政務調査費の公明党の討論

今回上程された改正条例案は、共産党も参加して議会運営委員会の下に設置された正規の「都議会のあり方検討委員会」による改正案と、共産党が勝手に提出した改正案の2案であると申し上げておきます。

この「あり方検討委員会」の改正案と共産党案の違いは、大きく2点あります。第1は、「あり方見当委員会」では設置を義務付けた中立的な立場からチェックを行う第三者機関の設置についてであり、第2は、政務調査活動と政治活動、後援会活動等が混在する場合における政務調査費の「按分」の考え方についての2点であります。

 まず、第三者機関の設置について申し上げます。共産党案には、第三者機関の設置は記載されていません。なぜ、第三者機関の設置が必要か。それは、中立的な立場から、公正かつ公平にチェックすることにより、政務調査費の使途に関する透明性と信頼性を確保するためであります。共産党は、「あり方検討委員会」の場でも、しきりに「都民が直接判断すればよい」と主張しました。しかしそれは、一見理にかなったように思えますが、そうとも限りません。

最近、流行のオンブズマンと呼ばれる人たちの一部には、特定の政党の影が見え隠れする場合があります。例えば、昨年、ある区の政務調査費の問題で、区議会議員を東京地検に告発した「オンブズマンの会」の代表が同じ年の区長選挙に共産党の推薦で立候補した例があります。共産党系と判断せざるを得ない人物が、果たして複数の政党の政務調査費を公正・公平、かつ客観的にチェックできるのかどうか、疑問があります。

従って、恣意的なチェックや党派的な判断を排除する意味でも、中立かつ公正な立場から専門性を持った弁護士、公認会計士、税理士などの第三者機関によるチェックが必要であります。また、第三者機関を設置すると新たに費用がかかるというのであれば、わが党としては、新たにかかる費用について、政務調査費を削減して充当するということも一案であると考えます。

いずれにせよ、いつも言葉の上では「道理」とか「透明性」や「信頼性」を強調する共産党が、なぜ第三者機関の設置に反対するのか、理解できません。客観的で有能な専門家にチェックをされたら、何か不都合なことでもあるのか、と勘ぐりたくもなります。

 次に、政務調査費の「按分」の考え方について申し上げます。議員の活動は、政務調査活動だけでなく、政治活動、後援会活動など多岐にわたります。また、一つの行動が、都議としての調査活動と会派議員としての政治活動が混在する場合もあります。こうした議員活動の実態を踏まえ、支出を伴う議員活動について、その性格が明確に線引きできない場合には、政務調査費についても、合理的な割合で按分する必要があり、こうした「按分」は、最高裁の判例においても認めてられております。

にもかかわらず、自分たちの考え方が違うから、反対するというのは、まさに唯我独尊、あまりにも独りよがりであります。

 そもそも「あり方検討委員会」は、超党派で政務調査費について、昨年の12月から14回にもわたって議論を重ねてきました。ようやく最後のまとめの段階に入ったと思ったら、共産党は、勝手極まりない独自案を出し、われわれは大変に驚きました。一体、今までの討議は何だったのかと、残念であり、裏切られた思いで一杯であります。

共産党に対しては改めて、議会とは協議を重ねて合意を形成するための場であり、間違っても「反対のための反対」、あるいは、選挙目当てのパフォーマンスの場ではないと申し上げます。