【都財政について】
都都財政について質問します。
平成22年度予算案の特徴は、2年間で1兆1000億円減収という前代未聞の厳しい財政環境の中にあって、一般会計の規模こそ対前年5.1%減となったものの、政策的経費である一般歳出総額では1.9%増の4兆6289億円とし、さらに景気対策としても重要な投資的経費を4.7%増の8137億円としたことであります。
とりわけ、「福祉と保健」の予算が構成比で過去最高の20%とされたことを評価したいと思います。
この数字から、「都民生活の現在と将来に責任を持つ」という都庁全体の意思を読み取りたいと思います。また同時に、厳しい経済環境の中で、なぜこれほどの積極的な予算が可能になったかという点に、注目すべきであると強調したいと思います。
言うまでもなくそれは、知事を初めとした都庁全体の10年来に及ぶ行財政改革の努力の結果であり、またその果実が、今年度1兆3000億円にも上った活用可能な基金と、7%台に止まっている起債依存度が示す財政の健全性であります。そして、それを可能とした重要な要素の一つが実は公会計制度の改革であります。
都議会公明党が強く主張し、知事もかねてからその必要性を認識していた複式簿記・発生主義会計を、東京都は国に先駆けて導入しました。いささか大げさに言えば、これは明治の太政官政府以来の抜本的な公会計制度の改革であります。
具体的には、バランスシートなどの財務諸表の導入・活用によって、1兆円を超えていた、いわゆる都の「隠れ借金」を顕在化させ、さらに、その原因の分析を通して解消策を見出し、平成19年度には「隠れ借金」がゼロとなりました。同時に、発生主義会計の導入によって、減価償却の概念を取り入れ、例えば公の建造物の更新費用を企業の内部留保のように「社会資本等整備基金」に積み上げることが可能になり、その額は平成21年度末で4057億円にのぼります。
財政の健全性の回復の背景には、こうした公会計制度の改革があったということを是非、広く都民に知っていただきたいと思います。「基金が積み上がったのは、使うべき資金を使わなかったからだ」などという批判が、いかに的外れであるか明らかであります。
改めて知事に伺います。国に先駆けて複式簿記・発生主義会計の導入による公会計制度改革を行って都財政の再建を果たし、今また厳しい経済環境の中で、都が果たすべき役割を果敢に達成しようとする平成22年度予算案を提示された決意、あるいは、ここに至るまでの想いについて答弁をいただきたいと思います。
一方、国は、22年度予算編成の過程において「事業仕分け」を行いました。結果的にパフォーマンスとして注目を集め、予算編成過程に国民の関心を喚起した意義は認められましたが、無駄の排除、財源の発掘には十分な効果がありませんでした。
都は既に、2次にわたる財政再建プランを実行に移し、すべての事業を対象にして事業効果の点検・見直しを行ってきました。今後、さらにムダを排除し、財源を確保しながら施策を効率的に推進していくためには、事業の集中的な点検・検証を日常化し、その成果を継続的にすべての事業に反映させていく仕組みへと発展させる必要があります。
新たな公会計制度には、日々の会計処理自体に無駄や非効率を排除する仕組みが内部化されているはずです。これを活用しながら事務事業評価を進化させることが重要であります。
22年度予算編成における事務事業評価の活用の成果、また今後のさらなる制度の進化とその効果について、都の見解を求めます。
【雇用対策について】
雇用全般に厳しい状況が続いています。中でも直近の問題は、かつての就職氷河期を上回るとも言われる新卒者の就職難です。我々公明党は、先の第四回定例会でもこの問題を指摘し、対策の強化を求めました。なかでも深刻な状態にあるのが高卒者です。
昨年12月末時点の高校生の就職内定率は、前年同期比で7.5ポイント減の74%に止まり、4人に1人が内定を取れない状況でした。働く意欲のある若者が、社会の入り口で参加を拒絶されるなどということは、そもそもあってはならないことであります。
いよいよ三月を迎え、卒業式シーズンに入ります。苦境に立たされている高校の新規学卒者の支援について、都は対応を強化すべきです。見解を求めます。
一方、大学生については、都議会公明党が提案した首都圏合同就職面接会の第2回目が2月16日に開催されました。卒業まであとわずか1カ月半という時期にも関わらず、2400人を超える大学生等が面接に訪れました。求人動向が厳しい中でも、144社の参加企業と約900人の求人を確保したことは評価したいと思います。
また、1月には多摩地域の大学と「しごとセンター多摩」が連携して、新たな形態の合同就職面接会を実施しました。学生の就職状況の厳しさを大学から聞き取り、「しごとセンター多摩」が大学と一体となって行ったこの取り組みは画期的です。こうした都と大学の連携による就職支援は、23区でもエリアごとに行うなど、取り組みの拡大を図っていくべきであります。都の見解を求めます
社会参加の重要な入り口が就職です。これは何も新卒者に限りません。倒産、破産、リストラなどで、再チャレンジが必要な人に対して、再度の社会参加のチャンスを提供することは、昨今の社会経済状況の中では、自治体にとって重要な仕事になります。
そこで、知事も施政方針で触れられましたが、国のハローワークなどの無料職業紹介事業は、地域の実情に精通している地方自治体に移譲すべきであります。改めて、都の見解を伺います。
【地球温暖化対策について】
地球温暖化は、もはや一刻の猶予もならない喫緊の課題であるにも関わらず、政府の動きは依然として緩慢であり、「2020年までに1990年比25%削減」目標の達成に向けたロードマップも未だ示されておりません。
一方、都はいよいよ4月から大規模事業所を対象にしたキャップ&トレードを開始します。オフィスビルなど業務系施設をカバーする制度としては世界初の試みであり、全国レベルでのキャップ&トレードの制度設計をリードするものとなります。
「都市の世紀」といわれる今日、東京は、世界への先進的な環境対策の発信拠点として、その存在感を示すべきであります。制度のスタートに万全を期するとともに、東京だけでなく、世界総体のCO2削減に向けての情報発信となるように態勢を整え、さらに今後のシステムの洗練化に取り組むべきであります。見解を求めます。
【都における温暖化対策は】
都庁内における環境対策について質問いたします。
都庁内全部局の中で、最も温室効果ガスを排出するのは下水道局であり、その割合は40%に上ります。既に下水道局では、「アースプラン2010」を策定し、2020年度までに対2000年度比で温室効果ガスを25%以上削減する目標を明示しました。そこでまず、この「アースプラン2010」における温室効果ガス削減の手法について説明を求めます。
下水道局が排出する温室効果ガスで特徴的なのは、汚泥処理の過程で、CO2の310倍の温室効果があるN2O(一酸化二窒素)が発生することです。つまり、このN2Oの排出抑制に取り組めば、大変に大きな効果が上がります。下水道局の見解を求めます。
【住宅対策について】
自治体は、保健・福祉・医療ほか広範で多様な行政サービスを提供することが大きな責務です。そして、そうした行政サービスの提供が意味を持つためには、居住の安定が不可欠です。つまり、住宅はすべての行政サービスの基盤であると言っても決して過言ではありません。
従って都に限らず、多くの大都市型自治体では、住宅難が一般化していた高度成長期から今日に至るまで、住宅困窮者用の住宅を、公営住宅として建設し、供給してきました。
我々都議会公明党は、歴史的にこの都営住宅の整備・充実の必要性を強調してきました。そして今、高度経済成長期の住宅難とは違った意味で、介護や子育て、雇用・就労対策、独居高齢者・高齢世帯支援などにおいて、住宅のセーフティネットが強く要請されています。研究者の報告によると、イギリスでは1980年代に公営住宅の不要論が力を持ち、公営住宅の払い下げや、地方自治体による建設・供給制度が後退し、良質な公営住宅のストックが著しく減?したそうであります。ところがその後、2007年に出された「住宅緑書」、いわゆる「グリーンペーパー」では全く逆の提言がなされ、政策の方向は一転し、低所得者向けの公的住宅の大幅な供給増に取り組まざるを得なくなりました。つまり、都市生活の安定性の確保には、公営住宅が必要であると、イギリスでは改めて認識されたということであります。
従って、安定性・継続性が重要な住宅困窮者向け住宅の供給、子育てから介護まで様々なニーズに適合した住宅の供給、さらに、福祉的な配慮を必要とする居住者への対応などを含め、都が直接、建設し供給する都営住宅を柱に住宅政策を組み立てることが最も妥当であります。今後とも住宅困窮者に対しては、都営住宅を中心とした住宅政策を展開すべきです。都の見解を求めます。
また今後、老朽化した都営住宅の建て替えが続きます。この建て替えの際こそ、介護・子育て支援住宅の供給を初め、都が目指す、?子高齢社会の都市モデルの構築、環境負荷の低い街づくりや防災まちづくりなどを実現する絶好のチャンスであります。都営住宅の建て替えにあたっては、老朽化した住宅の更新だけではなく、環境・福祉・防災まちづくりに配慮しながら、事業を推進するべきであります。都の見解を求めます。
ところで、現実の都営住宅の現場では、著しい高齢化に伴い、共益費の自主回収すら困難な状況になっています。従来、都営住宅では、共用部分の維持・管理費用などを共益費として自治会費と合わせて徴収してきました。その共益費の中から、例えば共用部分の電気代や補修費などを賄っているのですが、そうした徴収の手間や、維持・補修にかかわる手続き自体が、高齢化による自治機能の低下によって困難になっています。
こうした高齢化による自治機能低下を補う工夫が必要です。共益費の回収負担の軽減や、コミュニティ機能の維持・向上のための支援策について、方針を明らかにしていただきたいと思います。
【住宅・介護について】
住宅と介護について質問します。
「すまい」の観点から介護問題にアプローチするには、都営住宅の活用のほか、小規模多機能型居宅介護事業の充実が不可欠です。わが党は、昨年の11月から12月にかけて全国の3000名を超える議員が「介護総点検」を実施し、在宅介護による家族の心身の負担や、介護施設の不足に関する意見など、10万件を超える声をまとめ、政策提言「新・介護公明ビジョン」として発表しました。
今回の「介護総点検」で、改めて必要性が浮き彫りになったのは、特別養護老人ホームなどの介護施設の増設とともに、在宅介護を「通い」「宿泊」「訪問」などのサービスでサポートする小規模多機能型居宅介護事業の拡充でした。小規模多機能型施設や特別養護老人ホームの増設に向けた都独自の支援策を強化すべきであります。所見を伺います。
【療養病床問題について】
関連して介護について言えば、療養病床の確保も重要です。わが党はこれまで数次にわたり、拡充を訴えてまいりました。こうしたなかで都は、平成24年度までに2万8077床を確保するという目標を立て、独自に療養病床整備に対する助成を行っております。
しかし現状は、医療機関にとって、あまりにも不確定な要因が強く、積極的に整備に乗り出す環境になっていません。従って、医療機関の意欲を促す療養病床整備のための支策策が必要です。都の見解を求めます。
【脳卒中対策について】
また、介護に関連して、高齢の要介護者を生み出す最大の原因である脳卒中について質問いたします。
脳卒中は、65歳以上の患者が多いことから、今後の急速な高齢化、特に団塊の世代の高齢化に伴い、患者の急増が懸念されます。従って、効果的な医療体制の整備など、脳卒中対策は喫緊の課題です。
脳卒中における救命や後遺障害の軽減には、発症後の早期の対応が重要であります。特に脳卒中の7割近くを占める脳梗塞には、血栓を溶かす「t-PA」という特効薬が登場し、発症後3時間以内の投与で患者の約4割は、後遺症を残さず元の身体状態に戻るとされています。脳卒中は、まさに時間との闘いです。
この戦いに勝つためには、患者となる本人や家族、並びに周囲の人たちの脳卒中に関する正しい知識が不可欠です。そこで第一に、脳卒中の兆候についての知識や、その確認方法の周知など、早期対応を可能とするための意識啓発や知識の普及に努めることが重要です。都の見解を求めます。
また、脳卒中は、急性期の早期にリハビリテーションを開始し、引き続き回復期においても専門的なリハビリを集中的に行います。その際、急性期病院の入院期間は短く、すぐに転院を求められるケースが多く、患者と家族の不安を取り除くためには、順調に転院できる環境を整備しなくてはなりません。
都内の回復期リハビリテーション病床数は、人口10万人当たり平均29床。全国平均の41床と比べ、十分とは言えません。そこで、回復期リハビリ病床の増床に、積極的に取り組む必要があります。見解を求めます。
また、患者や家族に安心感をもたらし、治療効果を上げるためには、急性期から回復期へ円滑に医療機関を移り、さらに在宅療養においても継続的な治療を保障するシステムが必要です。そのための重要なツールが「脳卒中地域連携パス」です。これは、患者の病状の推移や治療経過、治療目標などの診療計画をデータとして記録し、医療機関や医師が変わっても、この「パス」を確認すれば継続的で安定的な医療を受けられ仕組みです。
しかし残念ながら、こうしたパスの存在はほとんど知られておりません。この「地域連携パス」の活用を促進し、要介護高齢者の発生を防ぐためにも、「パス」を活用した医療機関のネットワークを拡大し、都民への周知を図るべきであります。都の見解を求めます。
【保育所待機児童の解消策について】
保育所待機児童の解消について質問します。
都は、1月に「?子化打破」緊急対策を発表し、平成22年度からの3年間で2万2千人分の保育サービスを増やすとしています。ところが、都が待機児童の状況を分析したデータによれば、都内の約1万人の待機児童は、その9割が0〜2歳児であり、さらに、その保護者の約60%がパートタイム勤務や職探しの最中の方々です。
フルタイムの勤務ではないこうした方々は、入園のためのポイントが極めて低く、いくら待っても入園できず、また逆に、入園の可能性を高めるために、あえて長時間労働に従事する例があります。
こうした矛盾を解消するには、パートタイムや、勤務時間の一定しない自営業者、あるいは求職中の人々、さらに、一時保育希望者などが利用しやすい、弾力的な保育サービスが必要です。そこで提案は、0〜2歳保育を専門とし、ニーズに柔軟に対応することができる「保育ママ」、つまり「家庭福祉員」の活用です。
保育ママは、自宅でも賃貸住宅でも保育することが可能です。例えば、3人の保育ママが家賃補助を受けて3LDKのマンションを借り、時間が不ぞろいな「定期利用」の0〜2歳児を9人あずかり、更に各人が補助員を雇用すれば、合計で15人の保育が可能となります。こうした「合同保育室」が各地域に設置されれば、即効性のある待機児解消策になります。
これは、都の「?子化打破・緊急対策」における「定期利用保育事業」と、保育ママによる「共同実施型モデル事業」の二つの施策を組み合わせれば十分、実現可能です。見解を求めます。
また、いずれ待機児童の増加はピークが過ぎます。その時に、都や区市町村の施策が過剰とならないような配慮も必要です。そのために有効な方策は、既存の施設の活用です。
例えば品川区では、複数の小学校の余裕教室を利用して、隣接する保育園の年長児を受け入れる「保育園・幼稚園・小学校連携」の新たな取り組みが始まります。ここでは、プレスクールの意味も込めて、学校給食も提供され、子どもたちがスムースに学校生活に移行できるよう工夫されています。
さらに、5歳児が小学校の余裕教室に移行した保育園では、その部屋を1歳児用に転用することで受け入れ児童を増やし、待機児解消につなげる方針です。都は、こうした事例を広く周知すると共に、区市町村の取り組みを支援すべきです。見解を求めます。
【盲・ろう者支援について】
わが党が、一貫して取り組んできた社会的弱者に対する支援について質問します。
まず、盲・ろう者支援であります。
石原知事は、3月号の雑誌「文学界」に、光と音を失い、「盲」「ろう」の二重の障害を持つ東京大学の福島智教授を題材とした小説「再生」を発表しました。凡庸な我々には想像もつかない障害を背負いながら、積極的な生を営む人物に関する石原知事の感受性をうかがわせる作品です。
二重の障害を持つ福島教授と知事との出会いから誕生したのがこの小説であり、もう一つが「東京都盲ろう者支援センター」であります。昨年5月に全国で初めて開設され、盲ろう者の方々の支援拠点として、様々な相談や訓練などの事業が行われています。
既に今年1月までに、260件を超える相談があり、コミュニケーション訓練・生活訓練についても現在、29名の方々が取り組んでいます。さらに、通訳・介助者派遣事業においても新たな利用者が増加し、開設以来の実績には目を見張るものがあります。
平成18年の国の推計によると、盲ろう者の方々は、全国で約2万3200人。都内ではその一割、2000人を超える方々が存在すると考えられます。しかし現在、障害者手帳を持ち、継続的に通訳や介助等の支援を受けている方は都内で87人。依然として、数多くの方々が支援の手から抜け落ちています。
そこで今後、取り組むべき課題は、「支援センター」の都内への複数配置です。二重の障害を持って、例えば多摩地域から浅草橋の支援センターに通うのは負担が大き過ぎます。都内全域を視野に入れ、支援センターによるネットワークの形成に取り組んでいただきたいと思います。見解を伺います。
同時に必要なことは、コミュニケーション訓練や生活訓練を行う専門指導員の養成です。国は来年度より、宿泊型の盲ろう者支援のモデル事業を実施する方針です。これと連携し、盲ろう者のための専門指導員の養成と、その専門指導員養成の基準となる養成プログラムの開発を急ぐべきであります。都の見解と方針を明らかにしていただきたいと思います。
また、必要な人に必要な支援を行うために、区市町村と連携して支援センターの存在の周知を図り、支援の輪を拡大すべきです。大田区では、区内在住の盲ろう者に対して個別に支援センターの案内を送付したところ、相談につながった事例があります。区市町村と連携しての支援拡大について、見解を伺います。
【高次脳機能障害について】
この障害は、交通事故など不慮の災害や脳血管疾患により脳が損傷を受け、その結果、言語や記憶等に障害が生じるものです。外見からは分かりにくいため、周囲からの理解を得られにくく「見えない障害」とも言われています。都議会公明党は平成10年第4回定例会の代表質問において、初めてこの問題を取り上げ、各種対策の実施を求めてまいりました。
これを受けて都は、その後、二度にわたる実態調査やニーズ調査を実施し、支援のための冊子や「診断・リハビリテーションマニュアル」等を発行し、さらに、心身障害者福祉センターを支援拠点として活用する事業を展開してきました。
また、実態調査によると、平成11年度では4千人余りだった障害者が、19年度では、調査方法や対象が異なるとはいえ、約5万人となっています。こうした状況に対応するため現在、新たにリハビリテーション拡充のためのモデル事業の実施が予定されています。
今後、地域におけるリハビリ提供体制を充実していくためには、医療機関や相談支援機関など、関係機関の連携体制の強化が不可欠です。新たに実施するモデル事業の内容、並びに関係機関の連携強化について見解を求めます。
さらに、高次脳機能障害者の相談に、適切に対応していくためには、障害を持った経験のある人やその家族が相談員となる、いわゆるピアカウンセリングの活用が有効です。見解を求めます。
【小児医療体制の整備について】
多摩総合医療センターと小児総合医療センターが本格的に業務を開始しました。今後、大事なことは、統廃合される地元区市の小児医療体制を後退させないことであります。都議会公明党は、一貫してこれを主張し、都もわが党の主張を受け、統廃合される地元区市との度重なる協議を行い、小児医療体制の支援策を明らかにして参りました。
昨年の第4回定例会においては、小児総合医療センターと各地元との医療連携を強く求めましたが、予算を審議する本議会においては、地元区市の小児医療に対する財政的な支援も含めた総合的な支援策を求めたいと思います。都の見解を伺います。
また都は、梅ヶ丘病院の移転に伴い、昨年10月1日、都立大塚病院内に新たな児童精神科外来を開設しました。23区内の発達障害、自閉症などの専門外来であり、半年近く経過した現在、初診の予約が殺到する状況が続いています。従って、大塚病院内の児童精神科外来の体制強化と医師の増員を図るべきです。見解を求めます。
一方、開設された小児総合医療センターは、小児専門のERや集中治療室(PICU)を新たに設け、小児救急医療の拠点となる「子ども救命センター」の役割を果たすことになります。また、隣接する多摩総合医療センターの産科と連携して、ハイリスクの母体搬送の受け入れから、新生児の管理までを横断的にケアする都内最大の「総合周産期母子医療センター」の機能も果たすことになります。
そこで重要なのは搬送手段であり、その役割を果たすのが、小児ドクターカーと新生児ドクターカーであります。しかし、23区の2倍以上という広大な面積の多摩地域では、ドクターカーと併せ、東京消防庁の「東京型ドクターヘリ」の活用を我が党は主張し、都においても、開業当初から活用できるよう準備を行ってまいりました。
ところが一部マスコミが、「東京型ドクターヘリ」の活用は開業に間に合わないとか、ドクターヘリとしての機能を果たさないなどの報道がなされたため、一部から不安の声が上がりました。そこで改めて「東京型ドクターヘリ」の活用と有効性について、都の見解を明らかにすべきであります。
また、「10年後の東京」実行プログラムには、多摩地域に「スーパー総合周産期センター」を設置すると明記されています。まさに多摩総合医療センターと小児総合医療センターこそ、「スーパー総合周産期センター」の一翼を担うべきであります。都の見解を求めます。
さらに小児総合医療センターには、新生児集中治療室(NICU)が、24床整備され、従来よりも9床増床となります。今後都は、さらに多摩地域のNICUの整備に力を注ぐべきと考えますが、都の見解を求めます。
【がん対策について】
日本人の男性は二人に一人、女性の三人に一人が、がんになると言われ、もはや、がんは日本人の国民病といっても過言ではありません。従って、がん医療の充実は焦眉の急を要する課題であり、我々はこれまで、さまざまな角度から、がん対策の強化を主張してきました。そこでまず、開設された多摩総合医療センターにおける今後のがん医療の強化について、答弁をいただきたいと思います。
公明党は、国と地方議会が連携して、がん予防のための検診体制強化を一貫して求めてきました。その結果、無料クーポンによる乳がん・子宮がん検診の受診促進策の実施や、マンモグラフィ機器の整備など、近年特に、女性のがん予防対策を強力に推進してきました。
特に子宮頸がんについては、その原因であるヒトパピローマウイルスのワクチンが、発症予防に有効であり、ワクチンの販売開始と併せて、接種費用の助成を行うべきであると議会後も繰り返し主張してまいりました。昨年12月、ようやく、このワクチンの国内販売が開始されました。従って、接種費用の助成を早期に実施すべきであります。
子宮頸がんは、20歳代、30歳代の若い女性の発症が増加しており、全国で毎年約2500人の女性が亡くなっています。このことを重くとらえ都議会公明党は、度々本会議等において子宮頸がんワクチン接種に対する公費助成を訴えてまいりました。先日も申し入れを行ったばかりですが、平成22年度中にも都内の一部区市町村でワクチン接種に対する公費助成が開始されます。都は接種促進のため、区市町村に対する財政支援を速やかに実施すべきです。答弁を求めます。
【都立高校改革について】
都はこれまで、総合学科高校、チャレンジスクール、中高一貫教育校など新しいタイプの学校を設置するとともに、既設校を進学指導重点校やエンカレッジスクールに指定するなど、都立高校改革を進めてきました。
その間、各学校の個性化が進み、また中途退学者が減?するなど、成果も上がっています。そして都立高校改革も、いよいよ総仕上げの段階を迎えますが、これまでの成果と今後の高校改革の取り組みについて、方針を伺いたいと思います。
さて、新たなタイプの高校の中でも、評価と人気が高いのがチャレンジスクールです。平成19年に教育庁は「新しいタイプの高校における検証委員会報告」を発表しましたが、その中でも、チャレンジスクールは、不登校傾向のある生徒が立ち直るなど、その役割が高く評価されています。
しかし同時に、課題も指摘されています。不登校や退学経験のある生徒に関しては、校内での相談事例にも解決が困難なケースが多く、それに対応できるスクールカウンセラーの10 配置などが求められています。
また学校運営が、生徒は3部制、先生は2部制のため、放課後に生徒が相談しようとしても、教員が授業中で対応出来ないという三部制ならではの課題もあります。こうした学校運営の難しさ、生徒の相談内容の重さなどから、今後はさらに教職員の資質向上が必要とされています。高校改革10年目を迎え、チャレンジスクールなどの課題解決へ向けた都の取り組みについて、見解を求めます。
また、都立高校改革における今後の重要な課題は、学力向上です。都教育委員会は都内の公立小中学校においては、都独自に学力調査を実施し、授業改善推進プランを作成するなど、児童・生徒一人ひとりの学力向上に取り組んでいます。
都立高校においては、進学指導重点校などの指定を行い、学力向上に取り組んでいますが、それ以外の高校においても小中学校と同様、生徒がどれだけの学力を身につけたのかを検証して、実効性のある学力向上対策を実行すべきであります。見解を求めます。
【青少年健全育成条例の改正について】
昨年の児童ポルノ犯罪の摘発件数は、全国で前年比約四割増の935件と過去最多となりました。児童ポルノの根絶は今や一刻の猶予も許されない課題であります。ところが、他人への提供を目的としない、いわゆる「単純所持」が処罰の対象にならないのは、G8では日本とロシアのみになってしました。
我が党は、単純所持処罰化のための児童ポルノ法改正法案を自民党とともに国会に提出するなど、児童ポルノの根絶に向けて党を挙げて取り組んできました。確かに、単純所持の処罰化は、国民的合意の下に実施されるべきであります。しかし、この瞬間にも、児童ポルノの被写体となり、心身に傷を負う子供がいることを、手をこまねいて見ていることは許されません。
今回の条例改正案には、「何人も児童ポルノを所持しない責務を有する」との規定をはじめ、児童ポルノの根絶に向けた意欲を強く感じます。さらに今後は、罰則規定の導入などを検討すべきであります。改めて知事の所見を伺います。
次に、昨年4月に施行された青?年インターネット環境整備法においては、青?年が利用する携帯電話については原則としてフィルタリングを提供することとしていますが、法施行後も、フィルタリングの使用率は都内の中学生で約54%にとどまり、子供の言いなりにこれを解除する親もみられます。
こうした状況を改善し、より一層のフィルタリングの普及・定着を図るため、都の実効性のある取り組みが必要であります。特に、首都圏においては、通学等による都県を越えた移動も多く、近隣三県とも連携を取りながら、広域的な取り組みを行っていくべきと考えますが、見解を求めます。
【羽田空港国際化について】
次に、羽田空港の国際化について質問します。今年10月、いよいよ、羽田空港の四本目の滑走路や、国際線旅客ターミナル、国際貨物ターミナルが供用開始となり、国際定期便は、昼夜合わせて年間約6万回の増便となります。
また昨年12月には、アメリカとの就航が決まり、欧米やアジアとの間でヒト、モノ、情報が活発に行き交うようになります。羽田に国際貨物ターミナルも新たに整備され、生鮮食品や高付加価値の製品の行き来が活発化し、物流面でも高い効果が期待できます。
まずは改めて、最近の情勢の変化も踏まえ、羽田の国際化、ハブ空港化に対する知事の所見を伺います。
ところで、現在の臨海部のインフラ整備は、羽田空港の4本目の滑走路は前提に含まれておりません。新滑走路の運用開始後は、昼間の発着枠で約40万7000回、深夜早朝で約4万回に達します。これにより、新たに年間1千万人近い方々が羽田空港を利用すると想定され、その結果、羽田へのアクセスを初め臨海部のインフラは、限界を迎える恐れがあります。
こうした事態へ対応するためには、臨海部のインフラ整備の新たな青写真を描く必要があります。これは、極めて有効な公共事業であり、高い経済効果が期待できます。
そこでまず、羽田空港の国際化に伴う経済効果と雇用拡大について、展望を示していただきたいと思います。見解を伺います。
またこれは、観光振興の絶好の機会でもあります。都は、2016年に1千万人の外国人旅行客を迎え入れることを目標にしていますが、今こそ、観光都市・東京の多彩な魅力を、効果的に海外に発信すべきであります。所見を伺います。
観光客の受け入れ体制を整備するためにも、交通アクセスの改善は避けて通れません。具体的には、広域幹線道路である国道357号の延伸、大鳥居交差点の立体交差化、そして臨海副都心とのアクセス改善が急務であります。
さらに、都営浅草線の東京駅への接続、東京駅までのモノレール延伸など、検討すべき課題は山積しています。空港アクセスの改善について、都の取り組み状況を伺いたいと思います。
【駐車対策について】
話題を呼んだ民間の駐車監視員による駐車違反確認事務が始まって4年になります。実施に当たっては、悪質、危険、迷惑な違反を重点的に取り締るとし、また結果として交通事故件数の減?など、一定の効果があったと認識しておりますが、警視庁の警察活動全般に対する効果について警視総監の見解を伺います。
我々の調査によると、交通事故件数の減?など、一定の効果は認められるものの、極めて短時間で確認標章が貼られてしまい、配送業務等に支障をきたし、どのように対処すればよいか困惑していると、物流業者をはじめ、業務用車両を運行する多くの事業者から困惑する声が寄せられているところであります。また、タクシー事業者からは、うかつにトイレにも行けないなどの悲鳴にも似た訴えや、子どもの出産にかかわる助産師からは、急な往診に対応できないなどの苦情も寄せられています。
こうした声を受け、都議会公明党は度々、規制緩和の要望を重ねてまいりました。現在、警視庁ではこうした要望を受けて、配送業務等の駐車禁止規制の見直しを進めていますが、その内容、及び進捗状況について明らかにしていただきたいと思います。併せて東京における今後の駐車規制の見直しについて、所見を伺います。
【オリンピック招致活動報告について】
バンクーバー・オリンピックが閉幕し、近くパラリンピックが開幕になります。時節を合わせたかのように、都は過日、「2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致活動報告」を公表しました。
そこでまず、報告書で分析している活動の成果や課題、さらには、再度招致をめざす場合には、今回の教訓をどう生かしていくべきか、知事の見解を伺います。
今回の招致活動では、当初に比べ、尻上がりに機運が高まりました。その影響もあり、既に東京商工会議所は、2020年の招致に再挑戦するよう求める決議を行っています。今後、改めて招致をめざす場合は、行政だけでなく、こうした民間の主体性を最大限に尊重する運動論が展開されていくべきであります。知事の認識を伺います。
招致活動費については、先般の本会議で、一般財源分の100億円に関しては、東京都監査委員から「特定業者に契約が集中しており、業者選定方法について慎重に検討すべき」などの留意事項はあったものの、「概ね適正に執行されていることが認められた」との報告がありました。
一方、民間資金の49億円については、外部監査法人の公認会計士による監査が行われておりますが、現段階における年度別の監査状況を明らかにしていただきたいと思います。さらに、民間資金については、当初計画通りの寄付が集まらず、6億9千万円の借り入れを行うとしております。この返済方法についても明らかにすべきであります。都の説明を求めます。
今回の招致活動を通し、スポーツ振興に対する都民の関心が高まったことは、大きな財産であります。都は、今回の招致活動を通して得た財産を生かすため、スポーツに対する関心が高まっているこの機会を捉え、スポーツ振興策を総合的に推進し、日本全体のスポーツ振興をリードすべきです。見解を求めます。
【築地市場について】
過日、築地市場の現在地再整備案が記者会見で示されたと聞いています。これは、果たして誰が責任を持って提示した案であるのか、また、工期や費用の算定の根拠は示されたのか、我々には全く分かりません。
ただ、その内容を仄聞すると、晴海への仮移転が前提となっているそうです。そうすると晴海での環境アセス、土壌調査、住民合意の形成などの課題が出てきます。局の見解はいかがか。
あるいはまた、仮移転したのちは、築地における再整備のための同様の作業が必要になると考えられます。特に土壌調査が問題となりそうです。局の見解はいかがか。
言うまでもなく、開設から75年を経た築地市場は、昨年11月の震度2の地震による鉄製ガラリの落下、同じく12月の大雨による庇コンクリートの崩落を挙げるまでもなく、耐震性の脆弱さ、老朽化、狭隘化で限界状況を呈しています。また、高度な品質、衛生管理が困難であり、多くの制約から市場機能の強化を図ることができず、生鮮食品の取扱量は大きく減少しています。築地市場の問題は、こうした客観的な事実、具体的な状況認識に基づいて議論を重ね、単なる引き延ばしに終始することなく、合理的な判断を下すべきであります。
また、新たに整備される市場は、向こう50年間は使用される施設です。この議場にいる我々の大多数が存在しなくなる時代まで続く施設の整備です。それを決める我々の責任は重大です。間違っても「都知事選の争点にする」などといった無責任な姿勢で議論すべきではありません。
ことの発端は土壌汚染であります。食の安全から万全を期すことは当然であり、その意味で技術会議、専門家会議、汚染処理の施工例を持つ手法の公募、そして、屋上屋をいとわずに決めた汚染土壌処理の実証実験、これらの一連の流れは、率直に見れば十分に評価に値します。後は、実験の結果とそのデータをありのままに公表することです。このような、我々のごく当たり前の見解を踏まえ、新市場整備に関する展望、所見を伺い、代表質問を終わります。