今後は、緊急雇用から正規雇用へと円滑に移行できるよう支援を強化し、安定した雇用に誘導していくべきであります。
見解を求めます。
また、緊急雇用創出事業を、都の重要課題施策や都民サービスの向上に直結させていく視点も重要です。
例えば近年、公共施設や高速道路のパーキングエリアまたショッピングセンター、コンビニなどの一般商業施設などに障害者用駐車スペースの整備が進んでいます。しかし、せっかく設置された障害者用駐車スペースに健常者が駐車しているケースも多く、その場所を本当に必要とする車いす使用者などが利用できないという実態があります。
その対策の一つとして、「パーキングパーミット」という制度が注目されています。この制度は、身体障害や難病また高齢で歩行が困難な方に加えて、けが人や妊産婦など一時的に歩行が困難な方に対しても、共通する障害者用駐車場の利用証を交付することで専用駐車枠を利用できる人を明らかにし、駐車スペースを確保する制度です。
こうした制度の導入するにあたっては、先ず、制度を理解し駐車スペースを提供してくれる協力事業者を拡大し、理解を求めていく専従のスタッフを多数確保しなければなりません。都は、こういったところに「緊急雇用創出事業」を活用して、障害者用駐車場の適正利用に向けた取組みを推進すべきであると考えますが、見解を求めます。
【障がい者の雇用・就労】
全国には、法定雇用率を大きく上回る障がい者の雇用を実現し、業績を大幅に伸ばしている企業が少なからず存在しています。
都議会公明党が視察した名張市と旭川市の企業もその代表例です。名張市の製造会社は、知的障がい者の作業チームが自動車の部品製造の検品作業に従事し、健常者より返品率を減少させ会社の収益を上げていました。旭川市のリネンサプライの会社では、全社員200名の約3割を知的障がい者が占め、健常者と同じ作業に同等の作業効率で、同額の時間給を得ながら働いていました。これらの企業の成功の秘訣は、障がい福祉に詳しいキーパーソンが作業工程や人事管理に工夫を凝らし、障がい者が働きやすい環境を整えている点にあります。
都が、現在行っている障がい者の就労支援策として福祉保健局が各区市町村に設置を促進する「障害者就労支援センター」と産業労働局が所管する「ジョブコーチ」があります。「障害者就労支援センター」のコーディネーターは、働く障がい者を就労・生活の両面から支援し、産業労働局は障がい者を雇う企業にジョブコーチを派遣しています。そこで今後は、福祉保健局のコーディネーターと産業労働局のジョブコーチがチームを組んで障がい者の雇用・就労の取組を協議・計画し、雇い入れから雇用の継続に至るまで一貫した取組みを行い、障がい者の就労を推進すべきであります。都の見解?を求めます。
一方、障がい者の就労の安定を図る上では、名張市や旭川市の事例をみても、働く障がい者同士が励まし合い、悩みを相談し合う体制を整えることが効果的です。しかし、大企業であれば自社内での実施も可能ですが、中小企業が多い都内では更なる工夫が必要です。そこで都は今後、都内の障がい者が、働く中小企業の違いを越えて交流・連携し合えるように「障害者就労支援センター」などが拠点となる仕組みを工夫すべきと考えます。都の見解を求めます。
さらに、都は今後、「障がい者をより多く雇いたい」と考える中小企業を都内に具体的に増やしていく取組みを強化するとともに、合同就職面接会などを実施し、企業と働く意欲を有する障がい者とのマッチングの充実に努めるべきと考えます。都の見解を求めます。
【改正貸金業法】
今回の改正により、事業者や消費者の資金繰りは、良くなるどころか、悪化の一方をたどっています。他方、一部の弁護士や司法書士は、テレビコマーシャルや電車の車内広告を打ってまで儲けようとしています。いったい誰のための改正であったのか、疑問を呈せざるを得ません。
こういった状況をいち早く予測した大阪府は、全国に先駆けて、本年3月に貸金業利用者のヒアリング調査を実施し、改正貸金業法施行後の8月にも緊急の影響調査を実施しました。その結果、ノンバンクを利用している事業者の二人に一人、消費者の三人に一人が、新規借り入れを断られたり、借り入れ枠を減額されるなどの影響を受けていました。そしてそのうち事業者で七人に一人、消費者で八人に一人は「ヤミ金」などで資金調達を実行または検討している実態が明らかになりました。私も従来からノンバンクを利用していた事業者を大阪府が実態調査を委託した調査会社の協力を得てヒアリングしてまいりました。ある会社では、「繋ぎ資金でノンバンクを利用していたけれど、法改正による処置ということで、従来から利用しているノンバンク数社から新規融資にストップがかかった」とのことでした。その社長は、「出資法の上限金利29.2%を高いという人がいるが、ノンバンクから29.2%で繋ぎ資金として最大500万円を1ヶ月借りたけれど、利息は12万円ぐらいで、保証協会の繋ぎ融資を申し込んで、一週間以上待つことを考えると会社の資金繰りの上からは決して高くない。」と話してくれました。現在、その会社は、いいとは思わないが会社を存続させるために繋ぎ資金として10日で2割の「ヤミ金」からお金を借りているとのことで、帰り際に、この法律がさらに続くなら、会社は半年後に倒産してしまうとまで言われました。
東京都は、改正貸金業法の施行にともない相談窓口を設置しましたが、事業者からの相談はあまりないとのことです。しかし、切羽詰って「ヤミ金」からお金を借りて凌いでいる事業者がわざわざ相談に来るとは思えません。待っているだけでは、本当の実態がつかめるはずがありません。まずノンバンクを利用していた事業者のヒアリングを含めた実態把握を行ない、それを踏まえて対策を検討すべきであります。見解を求めます。
こういった状況を打開しようと、大阪府は「小規模金融特区」を国に提案しました。この特区は、返済能力のある人までが、一律に借りることができないという改正貸金業法の弊害を解決するために、規制緩和するだけでなく、同時に、多重債務問題を解決するための債務整理ができるADRのスキームを大阪府が用意し、このADRのコストを貸金業者が利息の一部から負担金として拠出するという制度であります。
こうした「小規模金融特区」は非常に有効な手段でありますが、国が受け入れない現状を考えると他の手段による多重債務問題への取組みが必要となります。そこで多重債務者が、過払い請求を行うにあたって、一部の弁護士や司法書士の犠牲にならないように、都が、金融ADRを活用して、こうした問題に対応すべきと考えます。見解を求めます。
【医療・介護・住宅】
いわゆる“無縁社会”によって孤独死などへの不安が広がり、高齢者が身近な地域で、安心して暮らすことのできる、医療・介護・住宅などが連携した施策の充実が求められています。
まず、介護保険制度の改正について質問します。現在、国において法改正に向けた議論が大詰めを迎えています。中でも、新たに創設される訪問介護と訪問看護が連携した24時間地域巡回型訪問サービスが注目を集めています。これは、公明党が『新・介護公明ビジョン』で提言した、「24時間365日対応」の「訪問介護サービス」によって進める「在宅介護の支援強化」に適うものです。
しかし、新たなサービスであるが故に、制度設計や報酬設定がしっかりしなければ、平成18年に創設された「夜間対応型訪問介護サービス」のように事業所数が伸びない事態になりかねません。
国が創設を予定している24時間地域巡回型訪問サービスについて、都は、区市町村や介護事業者などの声を踏まえて国に要望していくべきと考えますが、見解を求めます。
続いて、医療・介護が連携した住宅整備について質問します。
本年10月25日に都の「医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅」モデル事業の第1号、「風のガーデンひの」が竣工しました。これは、高齢者専用の賃貸住宅に医療と介護のサービス拠点を併設させたもので、その充実は大きな期待を集めています。
都は、平成22年度においても「医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅」の予算を計上していますが、建設が進まないのが現状です。
ネックとなっているのが用地の確保であります。特に都心部では、高い用地費がそのまま家賃に跳ね返ってきます。そこでまず、遊休都有地を減額貸付できるように制度設計をすべきであります。都の見解を求めます。
また、都内には多くの未利用国有地を抱えています。都内の国有地についても、区市町村と協力して活用の有効性を具体的に提示し、国に迫るべきと考えます。同時に未利用都有地の情報についても積極的に提供すべきです。見解を求めます。
都営住宅や公社住宅の建替えに際しては、余剰地が創出されます。こういった創出余剰地を活用し、医療・介護などの生活支援サービス付きの高齢者向け賃貸住宅の整備を促進させるべきです。見解を求めます。
他方、都営住宅における孤独死対策も大切です。これまで我が党が求めてきたコミュニティ支援を具体的に推進すると共に、都は孤独死対策を強化すべきです。特に夜間や休日における問い合わせ電話に対する音声ガイダンスにおいて、高齢者などの安否確認に対応できる案内を新たに設けるほか、問合わせ先の団地内掲示を図るなど、高齢者の離れて暮らす家族の不安や身近で心を砕く自治会にも配慮すべきです。コミュニティ支援の具体化の状況と併せて、見解を求めます。
【HTLV−1問題】
次に、全国に100万人を超えるキャリアがいると言われる「HTLV−1」ウイルス対策について質問します。
この対策は第3回定例会代表質問でも取り上げましたが、10月6日に厚生労働省から、妊婦健診において抗体検査を実施する通知が各自治体になされました。
抗体検査は母体がウイルスを持っているかどうかを検査するものです。このウイルスの主要な感染経路は母乳であるため、検査結果をもとに的確な情報提供と授乳指導を行うことで感染予防が可能になります。
また、ウイルスを持っているとされた方々はATLという重篤な白血病やHA?Mという脊髄疾患を発症する可能性があります。そうした不安に対処するため、抗体検査とセットで、きめ細かな相談やケア体制を整えることが極めて重要であります。
我が党の質問を受けて都は既に、母子健康手帳交付時にHTLV−1に関する情報提供をするなどの区市町村の取組を支援することを明らかにしています。今後さらに、抗体検査の実施に向けた相談・ケア体制の整備や医療・母子保健関係者への情報提供など、必要な取組を早期に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
このウイルスは九州地方に多いと言われていましたが、現在では全国に拡散しているとされており、都における実態把握も必要であります。また、このウイルスによって発症するATLという白血病の治療方法は、まだ確立されていないことから、今後は感染者対策として診療拠点病院の整備や、治療薬の研究促進など疾病対策を含めた総合対策を進めていくべきであります。都の見解を求めます。
【自殺対策について】
警察庁によれば、平成21年に自殺した人は、3万2845人と過去5番目に多く、12年連続で3万人を超え、自殺対策は「待ったなし」の状況にあります。この自殺の原因として、最も多いのがうつ病とされており、都議会公明党は、先日、自殺対策について先進的な取り組みを行っている鹿児島県を視察してまいりました。
鹿児島県では自殺対策としてのうつ病対策を強化しており、その中で認知行動療法を活用した取り組みを進めています。自殺やうつ病の相談を受ける相談員等が、研修を受講しノウハウを学ぶなど、自殺対策として認知行動療法を位置づけているのが特徴です。取組を進めた結果、受講前はうつ病患者への接し方がよくわからなかった相談員も、研修後には適切な対応ができるようになり、特定検診時のスクリーニングにおいて成果が出るようになったとの事です。その結果、県の自殺率は、大幅に改善したとのことであります。
都としても、保健師や自殺相談の相談員等に研修を実施し、認知行動療法のスキルを学習することにより、相談者への対応力を強化すべきと考えます。見解を求めます。
また、都はこの4月から自殺相談ダイヤルを開設しました。開設当初は、相談件数があまり多くなかったようですが、夏以降、相談件数も徐々に増えていると聞いております。自殺死亡者のうち7割の方は、死亡する直前にいずれかの相談機関に行っていたことがわかっており、自殺に関する相談支援体制の充実が求められます。都では、今年の自殺対策強化月間において、自殺相談ダイヤルの相談時間を9月6日から1週間に限って延長しましたが、今後、年間を通して相談時間を延長するなど、相談体制の充実を図るべきです。見解を求めます。
【教育問題】
桐生市で発生した小学6年の女子児童の自殺は、まさに衝撃的事件でありました。報道によれば、自殺した児童の学級は長らく崩壊状態にあり、女子児童は、一人で給食をとる異様な日々の窮状を、担任以外の教員に対しても泣きながら訴えていたそうです。
様々にSOSが発信されていたにもかかわらず、何故いじめ解消などの抜本的対策が講じられなかったのか、この点が問題です。いじめに起因する自殺は、ここ数年、各地で散見され、後を絶たず、どの地域においても発生しうると考えるべきです。
そこで、いじめの発生を訴える声などを学校が適切に対処できていない場合、都教育委員会はSOSを適切に感知し、学校に対して問題解決に必要な支援を講じる体制を整備すべきです。見解を求めます。
いじめだけでなく、不登校や保健室通学する児童・生徒の心のケアに取り組むのが、スクールカウンセラーです。その配置・活用が国の委託事業から補助事業へと変更され、国費も減る中、都は我が党の要請を受け、都内公立中学校への全校配置を実現しました。
しかし、いまだに小学校や高等学校での活用は一部に留まっています。都は今後、小学校や高等学校へのスクールカウンセラーの配置を拡大すべきです。見解を求めます。
また、児童・生徒が抱える問題は、虐待や家庭機能の崩壊など学校外の出来事に起因する場合もあります。スクールソーシャルワーカーは、教育分野だけでなく、社会福祉などにも精通した人材として、学校外の機関と連携して問題の解決に当たります。都内でも、保護者の窮状にまで適切に対処し、評価されています。
児童・生徒が抱える問題はより複雑化してきており、スクールソーシャルワーカーの必要性は、ますます高まってきています。
都はこれまでの成果を踏まえ、スクールソーシャルワーカーについても一層配置の拡大を図るべきと考えますが、見解を求めます。
次に、少人数指導の教員加配について質問します。
国の定数改善の下で実施されてきた少人数指導など、習熟度に配慮した手厚い指導体制は、都内の公立小中学校の学力向上に貢献し、地域・保護者からも歓迎されています。ところが、35人学級への移行を理由に、23年度はこの少人数指導の教員加配が無くなり、学校経営の目処が立たなくなるのではとの不安の声が広がっています。
少人数指導は、効果の高い学力向上策であり、都はこの少人数指導の教員加配を守るため、区市町村と協力し、国に強く制度の維持・充実を要望すべきと考えます。
見解を求めます。
次に、学校の冷房化について質問します。
今年の夏は記録的な猛暑。冷房のない教室はまさに蒸しぶろ状態で、教育効果にも重大な影響が出ました。特に多摩地域の公立小中学校では、市町村の財政難から冷房化が進まず、都議会公明党は9月14日に都知事あてに申し入れを行い、第3回定例会においても取り上げ、都は調査の分析結果や市町村の動向も踏まえ検討するとしました。その後、市町村からは、都からの財政支援を求める要望書や意見書が提出されました。
こういった状況を踏まえ、緊急の課題である小・中学校の冷房化を推進するため、都として市町村への財政支援を直ちに実施すべきです。見解を求めます。
一方、都立高校の普通教室の冷房化は100%完了していますが、特別教室は部分的導入に留まっています。保護者が文化祭で理科教室や調理室を訪れた際、その暑さに驚いたという話もお聞きしました。特別教室は補習や部活動でも使用します。暑さが注意力の散漫を招き、重大事故を引き起こしかねません。都立高校の特別教室も原則として冷房化すべきと考えますが、見解を求めます。
【新銀行東京】
11月19日に新銀行東京の中間決算が発表され、当期利益は4.9億円の黒字となりました。再建計画では、今年度の当期利益はプラス・マイナス・ゼロとのことでありましたが、中間決算ではこれを上回る業績を上げています。
中小企業向け貸出残高についても、全国の銀行が前年同期と比べ横ばいとなるなか、新銀行東京は20%増となっており、リーマンショック以来の厳しい経済・金融情勢のなかで中小企業支援にも配慮しながら着実な再建を進めています。
今後も、企業価値を高める努力をするとともに、情勢の変化に応じた適切なリスク管理を行うなど、より一層着実な経営に努める必要があります。そうした点を踏まえ、本業の収支である実質業務純益の黒字化を含めた平成22年度の業績見通しについて、都の見解を求めます。
再建計画について都議会公明党は、単年度黒字化した後には追加出資400億円を回収または保全することを繰り返し主張してまいりした。
明年は再建計画の最終年度を迎えますが、本業の収支である実質業務純益の黒字化を達成し、企業価値を高めた後には、新銀行東京の役割を見極めつつ、事業譲渡または業務提携への具体的な取り組みを進め、追加出資を回収もしくは保全していくべきであります。知事の見解を伺います。
【外郭団体改革】
都では、本年9月に「東京都監理団体活用方針」を策定し、監理団体をこれまで以上に活用していくこととしました。都議会公明党でも「外郭団体改革推進プロジェクト・チーム」を立ち上げ、更なる改革を推進していくため、各所管局へのヒアリングなどを通じ、公益法人制度改革や指定管理者制度などについても検討を重ねているところであります。
そのような中、都は、制度導入後5年間の実績を踏まえ168施設の性格・位置付けを検証し、33施設については公募から監理団体への特命に変更しました。これは防災対策や文化財の継承、一体性のあるまちづくりなど都の重要な政策と密接に関係する施設について、公的性格を持つ監理団体が蓄積してきた行政ノウハウや施設運営に係る技術・知識の有効な活用を図るために必要な措置であったことは理解できるものであります。
他方、33施設以外の施設においては、公募にあたって長年施設の管理運営を担ってきた監理団体と新規参入を目指す民間を競わすことになったわけですが、これまでの管理実績がある監理団体に優位性があり、結果として競争性が働かないおそれがあります。今後、個々の施設特性を定義付けした上で、公募すべき施設の管理運営については、より一層の競争性を高め、民間が参入しやすい仕組みを検討すべきであります。都の見解を求めます。
また今回、監理団体に特命となった施設については、監理団体が政策目的の実現に向けた機能を着実に発揮しているのか、また適切に運営を行っているのかを毎年度、しっかりと検証していく新たな視点が必要であると思います。見解を求めます。
また、もう一つの外郭団体である報告団体については、第3回定例会での我が党の代表質問に対し、年内を目途に、すべての報告団体について、事業内容や都との関連性を精査し、位置づけを明確にした上で、その類型化に取り組むと答弁しております。報告団体について着実に改革を進めていくことを改めて要望しておきます。
【東京の治水対策について】
昨年9月の政権交代によって突如打ち出された八ッ場ダム建設中止の表明以来、ダムに代わる治水対策や、中止に伴う地域住民の生活再建策が何ら示されることなく、関係する一都五県と地元は政府の身勝手さと無策に翻弄され続けております。
ところが、生活再建事業が停滞していることについて、馬淵国土交通大臣は「一都五県からの直轄事業負担金及び利水者負担金の支払いを留保されている」と、責任が関係都県にあるかのような国会答弁を行っております。一方的にダム建設を中止しておきながら、ダム建設を前提に支出する負担金を一都五県に求めること自体矛盾しております。
こうした状況の中で、12月1日に馬淵大臣と一都五県の知事が会談し、席上、関係知事側から今年度の負担金支払いの留保を解除する方針を示したと聞いております。しかし、負担金の支出はダム本体の建設が前提であり、当初の計画通り建設するのかどうか政府の対応を十分見極めて判断すべきと考えます。石原知事の見解を伺います。
また、馬淵大臣は、八ッ場ダム建設の是非について再検証を行い、来年秋までに判断するとの方針を示しておりますが、再度の検証にさらに一年も費やす必然性は全くありません。ダム本体の建設を早急に決断するよう政府に強く求めるべきであります。都の見解を求めます。
一方、先般の行政刷新会議の事業仕分けでスーパー堤防事業が「一旦廃止」と判定されました。
仕分け人は「200年に一度の水害を防ぐのに400年かかるのでは、本末転倒」と批判しましたが、これは、まさに詭弁であります。400年とは、全国6河川、延長872kmすべてが完成する年数であります。整備において河川ごとに優先順位があるのは、当然であり、すべての河川が完成するまで効果が発揮されないものではありません。例えば、最も優先度の高いゼロメートル地帯の江戸川、荒川計画延長は、約52km、全体の6%に当たり、数十年の整備年数で極めて大きな事業効果を発揮できます。
洪水や高潮の甚大な被害を被ってきたゼロメートル地帯の実態を直視せず、廃止するということは、まさに、東部低地帯に住む約150万人の命を危険にさらすことになります。
そこで、都は、都民の命を守る洪水、地震・高潮対策の推進のために、国に対し、ゼロメートル地帯のスーパー堤防事業の存続を強く求めるべきです。また、都が独自に実施している隅田川などのスーパー堤防についても計画どおり推進すべきです。併せて見解を求めます。
【小笠原航空路】
先月、都議会公明党は、航空路開設に向け現地に調査団を派遣し、村民の方々の意向を聞き、意見交換を行ってまいりました。
東京から1,000キロ離れ、隔絶した離島である小笠原にとって交通アクセスこそ生命線であり、昭和43年の返還以来、航空路開設は村民の悲願であるとの熱い思いを伺ってきました。
現在、都は航空路協議会を設置し、先月まで5回開催して、空港整備に必要な手続きであるPI実施計画書の策定や候補地の絞込みなどを行ってきました。しかしながら、空港建設や最新の技術開発の動向などの課題については、慎重に検討を進めていくとしています。航空路の早期開設を願う村民の中には、過去、平成8年の「兄島案」、平成13年の「時雨山案」の頓挫で行政への不信感を強くしています。島民生活の安定のためには、小笠原航空路は是非とも必要です。早期に課題を整理し、専門家の知見を聞くなどして、航空路案をとりまとめ、航空路の開設に向けた取組を促進すべきであります。