はじめに
鳩山政権のもと、外交・安全保障についても、窮地に立たされている日本は、景気経済においても急激な円高が、デフレを加速させるという厳しい局面に立たされています。
今回のデフレは、「真性デフレ」の様相を呈し、需要不足で益々物価が下がると言われています。これを打開するために鳩山政権が、本日とりまとめた追加経済対策には、エコポイント制度の延長や中小企業の信用保証枠を拡充するといった対策が示されましたが、いずれも既存の延長線の対策が中心であります。
前政権の補正予算をわざわざ削減したのは何だったのでしょうか。前政権を否定したいがためのパフォーマンスによって、年明けの景気の2番底への懸念が益々強まっています。
この第二次補正予算も。臨時国会を早々と閉じたために、通常国会を待たなければなりません。日々刻々悪化する経済の実態を前に、危機感もスピード感も極めて乏しいと言わざるを得ません。
新政権がこのままの姿勢を取り続けるならば、日本は沈没してしまいます。今、国民・都民は年末にかけて、大変不安な気持ちに苛まれています。こうした時こそ、都民・国民の閉塞感を打破する決意で、日本の頭脳・心臓部である東京から、力強く政治と行政のあるべき姿を示していかなければなりません。
「東京から日本を変えていく」という気概を持った石原知事に、新政権をどのようにみているのか、また、今後の都政運営に対する決意を伺い、以下、喫緊の都政課題について質問いたします。
【財政問題】
去る11月5日に平成21年度の都税収入見込が発表されたところです。平成20年度決算対比で約2割の大幅な減となり、減収額は過去最大の約1兆円と見込まれています。
さらに、来年度予算は、現在の税収動向を前提とすると、このままでは、約6千億円もの、巨額の財源不足が生じてしまいます。
この財源不足に対して、基金をはじめとした財政の対応力をどのように活用していくかという点が今後の財政運営上の課題になってくると考えます。同時に、歳出全体をどのように効率的・効果的に見直すのかという視点が従来にも増して重要になってきます。
現在、国においては、歳出削減の切り札として事業仕分けが活用されていますが、目の前の金額の多寡や当年度のコストのみに着目しており、政策と政策効果という視点が見失われ、短時間のコスト論のみで結論を出そうとすることは、まさに従来の現金主義会計の手法から抜けきれていないと言わざるを得ません。
事業仕分けは、我が党が最初に主張し、行政改革推進法に明確に規定されたものであり、その理念自体は正しいと考えますが、場当たり的に事業の廃止が決まっている、現在の国の事業仕分けの手法には大きな疑問を持っております。
都においては、国に遥かに先んじて、財政再建に取り組み、さらに、我が党が提唱した新たな公会計制度を活用しながら、事務事業評価の取組を推進することで、施策の無駄を排し、実効性を高める取組を強化してきました。
そこで、都から見た国の事業仕分けの課題と、平成22年度予算編成に向けた都の事務事業評価の取組について見解を求めます。
また、民主党のマニフェストに掲げられている子ども手当、高校授業料の実質無償化こそ、本来、国の事業仕分けの対象とすべきであります。
これらの施策の実施にあたっては、制度創設に伴う確実な財源が確保されることが大前提であり、言うまでもなく、地方への負担転嫁は言語道断であります。仮に、地方負担が求められたり、さらに、検討の俎上に上っている自動車関連諸税の暫定税率の廃止に伴う代替財源が措置されない場合、都への影響は相当大きくなると考えます。
その場合、子ども手当、高校授業料の実質無償化、暫定税率廃止に伴う、影響額について、都の見解を求めます。
次に、子ども手当の財源として国は、所得税に加えて、住民税の扶養控除も廃止することを検討しています。廃止となれば、子ども手当が支給されない世帯にとっては、家計の負担は増大します。さらに、住民税の非課税ライン等を基準とした都の施策においても、都民生活の負担増になることは避けられません。
そこで、例えば、子ども手当の対象にならない23歳から69歳までの成人を2人扶養している世帯の場合、家計の負担はどれだけ増大するか、都の見解を求めます。
併せて、住民税の扶養控除が廃止された場合、特に、福祉の分野で影響が大きいと考えます。そこで、具体的な影響について、都の見解を求めます。
先日、石原知事が2020年のオリンピック・パラリンピック招致に向けたエントリーの意思表示をされたところであり、今後、4千億円のオリンピック・パラリンピック開催準備基金の取扱が課題になってくると考えます。4千億円のオリンピック・パラリンピック開催準備基金は、石原都政下で財政再建を成し遂げ、堅実な財政運営を行ってきた成果でありまして、今般のような厳しい経済状況においては、都民が必要とする施策に有効に活用されることを含め、適切に対応されることを要望いたします。
【雇用問題】
都は昨年来の雇用情勢の悪化に対応し、東京緊急対策?で都独自の取り組みや区市町村補助金を打ち出し、続いて国の交付金による基金を活用して緊急雇用創出に取り組んでいます。
さらに11月の我が党の緊急要望を受け都は、今回の補正予算でも切れ目ない対策に取り組もうとしています。雇用情勢の厳しさは来年度も続くことが予想されます。都は集中的な人員投入で効果の出る事業を積極的に企画し、さらに緊急的な雇用創出に努めるべきであります。例えば、「海の森」での臨時的な植樹事業、緊急の緑化作戦、都内の河川敷のクリーン作戦、さらには、エコにつながる取組など、グリーン・クリーン・プロジェクトとも言うべき新たな雇用対策を実施すべきであります。まず、今回の補正予算も含めた基金事業による都内の具体的な雇用創出と今後の新たな取組について、見解を求めます。
一方、失業した都民の側に立つと、さまざまな雇用創出事業が「いつ、どこで、どのように行われているのか、よく分からない」といった声が出ています。特に民間に委託した事業の場合、失業者の立場からは、この事業によって雇用がどれだけ生み出されているのかという実感が持てないとの事であります。
従って、都自らが創出する新たな緊急雇用については失業者に目に見える形でわかりやすく伝えるべきであります。
また、緊急雇用は臨時的つなぎの雇用であり、失業者が正規雇用などの次の仕事を見つけられるような支援も重要であります。
東京しごとセンターの就労支援メニューを具体的に紹介し、活用を促す対策を実施すべきであります。併せて、都の見解を求めます。
去る11月25日、都議会公明党が提案してきた新規大卒者のための首都圏合同面接会が池袋で開催されました。140社の企業が参加し、約1300人の求人に対し、2500人以上の新規大卒者が面接に訪れました。我が党も面接会場を視察しましたが、大きな反響を目の当たりにしました。
2月に再度、合同就職面接会を開催すると聞いていますが、高校生も対象としたり、開催形態を多様化するなど、さらに充実を図っていくべきであります。見解を求めます。
また、都内で最大の年齢人口である30代向けに安定した雇用を拡大することも喫緊の課題であります。都は、昨年11月の東京しごとセンターに続き、先月には東京しごとセンター多摩においても正社員採用・定着支援事業いわゆるネクストジョブ事業をスタートさせました。
30代についてはこのネクストジョブ事業と職業訓練を連携させながら、質量ともに拡大することが必要と考えます。特に、職業訓練の職種の拡大を行い、新たな職種への雇用拡大を図ることが重要であります。例えば、農業や環境など新たな分野の拡大が必要であります。都の見解を求めます。
次に、介護分野での雇用について質問します。
介護分野では、就職をしても定着をしないということが大きな課題です。他方、求人ニーズ自体も非常に高い状態が続いています。介護分野の人材確保について、都は、本年3月に東京チャレンジ介護を開設し、介護職場を目指す離職者等への支援を行ってきましたが、十分な人材確保にいたっておりません。そこで、介護分野への雇用創出については、新たな取組を実施すべきと考えます。見解を求めます。
【介護問題】
世界で類を見ない速さで超高齢社会を迎える東京は、6年後の平成27年には高齢人口は316万人となり、要介護認定者数は、50万人を超えるものと見込まれています。
そのような中、在宅介護についは家族が無理をしながら高齢者を支えている実態が顕著に増加しています。
例えば、身体介護に加えて認知症のある80代の母親を、介護施設に入所させるまでに1年以上かかったために、一人娘が仕事を退職せざるをえなくなり、さらには二人の生活費と居宅介護サービス利用料などを支払うために退職金を使い果たし、ついには、その娘さんが、うつ病になってしまったという実際の声も届いています。こうした事例は決して特別なケースではなく、日を追うごとに在宅介護を取り巻く状況が悪化しています。
そもそも、介護保険制度は、菅直人副総理が厚生大臣の時に十分な検討を行わずに、拙速に導入した制度であります。そのため介護保険制度だけでは十分に高齢者を支える「家族」を支援しきれず、制度の枠組みからこぼれ落ち、精神的、体力的、経済的に限界にきている家族の実態があります。
このような家族介護の実態について知事は、どう感じておられるのか率直な感想を伺います。
一部の区市町村では、こうした家族介護者への支援を様々な形で行っている事例もありますが、都として、高齢者と家族が安心して暮らせる社会の実現のためにも、在宅家族介護者への支援に積極的に取り組むべきであります。
そこで、都議会公明党は「在宅介護支援手当」の創設を提案いたします。見解を求めます。
【中小企業支援】
都は、積極的に都内中小企業による販路開拓や新商品の開発を促すとともに、自らも新たな市場の開拓に向けて、取組むことが必要であります。
海外への販路の開拓は、予期せぬトラブルに遭遇するリスクなどもあることから、優れた技術を持ちながらも、海外への挑戦をためらう中小企業も少なくありません。したがって、海外での販路開拓に関し、知識と経験を合わせ持つ専門家による支援が不可欠です。同時に、信頼できる現地代理店との契約も効果的ですが、知的財産保護などの課題も含め、提携先の選択は容易ではありません。
都は、都内中小企業が進出しにくい海外においても、効果的に販路開拓が進むよう、支援の充実に取り組むべきと考えます。今後は、中国やインドも視野に入れるなど、対象国を増やすほか、新たに現地のサポートを担うコーディネート機能を整えるべきです。見解を求めます。
次に、新商品の開発を促す取組についてであります。中小企業が、厳しい経営環境から抜け出すためには、将来の成長の核となるような新たな製品、新たな技術を産み出していくことが重要であります。
しかし、中小企業は、大企業に比べて知名度や信用面で不利な立場に置かれており、新製品や新技術の販路を開拓する、積極的な手助けが必要であります。
その点、都が持つ信用力を背景に、受注実績の向上に協力し、新商品や新技術の有用性や認知度の向上に寄与することは、販売促進の効果を一層高めることにつながります。
そうした効果をもたらす最たる取組の一つが「東京トライアル発注認定制度」であります。この制度は都が認定した新製品、新技術を試験的に購入し、評価するものであり、今年度、その運用を開始しました。この制度の活用を促すためには、都は取組実績と効果を、都民にわかりやすく発信する必要があります。併せて、より使いやすい制度となるよう、その拡充を図るべきと考えます。見解を求めます。
【港湾問題】
先ごろ国土交通省が打ち出した成長戦略に、我が国港湾の国際競争力強化が柱として位置づけられ、スーパー中枢港湾施策で進めた選択と集中をさらに進めることとしています。
港湾の国際競争力強化については、我が党は長年大きな課題として取組んでおり、昨年の東京、川崎、横浜三港による連携強化についても支援しているところであります。
国の新たな港湾強化策は、未だ具体的な姿が見えず、今までの施策の延長では意味がありません。
我が国港湾の真の国際競争力強化を高めていくために、自治体を代表する京浜港が積極的に政策提言を行っていくべきと考えます。見解を求めます。
その上で、今後、京浜三港の連携をさらに強化していくべきであります。
見解を求めます。
【教育問題】
各種の国際学力調査で、我が国の小中高校生の学力低下が表面化しておりますが、いわゆる国別ランキング以上にわれわれが直視しなければならないのは、日本の子どもたちの「無回答率」が高いこと、すなわち、「少し難しそう…」「面倒だ」と思う問題を「避ける」、あるいは、「逃げる」生徒が増えつつある点です。
劇作家の山崎正和氏は、最近、新聞紙上で、大学生の学力が軒並み低下している我が国の現状について「大人になれない若者が、実人生を先送りしているのが、高学歴化の実態」と喝破しています。
一方、社会に通用する人材とするための教育は、多くの場合、企業や団体などが担ってきました。そうした人材育成は多額な費用と長期間にわたる労力を要することから、社内教育を行う企業が減少し、即戦力となる派遣社員を受け入れている傾向も見受けられます。
学校教育においても、基礎学力はもとより、規範意識、公共心等の徳性の育成を重視し、社会の構成員としての役割と責任を自覚して社会に貢献できる人間を育成することが重要であると考えます。見解を求めます。
また、これまで公明党は小1問題や中1ギャップについて再三にわたり取り上げてまいりました。早急に実効ある対策を講じなければなりませんが、最善の対応策はなんといっても人的措置すなわち入学直後を対象に教員配置を厚くすることであります。
都議会公明党は、将来的には少人数指導に加え、複数担任制なども視野に入れて対応していくべきと考えます。その第一歩としてまずは、一定の活力を維持できる学級規模への縮小、あるいはチームティーチングの導入など学校の実情にあった学級編成ができるようにすべきと考えます。見解を求めます。
■特別支援教育について
特別支援教育について質問します。
東京都特別支援教育は来年度、第二次実施計画の最終年度を迎えます。都は、これまで着実に改革を進め、既に再来年度からの第三次実施計画の検討も始まっていると伺っています。
その中で、大きな課題になっているのが、特別支援学校の配置のあり方です。
都内では、知的障害のある子どもの在籍者が増えたことへの対応が求められる一方、視覚・聴覚障害のある在籍者が減り、教育活動をどう活性化させていくのかが課題になっています。こうした状況変化を受け、都は個々のニーズに応じた教育ができるよう、盲・ろう学校を含む特別支援学校の再編整備を進めています。
しかし、学校の再編整備に伴い、障害のある子どもたちが、より遠方の学校に通学しなければならないなどの課題が出てきています。11月26日の文教委員会では、大塚ろう学校城南分教室の小学部の募集停止が議題になりました。都は分教室について、2年間続けて3名に満たない場合、募集を停止する条件を示していますが、我が党の質問に対して、都は分教室の幼稚部については、この条件を適用しないことを答弁しました。
今後、第三次実施計画を検討していくに当たっては、ろう学校に限らず、特別支援学校については、長距離通学、長時間通学を極力なくすような配置を行い、あわせて区市町村との具体的な連携により特別支援教育の充実をめざすべきであります。都の見解を求めます。
次に、教員の専門性を、どう向上させるのかも課題です。特に、特別支援教育においては、重度化・多様化が進む中で、一人ひとりの可能性を開いていく、より高い専門的な技術が求められています。
その一方で、特別支援学校教諭免許状を取得するための大学が限られていることから、特別支援学校の教員のうち免許取得者の割合は56.9%にとどまっています。
そういった中、東京都では、特別支援学校教諭免許を取得していない教員を対象に、免許状の取得に必要な単位を修得するための認定講習を開講し、免許を取得するよう促しています。
今後は特別支援教育をめざす学生の都教育委員会採用試験への受験者数を増やすことが求められます。都は既に、他県にある大学に出向き、小学校教員の採用試験の受験を呼び掛けていますが、特別支援学校の教員についても、同様により多くの受験生を募るように努めるべきです。見解を求めます。
【医療問題】
■小児総合医療について
都立小児総合医療センターの建設と清瀬小児病院、八王子小児病院の移転後の地域医療確保策について質問いたします。
現在、平成22年3月のオープンを目指して、小児総合医療センター、多摩総合医療センターの準備が着々と進められています。
都議会公明党も先月、出来上がったばかりの建物を視察してまいりました。
今回、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが一体となって整備されることにより、今までの小児病院だけでは対応できなかった医療が行われることになります。その一つが「総合周産期母子医療センター」であります。多摩総合医療センターには母体胎児集中治療室9床、小児総合医療センターに新生児集中治療室24床が整備され、一体となって運営されることにより、リスクを伴った母体・胎児が同じ病院の中で命を救われることになります。
さらに、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者さんに対しても、両センターが密接に連携して治療に当たる「キャリーオーバー医療」が行われることになり、成人してから新たな病院を探さなくても済むことになります。これらの医療は、遅れていた多摩地域の医療を大きく前進させることになり、高く評価するものであります。今後、本格的な稼動が行われていく際には、「スーパー総合周産期センター」として受け入れ体制を整備することを強く要望いたします。
また、小児総合医療センターは、「こころ」と「からだ」の高度な専門医療を行うものですが、最近特に、発症が増加傾向にあり、かつ、多様化してきている小児アレルギー疾患に対する専門的な医療が求められています。
我が党は、昨年の第2回定例会の代表質問で「小児総合医療センターにおいて専門診療科としてのアレルギー科を開設すること」を求め、都は、「関連する他の診療科との役割分担を整理し、運営体制を構築する中で検討する」と答えました。平成22年3月のオープンまで4カ月を切りました。
「アレルギー科」の開設に向けた都の取組について見解を求めます。
他方、小児総合医療センターのオープンとともに課題となるのが八王子小児病院と清瀬小児病院の移転後の地域医療であります。都議会公明党は、この間、移転後の地域医療について、本会議や予算特別委員会、さらには厚生委員会で取り上げ、地域医療確保に向けた提案をしてまいりました。その結果、八王子地域においては、小児病院の跡地において、小児の外来診療及び重症心身障害児・者の通所事業や医師会協力のもと、小児準夜間救急診療を実施することになりました。入院についても平成21年度中に東海大学八王子病院と東京医科大学八王子医療センターに新たに小児病床を12床増やすことになりました。さらに、八王子市が本年6月より働きかけた南多摩病院に小児病床を新設する方向で検討が行われています。また、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターの小児病床を13床から35床に拡充し、清瀬小児病院からもチームによる小児科医が既に3名派遣されています。
今後は、両地域の中核病院と小児総合医療センターが強力な連携、ネットワークを作ることが重要となります。都として、両地域の中核病院が必要とする人材の確保や診療上の技術的な支援など、連携体制を構築していくべきであります。都の見解を求めます。
現在、新型インフルエンザが依然として警報レベルにあるなど猛威を振るっており、小児病院の移転を控え、地元住民の間から不安の声も聞かれます。新型インフルエンザのようにパンデミックを引き起こす場合、地域の中核病院だけでなく、初期救急も含めた地域医療対策が必要であります。そこで、新型インフルエンザ対応をはじめとした、小児病院移転に伴う地域医療に対する都の支援策について見解を求めます。
両地域の地元住民からは、何よりもNICUがなくなることが不安であるという声をお聞きします。リスクの高い妊婦は、出産前に新しくできる「総合周産期母子医療センター」の母体胎児集中治療室で受け入れることになります。また、妊婦健診を受けずに、出産後に初めて超低出生体重児などであることが判明する場合でも、今までの事例ではドクターカーで対応することができます。ただ、広大な多摩地域を考えた場合に、万が一、ドクターカーで間に合わないようなケースが出てくるのではないかと心配されている方もいらっしゃいます。
都議会公明党は、このことを想定して、東京型ドクターヘリの活用を提案し、都も小児総合医療センターのオープンを目指して検討すると答えました。
多摩地域の住民の不安を一掃するためにも、東京型ドクターヘリの活用をオープンに間にあわせるべきであります。都の見解を求めます。
■救急医療機関の耐震化について
救急医療機関の耐震化について質問いたします。
災害時において、適切な医療体制を維持するためには、救急医療機関の100%耐震化は、急務であります。都は「10年後の東京」の中で、「耐震化の早期完了を目指す」としています。現在、都内の救急医療期間で耐震化されている病院は、およそ8割までなりました。しかし、残された2割の救急医療機関の耐震化が、非常に難しいと言われています。特に、現在地での耐震化が不可能な病院については、代替地を探して、建替えをしなければならず、多額の資金が必要となります。こういった状況を踏まえ、都は、先の国の補正予算を活用して、耐震補強だけでなく、耐震化を目的とした新築建替えも対象とし、国が8分の4、都が8分の3、あわせて8分の7まで補助をする医療施設耐震化緊急整備事業を創設しました。そこで、この事業により、都内の救急医療機関の耐震化は、どこまで進展するのか、都の説明を求めます。
今回都が創設した制度は、国の補正予算を活用した制度のため、平成22年度中に着工する病院を対象とするなど期間が限定されています。また、国からの補助金が当初予定していた額より大幅に減額となったと仄聞しております。このままでは、救急医療機関、特に2次救急医療機関の耐震化は進展しなくなります。こういった状況を打開するためにも、都が独自に救急医療機関の耐震化に向けた取組を行うべきであります。都の見解を求めます。
【自殺予防策】
日本人の自殺者の数は、年間約3万人とここ数年横ばいの状況で、減少する傾向にはありません。東京においては、平成20年に2776人の方が自殺をし、全国の9%を占めています。
こういった中、先日、NHKが「命をみんなで守る」という報道特集を行っていました。その中で、参考となったのが「サンタの国の奇跡」と呼ばれているフィンランドの自殺予防策の報道でありました。
フィンランドの自殺者は、1990年をピークに、この20年間で30%減少しました。1986年から4年間かけて遺族や病院・警察などから徹底した実態調査を行い、原因を究明し、その結果、自殺者の93%が、最後は、うつ病などの精神疾患を患っており、しかも、医師の適切な治療を受けていなかったということが明らかになりました。こういった事態を踏まえ、フィンランドは、医療や教育現場において、具体的な対策を講じました。医療分野での第一番目の対策は、うつ病などの早期発見、適切な治療を行えるように、かかりつけ医に対して、うつ病などの精神疾患の知識を向上させるための精神科医による講習を行ったことであります。東京都も、東京都医師会に委託をし、うつ病診療の知識や技術、精神科専門医との連携方法をかかりつけ医に対して研修していますが、平成21年度の実施は、新宿区や八王子市などの6つの地域に限られています。この研修制度を都内の全区市町村に拡充していくことが、自殺予防の第一歩になると考えますが、都の見解を求めます。
第2番目の対策は、かかりつけ医をバックアップするために、看護師の役割を強化したことであります。具体的には、研修を受けたうつ病専門の「デプレッションナース」を配置し、多忙な医師に代わって、うつ病患者の自宅を訪問して、話を聞き、心の状態を把握し、気持ちを和らげるという取組を行っています。こうした取組を行うだけで、自殺しようと考えていた人が、止まっているとのことでありました。都は、こういった制度を検討していくべきであると考えますが、都の見解を求めます。
また、若い人の自殺者を防ぐために、教育の分野では、専門家の助言を受け、うつ病が、14歳から15歳に発症することが多いことに着目をし、スクールナースが、中学2年生を対象に、チェックシートによる「うつ病」の判定を行っています。その上で、うつ病になる傾向性のある生徒は、ストレスの対処法をスクールナースとソーシャルワーカーの指導のもと学習をするという、うつ病の早期発見、早期治療を行っています。こういった取り組みは、うつ病の再発を防ぐことにつながると、専門家も述べていました。
都は、現在、全ての中学校にスクールカウンセラーと養護教諭を配置しています。
子どもの異変に気付いた場合、担任の先生がスクールカウンセラーにつなげて対応しています。従って異変に気付くかどうかは、先生の力量にかかってきます。
そこで、うつ症状の生徒を全てケアするためにもメンタルヘルスケアを専門とするスクールカウンセラーが、早期発見・早期カウンセリングを行える体制を整備していくべきであると考えます。都の見解を求めます。
フィンランドは、このほかにも、失業後何年も就労できずにうつ病になる人への支援策など国家を上げて総合的に自殺予防策に取り組んでいます。日本も本来は、国が国家的戦略として、自殺対策を行っていくべきでありますが、1日に7人から8人の自殺者が出ている東京の知事として、自殺防止に向けての決意を伺います。
【八ツ場ダム問題】
ダム建設は、都民の生命・財産を、洪水や渇水の被害から守る重要事業です。しかしなぜ、多くの費用と年月をかけて、吾妻川流域にダムを建設する必要があるのかという点について、都民には十分に説明されていません。そこで、治水、利水上の効果について八ツ場ダムの必要性を分かりやすく都民に説明すべきであります。都の見解を求めます。
10月27日、前原国土交通大臣は、1都5県知事に対し「予断を待たず再検証を行う」と明言しました。その一方、ダム建設中止の方針自体は未だに撤回されておりません。
そもそも、今回の混乱は、大臣自らが加わっていた自社さ政権当時に、ダム建設の住民合意を取り付けておきながら今回、事前の説明や意見聴取もなく、いきなり中止決定を公表するという姿勢に混乱の原因があります。
政府の正式な意思表示となれば、責任ある態度で、慎重な手続きを踏むべきであります。前原大臣は、「ダムに頼らない治水・利水」への政策転換を公言しています。しかし、“山の保水力を高める”ということが具体的にどういった取組を行い、どんな効果があるのか不明確です。そこで、前原国土交通大臣が言及している「緑のダム」は、本当に実用可能なのか、都の見解を求めます。
一方、河川の堤防の強化だけをすれば、ダムを建設せずとも、利根川水系の治水の安全が図れるという見方にも、強い不安を覚えます。現に、国がダムに替わる河川堤防の強化プランを示したという話も聞きません。こうした点について、都の見解を求めます。
また、こういった状況を踏まえ、八ツ場ダム建設に対する知事の見解を伺います。
【治安対策】
振り込め詐欺については今年重点月間を設け集中警戒を実施したと聞いております。
2月及び10月の年金支給日には、それぞれ約1万人の警察官を金融機関に派遣をし、集中警戒を実施したほか、声掛け共同訓練や家族の合い言葉運動を始め3つの運動を推進し、一定の成果を上げてきたところでありますが、10月末現在で1107件が認知されており、18億円を超える多大な被害が出ているのであります。
手を変え、品を変え、次々と新しい戦術で高齢者・女性が狙われています。こうした新しい振り込め詐欺に対して、一歩踏み込んだ警戒態勢が必要と思いますが、今日までの対策と今後の取り締まりの強化について質問します。
また、ひったくり犯罪については、経済的に厳しい昨今、増加傾向にあり高齢者や女性が狙われているとのマスコミ報道がありました。特に高齢者が肩から掛けているバッグ等は、ひったくりにあった場合、ひきずられ命にかかわるような事態になりかねない事もあります。そこで、これら事件を起こした犯人は必ず捕まえるとの強い警察力を発揮していくことが、犯罪を抑止する事につながると考えます。年末に増加が予想されるひったくり対策について、警視総監の決意を伺います。
【火災対策について】
年末を控え、各地に死者の出る火災が発生しております。
先月22日には、杉並区高円寺の居酒屋で火災が発生し、4人の方が亡くなるという惨事がありました。
報道によりますと、この火災は、炎が調理器具にたまった油に燃え移り、その炎が上部のダクトの壁に染みついた油などに引火し、天井の装飾用布などを伝わって店内に一気に燃え広がったとされております。
東京消防庁はこの点についても類似火災を再び発生させないよう、早期に防火管理や出火防止対策の指導を改めて徹底すべきであります。本火災の被害をもたらした原因を精査し、防火安全対策について検討すべきであります。今後の対応について、消防総監に伺います。
【多摩国体問題】
今から4年後の平成25年、多摩・島しょを中心に東京多摩国体が開催されます。スポーツへの関心をより高め、生涯スポーツ社会の形成を果たす上で、国内最大の体育・スポーツの祭典である国体の開催は、大変有意義なことであると思います。
今回の国体は、これまで20年以上にわたって、区市町村、とりわけ多摩・島しょの市町村の熱い要望活動が継続して行われたことの結果として、開催することとなったものであり、都民も、その開催を待ち望んでいるところであります。いよいよ本格的な準備を進める時に来ております。
オリンピック・パラリンピック招致の計画においても、「環境」が最も重要なキーワードの一つとなっていましたが、国体においても環境に配慮した大会運営を行うことは不可欠であります。
国体については、環境負荷の最小化を求め、再生可能エネルギーの活用、最先端の省エネ技術、電気自動車による選手の移動など、東京多摩国体ならではの環境対策を講じていくべきでありますが、都の見解を求めます。
東京多摩国体は、首都東京で開催する大会であり、多摩・島しょを中心に地域の発展の契機ともなる大会であります。さらに、観光産業の活性化、文化芸術の発信についても、東京ならではの工夫をこらし、東京の魅力を全国にアピールするような大会として開催すべきであります。