こちらでは都議会定例会の報告等をいたします。

平成22年《第2回定例会の報告》

【成長戦略について】

一昨年のリーマン・ショックをきっかけとした戦後最悪の景気後退で、国と地方の税収は急激に落ち込む状況にある中、早急な景気対策と経済成長戦略が求められています。ところが、国は、借金に頼りきった財政運営を行っており、将来への展望が見えず、国民の不安を解消するには程遠いものがあります。

一方、東京都は、都議会公明党が強く主張した新公会計制度の導入や事業評価などにより、早くから施策の選択と集中を行い、将来を見据えて堅実な都政運営を行ってきました。その結果、都民の不安を取り除く迅速な対応や「10年後の東京」の実現に向けた先進的取組を実行することができました。

先般、公明党は、新たな「成長戦略」を発表し、環境やエネルギー、医療・介護、教育などの分野で重点投資戦略を策定、実行し、成長産業の育成を図ることを目指しています。

知事は、今定例会の所信表明で、技術を伸ばして日本を新たな成長軌道に乗せる方向を示し、技術戦略ロードマップの新たな作成や、世界の上下水道事業への積極的な参画、環境産業の成長促進など、より具体的な方策を示されました。東京において展開されようとしている都市戦略について、知事の見解を伺います。

【東京のエネルギー政策について】

東京都は、国に先駆けて、大規模事業所のCO2削減義務化や、キャップアンドトレードを導入し、わが国の地球温暖化政策をリードしています。

現在、電力の供給側と需要側双方向の情報通信技術を用いた「スマートグリッド」や電力、ガス、熱などのエネルギーを組み合わせた「スマートエネルギーネットワーク」などが注目されています。

都は今後、事業所ごとの取組みにとどまらず、地域単位での再生可能エネルギーや省エネ技術の活用、また、都市排熱の再利用など、東京ならではの面的ネットワークの構築を進めるべきであります。知事の所見を伺います。

都は、昨年4月、住宅用の太陽光発電や太陽熱機器の設置について補助制度を設け、利用拡大を進めています。

都は国に先がけて太陽熱機器の認定制度やグリーン熱証書制度など基盤整備に取り組んできましたが、普及が進んでいません。

そこで改めて、国を先導する取組みを行い、太陽熱機器普及のモデルを提示すべきです。見解を求めます。

都は太陽エネルギー以外の再生可能エネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。

その一つに、昨年7月、大学や民間事業者に「波力発電検討会」の設置を呼びかけ検証が行われました。

また、都は北海道や東北4県と、再生可能エネルギーの地域間連携を始めました。都は、風力発電などの自然エネルギー資源が豊かな地域から、CO2フリーのグリーン電力の供給を受け、低炭素社会づくりを進めます。

この4月から東京駅前の新丸ビルには、グリーン電力の供給が開始されましたが、今後ともキャップアンドトレードの取組みと関連して、事業の進捗を図るべきです。再生可能エネルギーの活用を拡大させて行くためには、民間の意欲的な取組みを促すことが極めて重要と考えますが、都の見解を求めます。

【LED対策について】  

環境先進都市をめざす東京において、街路灯のLED化は、温暖化対策に資する重要な施策であります。

特に、今話題になっているのが、商店街の街路灯のLED化事業であります。

商店街を活性化する「新・元気出せ!商店街事業」の中の街路灯LED化事業は、都が直接5分の4助成することから、昨年度、急激に実績があがりました。

都は、当初予算が8億円でありましたが、街路灯の新設を要望する商店街が著しく増加したため、国の「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」10億円を追加し、商店街からの要望に全て応えました。

今年度は、さらに商店街からの要望が増えることが予想されることから、都はLEDランプの交換に重点化し、6月1日から受付を行いましたが、87件を受付、一日で終了しました。

我が党は、この課題について、今年の予算特別委員会でも取り上げましたが、現政権では、昨年度のような臨時交付金は期待できません。そこで都は、受付をした商店街に対しては、全てに対応するよう事業を進めるべきであります。見解を求めます。

また、今年度の補助対象はLEDランプへの交換に重点化されたため、街路灯の支柱部分の交換や新設は対象外とされました。老朽化した街路灯の新設を希望する商店街に対しては、国の新たな補助事業を活用することが可能になったことから、都としても制度の周知を図り、商店街に対して支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。

【新たな企業戦略について】  

厳しい経済環境が続くなか、東京の中小企業が経営の活路を見出す効果的な方策として、海外に目を向けた販路拡大があります。

昨年の第4回定例会において、都議会公明党は、現地での販路開拓に対して、専門家の支援の必要性を主張致しました。これを受けて都は、今年度から新たに「海外販路開拓支援事業」を立ち上げ、「海外販路ナビゲーター」が海外取引を希望する中小企業を後押しすることになりました。

そこで、「海外販路開拓支援事業」をさらに積極的に展開するため、販路拡大を目指す海外に専門の拠点を設けて中小企業を支援すべきであると考えます。見解を求めます。

【羽田と臨海副都心の開発】 

次に、東京の繁栄と国際競争力の向上に関し質問します。

地球規模で展開される都市間競争において、より魅力的で創造的な人や企業を世界中から惹きつける力こそ「都市の総合力」であります。この観点に立ち、都市研究に関する世界的権威であるピーター・ホール卿をはじめとする学識者が昨年10月、世界の主要都市の総合力を評価し、順位付けしました。東京は総合ランキングで、ニューヨーク、ロンドン、パリに次ぐ第4位、トップ3は逃したものの、3都市に比べて世界のトップ企業が集積していること、研究者の多さや研究開発費が豊富なことが強みであることが明らかにされました。

一方で、東京の弱みは、都心から国際空港までのアクセスが悪いこと、高い法人税であります。これらが克服されれば、東京が世界のナンバーワン都市になることも不可能ではありません。

幸い東京には、本年10月本格的な国際化を迎える羽田空港があります。加えて、昨年7月、都は、目指すべき都市像や戦略を示した「東京の都市づくりビジョン」を改定し、品川、秋葉原に次ぐ「新拠点」に羽田を指定しました。羽田を活用した、新たな都市づくりについて知事の所見を伺います。

ところで、羽田と臨海副都心は共に、関東平野全体を視野においた「環状メガロポリス構造」の中核拠点に位置付けられており、相互に連携・機能分担しながら、首都東京の国際競争力を高めていくことが重要です。例えば、世界規模の物流拠点の整備や都税減免による外資系企業の誘致、世界市場を視野に入れた高度医療の提供など、より具体的な取り組みを進めるべきです。羽田新拠点の形成及び臨海副都心との連携について、見解を求めます。

【震災対策について】

阪神淡路大震災から今年で15年を迎えました。これまで都は首都直下型地震に備え「耐震改修促進計画」を策定し、平成18年度から27年度までの10年間で住宅の耐震化率90%を目指し、今年度中には82%の耐震化率を目標としています。しかしながら、意識の低さや高額な改修費用の負担などが、計画の進展を妨げています。我が党は費用負担の面から安価で信頼できる簡易耐震改修を提案しましたが、これも伸び悩んでいます。

そこで、本年度が折り返しの中間地点という機会をとらえ、耐震化の現状について検証するとともに、審査の弾力化や手続きの簡素化など、都民が活用しやすい助成制度に改善すべきです。見解を求めます。

次に、高層マンションの防災対策について質問します。高層建築物の耐震技術の発展と、都心特有の土地有効活用の観点から、高さ60メートルを超える超高層マンションが近年急激に増えています。いざ震災が発生すると、エレベーターの停止や閉じ込めなど、地上との行き来が困難になる、いわゆる「高層難民」が大きな課題となります。

2005年7月に発生したM6・0の千葉県北西部地震では首都圏のエレベーター約6万4千台が停止し、完全復旧までに約24時間かかりました。こうした時に役立つのが高層フロアに設けられた防災倉庫です。水や食料などの生活必需品や医薬品、救出用具、避難用具を確保することで災害時の備えになります。

こうしたことから、高層マンションが集中する中央区や豊島区などでは条例や要綱で、防災倉庫の設置を義務付け、数日間生活ができるよう対策を行っています。

都としてもこのほど、「総合設計許可要綱」を改正し、防災性向上に関する新たな評価項目として割増容積率を加算できる仕組みを導入しました。

そこで、高層マンションの防災性を高めるには、各区市の取り組みが重要であります。防災倉庫の設置を条例等で定めている区はまだわずかです。都は各区市と連携を図り、総合設計許可要綱の周知を行い、防災倉庫の設置を促していくべきであります。見解を求めます。

さらに、高層マンションは、中低層マンションとは違った避難行動・避難対策が求められるため、高層用の避難対策マニュアルが必要です。そこで、民間事業者や区市だけに任せるだけではなく、都も積極的に避難対策や防災訓練に取り組むべきです。見解を求めます。

【大規模水害対策について】     

本年4月、国の中央防災会議は、大規模水害対策に関する専門調査会の最終報告の中で、豪雨で大河川の堤防が決壊した場合、利根川流域で最大約6千3百人、荒川流域で最大約3千5百人の死者数が想定されると公表しました。ここで留意すべきことは、利根川、江戸川の中・下流域の河川整備は、八ッ場ダムを含む上流ダム群の完成を前提として、行われてきたことであります。

とりわけ八ッ場ダムの治水容量は、6千5百万立方メートルであり、これは利根川上流の矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原(そのはら)の5つのダムの合計7984万立方メートルに匹敵します。この極めて重要な洪水調節機能を持つ八ッ場ダムが出来ないとなると、中・下流域の洪水時の水位を下げることができず、被害のリスクは飛躍的に高まります。

そこで、利根川ダム群の中で最も大きな治水容量を持つ八ッ場ダムの必要性について、都技監の見解を求めます。

また、報告では、地球温暖化に伴う海面上昇による高潮で被る人的被害を初めて試算し、室戸台風級の台風が東京湾を襲った場合、沿岸部で最悪7千6百人の死者が出ると想定しました。しかし、ここでも氾濫想定の条件に大きな問題があります。高潮浸水被害は海岸と河川の両方から発生するにも係わらず、本報告では河川からの高潮浸水は考慮されておりません。2005年、死者数1833人を出したニューオーリンズでのハリケーン・カトリーナ災害は、計画を超える高潮の運河遡上による氾濫が要因でした。同様の地形である東部低地帯は、大きな河川と支川などが縦横に流れ、過去たびたび高潮水害に見舞われています。河川高潮の浸水を考慮した被害想定都対策が必要不可欠であります。

そこで、大規模水害対策について三点質問します。

まず第一点は、河川からの高潮浸水が考慮されていないことでありますが、都内での海岸の水門・排水機場は23箇所、それに比べ河川の水門・排水機場等は62箇所もあり、河川からの浸水被害の影響は、海岸より大きくなると予想されます。従って、河川高潮における氾濫状況と、想定される被害を検討すべきであります。都は国に対し、河川高潮のシミュレーションを行うよう主張すべきであり、国が対応しないのであれば、都は自ら河川高潮シミュレーションを実施すべきであります。見解を求めます。

第二に、排水ポンプ、水門等の機能の確保は、浸水継続時間の減少、避難者数の減少等につながります。洪水、高潮により水没する可能性がある金町・三郷浄水場や、江東デルタ内の下水の排水ポンプ、電気系統の機能を確保するため、隔壁設置などの水防対策を実施すべきであります。見解を求めます。

第三に、避難所指定されている東部低地帯内の都立公園の一部は、水没エリアになっている点です。報告では、小中学校等の建物の上階やスーパー堤防等の高台に一時避難した後で、広域避難先へ移動することを検討しておく必要があるとしております。そこで、水没エリアの都立公園の高台化など、水害時の一時避難先を確保するため、地域防災計画を見直すべきです。見解を求めます。

【住宅政策について】  

これまで都議会公明党は、若年ファミリー世帯の募集拡大やバリアフリーの進展など、都営住宅を活用し、子育てや介護に適した住環境の整備に取り組んできました。

今後は、都営住宅の入居基準所得を超える子育て世帯や高齢者世帯に対しても、適切な住宅供給が大切です。

都は本年5月、都議会公明党の要望に応えて、「子育てに配慮した住宅のガイドブック」を公表しました。子育て世帯では、広い居室空間を必要とします。しかし、そうした住宅の家賃は極めて高くなるのが一般的で、中堅所得層にとって入居が困難です。

また、別の理由から都営住宅の入居基準所得を超える高齢者世帯が、民間賃貸住宅への入居を断られるケースがあります。

そこで今後、住宅供給公社を活用し、中堅所得層を対象に、子育てや介護に適した比較的安くて良質な賃貸住宅を整備していくべきです。見解を求めます。

また、こうした住宅を供給するためには、老朽化した住棟の建替えが必要です。今後改めて、建替えの推進に向け、取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。

一方、公社住宅の建替えを進める上では、住み続けられる家賃を維持することが重要です。公社住宅には、年金生活者など、都営住宅の基準所得を下回る入居者もいます。今後、公社住宅の建替えに際しては、低所得居住者への配慮と丁寧な対応に努めるべきです。

見解を求めます。

なお、公社住宅に居住する低所得者については、都営住宅制度の柔軟な適用と連携の強化を、今後の課題として要望します。

続いて都営住宅について質問します。

まず、都営住宅においては、都議会公明党の要請に応え、若年ファミリー世帯や高齢者に配慮した改善が進みつつあるものの、一方では、あまりにも居室面積が狭く、子育てや介護に適さない住棟が残っています。そこで今後の建替えに際しては、子育てや介護への配慮をはじめ、様々な都民ニーズに適切に対応できるよう、余裕のある間取りなどを工夫すべきです。見解を求めます。

また、居住者の高齢化に対応して巡回管理人の業務や共用部分の経費のあり方を幅広く検討する方針が、先の第一回定例会で、我が党の代表質問に対し示されました。都営住宅のコミュニティ機能を支援する仕組みづくりについて、現在の検討状況と今後の具体的な見通しを求めます。

一方で、既存の都営住宅へのエレベーターの設置も重要な課題です。現在の基準では、一定規模以上の住棟に限ってのエレベーター設置となっています。しかし、基準に満たない小規模住棟であっても、バリアフリー化は必要です。従って、階段室型住棟に設置している小型のエレベーターを、今後は基準に満たない廊下型住棟にも設置していくべきと考えますが、見解を求めます。

【特別支援教育について】  

都は、平成16年に「東京都特別支援教育推進計画」をスタートさせ、来年度は、いよいよこの推進計画の総仕上げともいうべき「第三次実施計画」が展開されます。

そして、この間の顕著な課題は、発達障害や知的障害がある児童・生徒が、この10年間で、約1万人も増加していることです。とりわけ、発達障害児はすべての小・中学校に在籍すると推測され、在籍校における支援体制の整備や、特別支援学級の教育内容・方法の充実が求められています。

そこで、今後は、全ての小中学校において適切な特別支援教育を受けることができるよう「第三次実施計画」において、発達障害児に対する支援体制の整備や、特別支援学級の教育力の向上に向けた方策を打ち出すべきであります。見解を求めます。

また、都立特別支援学校においても、ここ10年間で在籍数が約2千9百人増加しています。そのため、各学校では教室不足が慢性化しており、教育活動に影響があるなど様々な問題が発生しています。

そこで、「第三次実施計画」において、都立特別支援学校の新設を行い、子どもたちがゆとりをもって学習できる教育環境の整備に取り組むべきであります。見解を求めます。

次に、特別支援教育における「職業教育」についてですが、都は、軽度知的障害の生徒を対象とした高等部職業学科の設置を進め、現在までに3校が開校されました。この中の都立永福学園では、本年3月に初めての卒業生を出し、大変な就職難の中にあっても企業就労率は94%という実績を残しました。

しかし一方では、高等部職業学科の募集定員が限られていることから今年度、永福学園では定員100名に対し、選考倍率が2・45倍となり、145名は希望が叶いませんでした。

そこで都は、より多くの子どもたちが職業的な自立に向けて、専門的教育を受けることができるよう、各特別支援学校高等部に「職業学科」の設置を進めるべきであります。見解を求めます。

次に、特別支援学校における「放課後等の子どもたちの居場所づくり」についてですが、都議会公明党の主張に対し都は、平成20、21年度でモデル事業を実施し、その成果を踏まえて今年度からは「放課後子ども教室」として、本格実施を行うとしています。

そこで今後、具体的な事業を着実に実施すると共に、「第三次実施計画」の中に「放課後等の居場所づくり」の推進を明記するべきであります。見解を求めます。

【病院内教育について】 

現在、都内の病院には、入院治療を受けながら教育を受けている子どもたちが年間約4百人おり、特別支援学校から教員を派遣することにより、教育の機会を保障しています。

こうした病院内での教育は、治療期間や健康状態等に配慮しながら授業を行いますが、現状では教員配置等の関係から難しい状況にあり、子どもや保護者からは、病院内教育の充実を求める声が高まっています。

そこで都は今後、病気と闘う子どもたちが退院後に安心して地域の学校に戻ることができるよう取組むべきです。見解を求めます。

【スクールカウンセラー対策について】  

学校現場で心理カウンセリングでの中心を担っているスクールカウンセラーは現在、都立高校には192校中60校に、中学校には635校すべてに、そして、小学校には1311校中132校に、それぞれ配置されています。しかし、いずれも週一回であり、児童生徒や保護者、教職員の期待に十分応えられていません。配置が限定的になっている最大の理由は、国からの補助金が2分の1から3分の1に縮減されたことであります。加えて、社会全体として臨床心理士など専門家のニーズが高く、質の高い人材を学校現場だけに集中させるのは困難との背景もあります。国の方針は、不登校などの相談事例が最も多い中学校に最優先で配置することを定めていますが、その中学校でさえ、冒頭述べた通り、週一回に留まっています。今後都は、全中学校のスクールカウンセラーの「常駐化」を目指すべきです。一方、スクールカウンセラーと並んで、学校現場での心理相談には「アドバイザリースタッフ制度」があり、臨床心理学、精神医学の専門家が都教育相談センターに所属し、現在47名が学校長の求めに応じて派遣されています。本制度は、事件・事故が起こった時の緊急対応が基本となっていますが、スクールカウンセラー制度と相互連携し、より効果的な運用を図るべきです。見解を求めます。

【障がい者施設について】 

都は、障がい者の入所施設の定員の総枠を平成17年時点で7344人と定め、今も変更していません。平成17年の時点で都は、入所待機の障がい者数を約1千2百人と推定していました。そのうち、約6百人の重度障がい者が平成23年度までに施設に入所し、残りはグループホーム又はケアホームでの生活が可能になると都は見込んでいます。しかし、そのためには、グループホーム等が平成17年との比較で倍増することが前提となります。そこで、現在のグループホームの整備状況と今後の見通しについて見解を求めます。

次に、関係者からは、待機者数が、今後さらに増えていくのではという懸念の声が聞かれます。確かに特別支援学校・学級に通う知的障がい者数は増加しています。従って、入所定員の総枠を7344人に抑えるとの方針は、見直しを図る必要があります。

都は今後、島しょも含めた身近な地域での定員増や、環境の良い都外の入所施設の積極的な活用を図るべきです。見解を求めます。

既に、待機者の家族の高齢化が深刻です。親亡き後を心配する保護者の願いに応え、都は、改めて待機解消に向けて、調査・分析を行い、対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

なお、都外施設における「地域移行」の場合、「地域」とは住み慣れた都外施設の周辺を意味します。そこで、都外施設の周辺にグループホーム等の整備が必要となる場合には、利用者内の都民の数に応じて、都は負担を行うべきと要望しておきます。

【うつ病対策について】    

うつ病の患者は、厚生労働省の平成20年患者調査によると全国で約70万4千人に上り、受診をしていない患者を含めると280万人を超えると推計されております。

都は現在、都立精神保健福祉センターなど3施設を中心に、うつ病患者や家族に対する相談事業や、就労・復職支援プログラム等を実施しております。

また、医療面では「うつ診療充実強化研修」を実施しているほか、今年4月から健康保険の対象となった「認知行動療法」の医師研修も行われることになりました。

しかし、うつ病患者の増加に対応するには、国、東京都ともに十分な対策が講じられているとは言い難いのが現状であります。うつ病は、早期発見と、的確な早期治療によって回復が見込まれる疾病と言われています。

そこでまず、早期発見の観点から重要なことは、うつに対する都民への意識啓発です。うつ病は他の精神疾患や内科分野の疾病と似た症状を示すことも多いことから、発見しにくいと言われております。しかし、うつ病の身体的症状に対する認識が都民に普及することにより早期発見の可能性が広がります。パンフレット、チラシ、ポスターや、講演会等による広報・意識啓発活動を積極的に展開すべきと考えます。見解を求めます。

次に、早期治療対策についてであります。うつ病の可能性のある人が最初に診療を受ける場合、内科を受診するケースが多く、うつ病の診断が遅れがちになっています。そこで、内科等からうつ専門医師への円滑な紹介を可能とする情報提供体制を整備すべきです。見解を求めます。

また、うつ病が離職や休職・休学等の大きな要因となり、社会復帰支援策の充実・強化も大事であります。適切な治療によって病状が快方に向かい、あるいは回復した人がスムーズに社会復帰できるようにするためには、医療部門と就労・修学支援部門等との連携が重要であります。

うつ病は、医療、教育、家庭、就業など幅広い分野へ影響を及ぼします。単なる疾病対策としてのうつ病対策ではなく、都の関連部門による連絡会議を設置し、総合的な対策を講じるべきです。都の見解を求めます。

【若年性認知症対策について】 

65歳未満の現役世代の認知症である若年性認知症は、発症した場合、医療や介護のみならず、就労も含め、多岐にわたる課題が生じる深刻な病気です。

高齢者の認知症と異なり、一家の大黒柱が職を失うことは、本人が社会的な居場所を失うだけでなく、家族も経済基盤を失い、深刻な生活苦に陥ります。

現在、若年性認知症の方が受けられる支援制度としては、障害年金や自立支援医療費制度、介護保険制度など多岐にわたりますが、

若年性認知症の家族は、どこに相談したらいいのか、全くわからない場合が多いと聞きます。現在、都内の専門相談窓口は極めて少ない状況です。そこで、身近な地域で相談が受けられるよう制度を整備すべきです。見解を求めます。

【新銀行東京について】  

先月発表された新銀行東京の平成21年度決算は、15億円の黒字を計上するとともに、純資産は再建計画を大幅に上回る490億円となっております。

今回の決算により、追加出資した4百億円の資本を毀損させないとした都議会の付帯決議が守られていることは明らかであります。

これまで4百億円の追加出資については「どぶに捨てることになりかねない」という一部会派の主張がありましたが、この決算結果から、全く根拠のない無責任な言いがかりに過ぎないことが明らかになりました。公明党は、今後とも追加出資の4百億円が保全され有効に活用されることが重要であると考えております。新銀行東京の平成21年度決算について、追加出資の効果と、都の評価について見解を求めます。

【外郭団体改革について】

次に、外郭団体改革について質問します。

我が党は石原都知事の誕生以前から、都の行財政改革を主張し、外郭団体、中でも監理団体について改革を進めてまいりました。その結果、現在の監理団体数はかつての半数となり、役員の退職金を全廃し、隠れ職員定数と指摘されてきた派遣職員数も大幅に削減させてきました。

そこで、次なる改革は報告団体であります。周知のとおり、都の外郭団体には監理団体とは別に報告団体があります。報告団体は都からの財政支援が少なく、自らの経営責任のもと自主的な経営を行う団体であるため、都は監理団体のような特別な関与を行わず、運営状況の報告を受けるだけとなっており、所管局が事業執行を進める中で適切に指導することを原則としております。

しかし、報告団体を個別に見ますと非常に多様であり、時代の変化とともに事業内容、都との関連の度合い等も変わってきており、透明性を高めていく必要があるものも出てきております。また所管局の指導だけに止めておくと、天下りの温床などとあらぬ誤解を招く場合もあります。

我が党は、このような間違った認識を正していくためにも、報告団体について、都が率先して団体の特性や都との関連性等を精査し、位置づけを明確化すべきと考えます。見解を求めます。

【スポーツ振興について】

今定例会においてスポーツ振興局設置の組織条例の改正案が提出されました。

国に先駆けてスポーツ振興局を設置することは、青少年の健全育成と健康増進のため、スポーツ振興施策に取り組み、政府にスポーツ庁の設置を働きかけてきた我が党としても賛成するものであります。

都は平成20年に東京都スポーツ振興基本計画を策定し、都民のだれもが、いつでもスポーツを楽しむことができる社会の実現と、スポーツの都市戦略化というコンセプトを掲げました。スポーツ振興局の設置にあたっては、スポーツを通して東京の新たな魅力を発信していくべきと考えます。知事の所見を伺います。

あわせて、生涯スポーツ社会の構築と国際競技力の向上を東京が先導するとともに、子どもから高齢者まで誰もがスポーツに親しむことができる施設づくりと環境整備が重要です。見解を求めます。

最後に、「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について申し上げます。昨日、幼稚園、小学校、中学・高等学校のPTAの代表の皆様方が、改正案の早期成立を求める4万5千件にも上る署名を議長に提出し、その後、都議会公明党にも要請に来られました。

PTA代表の皆様方の切実な思いを前に、改めて、本定例会で改正案を成立させなければならないという強い責任を感じました。都議会公明党は、自民党とともに、民主党・共産党・生活ネット未来の皆様にも賛同いただけるように、改正案の抽象的で、分かりにくい表現を改め、さらに、条例が拡大解釈されたり、規制が一人歩きする可能性の歯止めとして、本制度の施行状況を3年経過後に検討の上必要な措置を講ずることを附則に盛り込む修正案を作成いたしました。

民主党・共産党・生活ネット未来の皆様にも、都民の負託を受けた都議会として良識ある判断をされ、修正案に賛同されることを強く求めます。

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