こちらでは都議会定例会の報告等をいたします。

平成20年《第4回 定例会の報告》

11月中旬に発表された本年7月から9月までのGDPは二期連続のマイナス成長となり、更に10月以降については、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻による金融危機の影響が実体経済により色濃く反映されるものと見込まれており、景気の先行きは全く予断を許さない状況にあります。また、雇用環境の悪化や新車販売の不振に象徴される個人消費の低迷、企業の業績見通しの下方修正などが連日のように新聞紙上を賑わしています。都の税収構造はこういった景気変動の影響を受けやすく、加えて来年度は、法人事業税の一部国税化の影響もあることから、今後の税収について、大きな懸念を抱かないわけにはまいりません。

そこで、このような景気状況を背景とした20年度の都税収入の動向及び21年度の都税収入の見通しを明らかにしていただきたいと思います。都の見解を求めます。

【補正予算・経済対策について】

実体経済の悪化は、都税収入の減少という局面を迎えるだけでなく、都民生活や中小企業の環境を一段と厳しい状況に追い込んでいます。こうした厳しい状況を克服し、都民生活や中小企業を守るためには、もう一段の緊急対策を早急に講じるよう、都議会公明党は緊急要望を行ったところであります。

異例ともいえる今回の2次補正予算において、わが党が要望した雇用創出に向けた対策をはじめ、社会福祉施設の耐震化や中小企業対策、生活困窮者への融資制度、周産期医療体制の強化など、すべての項目が予算化されております。中身を見ても、単なる補助金ではなく、再就職支援とのセットであったり、閑散期の事業需要創出であるなど、無定見なばらまきではなく、筋の通ったものであると高く評価するものであります。

そこで、まず今回の補正予算・東京緊急対策?の実行に向けての知事の決意を伺います。

【中小企業支援策について】

都は今回の補正予算の中に、緊急融資制度の拡大や小規模事業者が借りやすい信用保証料補助の新設、さらには連鎖倒産に備える「共済」掛金補助の新設などを具体的に盛り込みました。問題は「黒字倒産」の広がりであります。今年倒産した上場企業28社のうち15社が黒字倒産と言われており、その危険性は、大企業から、次第に中小零細企業へと広がり始めています。

国は公明党の要請のもと、先月21日より「予約保証制度」を開始しました。当面は資金繰りに支障のない企業であっても、あらかじめ保証を受けておけば、いざという時の資金調達が万全となり、まさに黒字倒産を予防することができます。

しかしながら、現下の厳しい経済情勢のもとでは、今まさに資金を必要とする中小企業へのサポートが重要です。都は、緊急保証制度の円滑な運用に加え、当座の運転資金を必要とする企業のため、都独自で実施している「つなぎ融資」を大幅に拡大すべきであります。見解を求めます。

加えて、財務基盤の弱い零細企業にとっては、資金調達手段の多種多様化が大切です。

公明党はかねてから、不動産担保に過度に依存しない新たな融資手法の創設を主張して参りました。これに応え、平成13年度には売掛債権担保融資、平成19年度には棚卸資産も対象に加えた流動資産担保融資が創設され、近年では民間金融機関も、車両や機械設備を担保に融資メニューを揃え始めています。金融不安の今、都が独自に機械設備等を担保とする新たな融資制度を創設すれば、都内中小零細企業の資金調達に大きく貢献するものと考えます。見解を求めます。

都内中小企業の資金繰り悪化への対策としては、経営面での支援も欠かせません。経営環境が急激に悪化する中で、経営危機に見まわれる中小企業の増加が懸念されているところです。このため、資金繰りの支援に止まらず、経営難に陥った中小企業の経営そのものを再生する手助けをすることも重要です。「事業承継・再生支援事業」は、中小企業振興公社に公認会計士や弁護士等の専門家を配置し、個々の中小企業の経営状況に応じた対応策を提示すると共に、必要に応じて金融機関の協力も得ながら、中小企業自らが取り組む事業再生を支援するものと聞いております。現下の厳しい経済状況を見れば、事業再生にかける時間は限られています。このため「事業承継・再生支援事業」を着実に推進すべきと考えますが、見解を求めます。

【雇用対策について】 

都は国に先駆けて延べ50万人分の公的雇用対策を新規施策に取り入れるなど、わが党の主張を受けた迅速な対応を高く評価いたします。雇用環境の悪化によって真っ先に影響を受けるのが非正規雇用の方々や、障がい者、女性といった方々であります。既にわが党にも「契約を打ち切られた」「解雇された」など、悲痛な声が寄せられています。今回の成果に続けて障がい者や女性の方も含め、より一層の雇用対策に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。

また、区市町村との連携による延べ30万人の雇用創出については、区市町村が新たな財政負担をすることなく、自主的・積極的に取り組めるよう配慮することが重要です。

一方、緊急対策はあくまでも一時的な支援であることから、安定的な雇用に向けた対策も重要です。そこで事業実施においては、区市町村が取り組みやすい仕組みとし、雇用拡大につなげるとともに、あわせて正規雇用に向けた支援も実施するべきであります。

都の見解を求めます。

【周産期医療問題】

脳内出血を起こした妊婦が都内の病院で相次いで受け入れを断られるという事態を受け、周産期医療に対する都民の不安が高まっております。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。

都議会公明党はこの事態を重視し、今後の対策を検討する「周産期母子医療問題プロジェクト・チーム」を立ち上げ、現場の医師・看護師や専門家等の意見を聞くとともに、患者を確実に受け入れる方策を検討してまいりました。それを踏まえて、東京都における安全・安心の周産期医療体制の構築について質問します。

都は今定例会に提出した補正予算案に、都立病院における当面の産科医師確保策をはじめ、患者を迅速に受け入れる周産期連携病院の指定による医療体制の整備など、周産期医療緊急対策を盛り込みました。

この中で、最も緊急を要する都立墨東病院等の産科医師の確保策については、地域の開業医や民間病院の協力を求めて平日夜間や土曜休日の出産に対応するとしておりますが、地域の医師はハイリスク分娩の経験が少ないことや医療手法の違い等もあって、躊躇する声も少なからず聞かれます。

そこで、地域の医師との実効ある協力体制を築くために、ハイリスク分娩の経験を持つ医師の優先確保や研修体制の整備などが、不可欠であると考えます。都の見解を求めます。

次に、新生児集中治療室、いわゆるNICU病床の在り方について伺います。今回の妊婦受入拒否の事例もNICUが満床で受入れることができなかった事も要因の一つでありました。都は現在、周産期医療における緊急搬送体制として都内を8ブロックに分け、重症妊婦や新生児を救う最後の砦として、NICUを有する「総合周産期母子医療センター」9施設、「地域周産期母子医療センター」13施設を確保しております。

しかし、ブロックごとの出生数に対するNICUの病床数には大きな格差があります。特に23区の東部や多摩地域では病床数が少ないなど、NICU病床の不均衡があるために、ブロック単位の対応を原則としている周産期救急医療体制の機能が十分に活かされていない実態もあります。

NICUを必要とする低出生体重児や疾患のある新生児の出生が年々増加傾向にあることから、増床を前提とした病床数の均衡化を急ぐべきであります。特に、NICU病床数の少ないブロックを中心に、周産期母子医療センターや周産期連携病院における増床に向け、予算や人員確保などに都が積極的に支援すべきと考えます。見解を伺います。

さらに、NICUの常時満床状態を緩和し、受け入れを可能とするためには、医療的ケアが必要な新生児の容体が安定したらNICUから継続的な医療や看護を行う後方病床に移行し、退院後には療育ができるという全体の流れを見据えた体制整備を行っていくべきであります。都の見解を求めます。

万全な周産期医療体制の構築には、産科医師、新生児科医師、看護師等の十分な確保がすべての前提であることは言うまでもありません。とりわけ周産期医療の中核を担う都立病院等の産科、新生児科医師の不足には、本腰を入れて対策を講じる必要があります。

なかでも、産婦人科・小児科診療分野を担う割合の高い女性医師は、結婚・出産等を機に離職するケースが多いことから、院内保育室の拡充、定時勤務制度の導入など、仕事と家庭の両立が可能となる働きやすい職場環境を整備すべきと考えます。都の見解を求めます。

さらに、周産期医療を担う医師を積極的に養成していくことも必要です。都は、小児や周産期医療に従事する医師を確保するため、医師奨学金制度を創設しましたが、この制度をさらに拡充して産科や新生児科等の医師を確保する体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。

【新型インフルエンザ対策】 

都政の主要課題の一つであります新型インフルエンザ対策と療養病床の充実について質問いたします。

まず、新型インフルエンザ対策についてであります。新型インフルエンザが発生した場合、過密都市東京では、大流行期への突入を避けることは、至難のわざと言われています。

都議会公明党は、これまでも、パンデミックを前提にした医療体制の確立に取り組む必要性を訴え続けてまいりました。都において全ての医療機関の参加を前提とした地域医療体制確保のための協議を進めるとともに、本年5月には、医療提供体制のガイドラインを策定するなど、全国に先駆けた取り組みを進めてきたことは高く評価いたします。

あわせて、治療薬として400万人分のタミフル、リレンザの大幅な追加備蓄等を本年度中に行うなど、都の積極的な取組を高く評価するものであります。重要なのはこういった医療体制と共にパンデミック時における「感染拡大防止策」を整備しておくことであります。

先ごろ、国は、「一人でも発症が確認された時点で、学校閉鎖を実行する」とした、感染拡大防止に関するガイドライン案を発表しました。そこで、通勤ラッシュに象徴的な過密都市東京ならではの「感染拡大防止策」を強化する必要があり、危機管理体制の司令塔となる都は、新型インフルエンザ発生時の具体的な取組を定めた都の「対応マニュアル」の見直しを図るべきであります。都の見解を求めます。

【療養病床問題】

超高齢化社会を迎える都において、長期にわたり療養を必要とする患者が入院する療養病床は、急性期を脱した患者の「受け皿」としてなくてはならない存在であり、その確保は重大な課題であります。

しかし、都内には、急性期の医療機関は多いものの、療養病床などの医療施設や、特別養護老人ホームも極めて限られています。実際、都における人口10万人当たりの療養病床数は、全国41番目と低調になっています。

こうしたなか都は、国の療養病床削減方針を事実上撤回させ、平成24年度末までに、28,077床の療養病床確保を目標に掲げ、一般病床からの転換や新設のための施設整備費補助を今年度からスタートさせました。しかし、現場の声を聞くと、施設整備費補助だけでは、目標達成はかなり厳しいというのが現実であります。療養病床数を具体的に増やすには、病院経営にも十分配慮し、都内全域を視野に入れた取り組みが重要です。

具体的に言えば、例えば、増改築の際の容積・建ペイ率の緩和や耐震工事に対する補助金交付などの支援が欠かせません。一般病床から療養病床に転換するには、1ベッド当り約2・1?拡大する必要があり、現状のまま再整備すれば必然的にベッド数の減少につながります。この事は病院の収入を減少させ、固定費を考えると病院経営を圧迫する事になります。また、耐震工事を実施する場合も、工賃に加えて、工事期間中は一定程度ベッドを閉鎖しなければならず、この事も、減収につながります。そこでこういった状況を踏まえ都が積極的に支援を検討すべきと考えます。都の見解を求めます。

療養病床が増加すれば、看護師などの人材育成・確保に向けた取り組みも急務となります。現在、多くの医療機関では看護人材の確保に向けて、ヘルパーが看護学校等に通う場合、奨学金などによる援助を行っています。これは準看護師が看護師を目指す場合も、まったく同様とのことであります。

他方、育成した人材が早期に離職してしまないようにすることも重要であり、医師同様に、看護師等の勤務環境改善の取り組みも必要です。

平成24年度末までの28,077病床という目標達成に向けた、都の人材育成・確保策について見解を求めます。

【中学三年生までの医療費助成策】

次に、中学三年生までの医療費助成について伺います。

わが党は、「将来、この国の礎となる子どもたちが健やかに育つことができるよう、東京における『チャイルドファースト』社会の実現の第一歩として、子どもの医療費助成の拡充を求めてきました。

都は、現在の助成制度を拡充する案を、実施主体である市町村と協議中ですが、市町村としては約20億円と見込まれる財政負担をどう確保するかが大きな課題になっています。

わが党は、10月24日、市町村の財政に支障をきたすことがないよう必要な措置を講ずることを求め、石原知事に緊急要望しましたが、さらに、市長会や町村会もそれぞれ都の財政措置を要望していると聞いています。都として必要な財政支援を行うべきと考えます。知事の所見を伺います。

【児童養護施設問題】

次に、子どもの社会的養護について質問します。

日本の社会的養護の中核的な役割を果たしているのが、児童養護施設です。この施設では、制度発足当初、主に戦災で親を亡くした孤児が養護されていましたが、最近は、家庭内で虐待を受け、保護された子どもが入所児童の5割以上になっており、その数は、年々増加しています。

こういった状況を踏まえ、都議会公明党は、このほど都内の児童養護施設を視察、調査いたしました。いずれの施設でも、児童養護の最前線で、職員の方たちの懸命な尽力のお陰で、安心した子ども達の姿を見ることができました。他方、職員の方々に過重な負担をしいている事も事実であります。特に、虐待を受けた子どもには、専門的、治療的なケアが求められていますが、国の職員配置基準が30年間も変わっていないため、必要な職員が配置されていません。

都は国に対し、これまでにも配置基準の抜本的な見直しを要求していますが、なかなか改善されません。そこで、被虐待児童のために都が独自に職員配置を手厚くするべきであります。都の見解を求めます。

視察の中で、居室とリビングのある家庭的な環境の中で、キメ細かく面倒を見る小規模グループケアが着実な効果を上げ、これを増やしていきたいとの声を伺いました。子どもたちにとって家庭的な雰囲気の中でのきめ細かいケアが重要なのは言うまでもありません。

現在、国と都が各施設への導入を進めていますが、施設の構造や財政面に課題があり、すべての施設では実施できていません。

そこで、都は支援をさらに強化し、どのような施設でも小規模グループケアが実施できるようにするべきであります。都の見解を求めます。

【盲ろう者支援策について】

次に、盲ろう者に対する支援について伺います。

視覚と聴覚の重複した障害を持つ盲ろう者は、全国に2万人以上、都内にも約2千人いると言われています。都議会公明党は、まだ盲ろうという障害の存在自体が殆ど知られていなかった平成6年に、いち早くこの問題を議会で取り上げ、全国に先駆けて、東京都による通訳介助者の派遣・養成事業を実現するとともに、その後も支援を続けてまいりました。

本年の第二回定例会のわが党の一般質問では、盲ろう者に対する支援について知事の考えを伺ったところ、知事からは、「一人ひとりがわが身になぞらえて思いを至らせ、支援の手を差し伸べていくことが大切だ」「都としてもコミュニケーションの確保を支援し、社会参加を一層促進していく」と答弁されました。その後、知事は、盲ろう者の福祉向上活動の草分け的存在であり、自身も盲ろうという障害を抱えながらも東京大学教授になられた福島智さんと会われました。

そこでまず、福島さんと会われた知事の率直な思いを伺います。

盲ろう者は、自分の近くに誰がいるのかさえわからず、また、自分に必要な情報の内容はおろか、そもそも、必要な情報があるのかないのかさえも自ら知る術も有りません。まさに想像を絶する孤独感の中で不安に苛まれながら、多くの盲ろう者の方々が、自宅に引きこもり、社会との接触の極めて乏しい状況におかれています。こういった状況を変えていくためには、盲ろうという障害の存在を社会全体に理解していただくとともに、盲ろう者への一貫性のある支援体制を確立していくための拠点整備が必要であります。そこで、厳しい状況に的確に対応できるよう都は、盲ろう者に対する支援拠点を全国に先駆けて設けていくべきと考えます。都の見解を求めます。

【大麻汚染問題】

次に、大麻汚染について伺います。警察庁によると、大麻による摘発が今年、過去最悪になると見込まれております。

特に30代未満の若者への拡大は深刻であり、昨年の検挙数1570人は10年前の2・3倍となっております。なかでも20代への浸透が特に際立っており、今年に入って、大学生は74人が検挙され、昨年同時期より10人も多いことが判明しております。

大麻汚染がここまで拡大した背景には、

「種屋」と呼ばれる業者の存在があり、海外から不正に発芽能力がある大麻の種子を輸入し、ネットにアクセスすれば誰もが観賞用と称して容易に種子を入手できるという実態があるからであります。

警察庁では、インターネット上の監視を行っておりますが、大麻の種子の所持や譲渡自体は法規制の対象から除外されているため、取締りに限界があります。種子の所持や譲渡を規制の対象とするよう大麻取締法の改正を国に働きかけるべきであります。

若者を大麻汚染から守るためには、普及啓発から取締りまで、関係機関が連携した取り組みが必要です。知事の見解を伺います。

【環境政策について】

次に、環境政策について何点か質問いたします。

わが党は、これまでも、環境確保条例の改正に伴い地球温暖化対策推進制度の中に組み込まれることとなる中小規模事業所の負担に配慮し、税制面での優遇措置を検討すべきと繰り返し主張してまいりました。

先月、知事に提出された東京都税制調査会の答申も、省エネ推進へのインセンティブの観点から、都の環境施策と連携した政策減税を検討すべきとしております。

都は、政策減税を導入するのであれば、特に中小規模事業所に対する税の優遇措置を検討すべきと考えます。見解を求めます。

社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目されているのがエコポイントであります。

エコポイントとは、環境配慮型の商品やサービスの購入など、消費者の環境に配慮する行動に対して何らかのメリットをもたらすような仕組みのことで、一人ひとりの生活の中に環境配慮行動を内在化させていくための一つの手段であります。

こうした認識のもと、公明党は本年8月に知事あてにエコポイント制度の活用に関しての要望を行いました。

都内においては、既に港区や足立区がエコポイントに取り組んでいるほか、早稲田、高田馬場周辺の地域で使用済みレジ袋の持参やマイ箸を持参した際に地域通貨と交換する取組を推進している例があるなど、様々な取組が行われております。

都は、区市町村や地域レベルでのエコポイントの活用を更に促すとともに、エコポイントを都の施策と組み合わせて、施策推進のインセンティブとして活用していく具体策を検討すべきであります。見解を求めます。

さて、本年度の洞爺湖サミットでは、気候変動問題に取り組み、長期的に化石燃料への依存を減らす上で、再生可能エネルギーの重要な役割が示されました。バイオ燃料の活用もその一つであります。

既に、都内の一部の区市では、天ぷら廃油を活用して車の走行を行うなど、廃食用油の活用が図られています。食料と競合しないバイオ燃料の原料として、廃食用油の活用は有効なものと考えます。そこで都は、様々な課題を整理しながら、廃食用油を活用したバイオ燃料の導入について積極的に進めるべきと考えますが、見解を求めます。

【市街地整備問題で】 

次に、今後の市街地整備について伺います。東京の街づくりの骨格を担う市街地整備については、急速に進む少子高齢化などへ社会経済構造の大きな変化に対応した整備を進めていく必要があります。

「10年後の東京」に、21世紀の都市モデルを実現するとして8つの目標を掲げています。その中に「水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる」、「世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する」、また「災害に強い都市をつくる」、さらには「世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造する」とあります。

都は、こうした新たな時代の要請に応えるために、木密地域の解消と建築物の耐震化など、都市づくりの基本的な方向を示すとともに、今後の市街地整備の方針を策定すべきと考えます。都の見解を求めます。

市街地整備において、大きな課題となっているのが老朽化マンションの耐震化であります。現在、都内にはマンションが140万戸。そのうち昭和56年以前の旧耐震基準のマンションは約22万戸あるといわれております。しかしながら、耐震改修の実績はなかなか進んでいません。都は、今年度から耐震改修助成制度を創設し取り組みを始めていますが、いまだ12区2市でしか整備されておりません。実績を上げていくためには全区市に拡がるよう働きかけていくべきであります。都の見解を求めます。

また、分譲マンションの管理組合には、その維持管理から修繕、大規模改修、さらには建て替えと様々な課題があります。それぞれにガイドブックや管理ガイドラインがありますが、総合的に相談する窓口など、都としてマンション住民に分かりやすい情報提供を行っていくことが重要です。今後の取り組みについて、都の説明を求めます。

特に、老朽化したマンションは建て替えという大きな課題が迫っています。都は、本年の第2回定例会におけるわが党の代表質問に対して初のマンション白書の作成を明らかにしました。管理組合等の実態を調査し、新たなマンション施策の展開に資することとしています。この白書において、有効な建替え事例を取り上げ、老朽化したマンションの建替え対策を進めていくべきであります。都の見解を求めます。

【都営住宅問題】

次に、都営住宅について質問いたします。

来年4月から施行が予定される公営住宅の入居収入基準の改定を前に、都議会公明党は太田昭宏代表と共に、国土交通省に対し、平成19年11月16日に「公営住宅管理制度の見直しに関する申し入れ」を行いました。その結果、全ての現入居世帯の家賃が上昇する内容であった当初案が見直され、現入居者の約4分の3の世帯の家賃を据え置きとしたほか、現入居者全体に対し、新たな収入基準に基づく収入超過、高額所得の適用は5年間これを行わないなど、数々の激変緩和措置を講じることになったのであります。

さらに都議会においては、本年の第2回、第3回の定例会の代表質問で取り上げ、公明党は2K住宅の間取りの廃止を実現させるとともに、入居収入基準の改定に関する都独自の更なる激変緩和措置を講じて、現在の全ての都営住宅の入居世帯に対し、低迷する経済状況に見合った対策を講じるよう求めました。都も一定期間の家賃の据え置きなど、積極的な対応方針を答弁しているところであります。

然るに日本共産党は、最近、都内各地において、この入居収入基準の改定に相俟って、直ちに現入居者の追い出しが始まるかのような印象を与えるビラを大量に配布し、不安を煽っております。

都営住宅は、都民共有の大切な住宅政策上のセーフティネットとして、都議会と執行機関が共に努力して、内容・制度の上でも充実を図ってきたものであります。そうした努力を踏みにじり、都民の不安を徒に煽る行為を、断じてこれ以上放置するべきではありません。そこで、今回の入居収入基準の改定を機に、都が都民のために講じる独自の激変緩和策の詳細を明らかにするべきであります。

また、現在、母子、心身障害者、難病患者、寝たきり老人などに該当する世帯に都独自で講じている、現行50%の特別減額措置についても、制度上は、明年4月の入居収入基準の改定を機に、対象世帯の収入上限が、月額20万円から15万8千円に切り下げられることになります。このままでは、明年4月から家賃負担が一気に倍増してしまう世帯も出てくる可能性があります。この点についても都は、家賃負担の激変緩和対策を積極的に講じるべきであります。併せて都の見解を求めます。

【新銀行東京問題】

次に、新銀行東京について質問いたします。

去る11月21日、新銀行東京は「平成21年3月期の中間決算」を発表いたしました。この中間決算について、知事は、今定例会の所信表明で「ほぼ再建計画どおりの業績となっている」と評価をし、「引き続き、再建計画の着実な達成に向け、経営の監視と支援を行う」と決意を述べました。

他方、遡ること約一ヶ月前の10月22日、日刊の経済紙の一面のトップにおいて、「新銀行東京 都の追加出資棄損へ 金融庁検査結果を通知 引き当て不足100億円」という記事が躍り出ました。経済の専門紙でもある日刊紙の記事であるならば、綿密な調査の上書いているのではないかと大きな反響を及ぼしました。事実、共産党などは、この記事を使って鬼の首でも取ったかのように、経済港湾委員会で都の追加出資棄損の責任を追及していました。中間決算発表の翌日、その日刊紙においても、金融庁の検査結果にもとづく不良債権の引き当て不足100億円と都の追加出資棄損の件について、触れていませんでした。

従って、中間決算が発表になった今でも、新銀行東京の100億円の引き当て不足と追加出資の棄損については、どうなったのかという問い合わせがあります。 

そこで、都として、新銀行東京の中間決算が、金融庁の検査結果を全て反映した数字であるのかどうか、その上で、400億円の追加出資は棄損されたのかどうかを、都民に対してわかりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。

サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機は、日本経済にも多大な影響を及ぼし、この10月、11月と日本の景気も急激な後退局面を迎えています。特に中小企業の経営環境は悪化の一途をたどっています。こうした中間決算期日である9月30日以降に起きている事態は、新銀行東京の再建計画に重大な影響を及ぼすことになります。新銀行東京は、今回の中間決算において、こうした重大な後発事象を盛り込んでいるのか、明らかにすべきであります。都の見解を求めます。

知事は、所信表明の中で、旧経営陣の時代に、行員自らが闇勢力と結託をして行った不正融資事件を取り上げ、遺憾の意を表すとともに、過去の膿を全て出し切るよう、株主として求めていくことを明らかにしました。その上で、今最大の関心事は、年内目睹に明らかにするとした旧経営陣の責任問題であります。年内といっても後2週間余りとなりました。一部には、新銀行東京は本気になって旧経営陣の責任追及しないのではないかという声も上がっています。そこで、石原知事の旧経営陣に対する責任追及の決意を改めてお聞きするとともに、責任問題が明らかになった場合の議会への報告、責任追及の具体的な手順について都に見解を求めます。

【補助金の不正経理問題】

次に、補助金の適正な執行管理について質問します。会計検査院の調査で全国12道府県で国庫補助金の不正経理が発覚し、今後、他の都府県と政令市も調査する方針であると報じられております。

補助金が適正に執行されることは当然であり、自治体においても補助金経理の透明化に向けた、より一層厳格な取り組みが求められていると思います。そこで、今回の会計検査院の調査で浮き彫りになった不正経理に対する都の認識と、取り組みについて見解を求めます。

一方、今回の補助金不正経理問題の背景には、現行の補助金制度における「使い切り」の慣行といった問題点も指摘されております。補助金の適正な執行にかかわるこうした制度上、運用上の改善に向け、都が他の自治体をリードするような取り組みを実行すべきと強く要望いたします。

【道路特定財源問題で】

次に、道路整備の財源確保について伺います。東京の道路整備などは、国庫補助金や地方道路整備臨時交付金によって事業が展開されておりますが、道路特定財源の一般財源化の方針のもと、さる10月30日、麻生総理は一兆円を道路に限らず地方の実情に応じて使用する新たな仕組みを作ると発表しました。

東京の道路整備を推進するためには、安定的な財源確保が不可欠であります。都議会公明党は、この地方財源となる一兆円について、「地方道路整備臨時交付金」と同等で地方への恒久的な「新たな交付金」として、東京への道路整備に必要な額を確実に配分するよう12月4日に国土交通大臣に対して要請したところであります。

この一兆円の配分の具体策として、公共事業に幅広く使える交付金とする方針が出される一方で、道路特定財源を地方交付税として使うような動きもあります。このような場合の東京の道路整備に及ぼす影響について、見解を求めます。

道路特定財源の地方交付税化は、一般財源化に乗じて、意図的に地方間の財源調整を行おうとするものであります。こうした不合理な動きの再燃阻止に向けた知事の力強い決意を伺います。

【羽田空港問題】

次に、羽田空港の国際化について伺います。

羽田空港は、平成22年秋に4本目の滑走路と新国際線ターミナルが完成する予定であり、国際線の発着数が大幅に増えます。

国は、羽田空港の国際線については、当初の昼間3万回から夜間も合わせて年間6万回に倍増するとともに、昼間の距離制限を廃止することを骨太方針で決めたところであります。しかし、都心に近接した羽田空港の持つポテンシャルを考えれば、国際化に向けての国の方針は、まだまだ十分ではなく、利用者の利便性をさらに向上させる必要があります。そこで、羽田空港の国際化に向けて、今後の都の方針及び具体的な取り組みについて、知事の見解を伺います。

第二に、羽田空港跡地利用対策についてであります。本年3月、羽田空港移転問題協議会は羽田空港跡地利用基本計画を策定しました。その中で「今後は、跡地の基盤整備等の課題を整理し、この計画の具体化を目指す」ことを明らかにしています。現在、空港の跡地には、上下水道や電気ガス等のライフラインが埋設されていますが、これらの取り扱いは、羽田空港移転問題協議会での協議事項となっています。とりわけ、上下水道については、現在、国が管理していますが将来的には、空港跡地が市街地となることから、その基盤整備や管理について、検討する必要があります。また、関連事業としての周辺河川の整備については、跡地利用のため高潮対策と親水護岸を兼ね備えた護岸とするべきと考えます。空港跡地利用に係る基盤整備について都の見解を伺います。

第三に、空港跡地の土地処分についてであります。羽田空港の再拡張事業の完成があと2年後に迫った現在、空港跡地利用計画の具体化の道筋が明らかになっていません。早急に利用計画を具体化するためには、誰が跡地を取得するのか明確にすることが重要です。都は、昭和56年に都知事と運輸大臣とで取り交わした確認書を踏まえて都が、跡地を取得するのかどうか明らかにする時期にきています。都は、この確認書をどのように捉えているのか、明確な意思表示をすべきであります。知事の明快な答弁を伺います。

【オリンピック・パラリンピック招致について】

最後に、2016年の東京オリンピック・パラリンピックの招致について質問します。

国際オリンピック委員会の東京視察の日程も来年4月に決まり、10月の開催都市決定へ招致レースは、いよいよ佳境に入りました。

オバマ新大統領の誕生に沸くシカゴをはじめ、マドリード、リオデジャネイロは、いずれも強敵ですが、都は、大都市問題の解決をめざし、21世紀の新たな都市モデルをアピールするどこよりも優れた立候補ファイルを提出すべきであります。その上で、今求められているのは、何よりも国内世論を盛り上げることであります。国際オリンピック委員会が、この点を重視していることは、申し上げるまでもありません。

特に、オリンピック・パラリンピックは「お金の無駄遣いだ」という考え方の人達に対して、経済効果を理解してもらう必要があります。今回都は、都内で1兆6千億円、全国で2兆8千億円の経済効果が生まれると試算し、日本全体の経済を活性化できることを明らかにしました。そこで、国民に対しこの経済効果の根拠を明らかにし、説得力をもってアピールしていくべきであります。

都の見解を求めます。

最後に、東京招致実現に向けて様々な手を打たれている石原知事の今後の戦いに向けての力強い決意を伺います。

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