平成20年第3回定例会の代表質問

私(鈴木かんたろう)の住む荒川区が生んだ水泳の北島康介選手の活躍に象徴されたように、北京オリンピック・パラリンピックでのアスリート達の人間力には、私ならずとも多くの都民が感動を覚えたのではないでしょうか。2016年オリンピックの東京招致に向け改めて思いをはせたのであります。一方、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピック開催中に、グルジア紛争が勃発。その後のサブプライムローンに端を発した金融危機は、新たな世界の金融不安の連鎖に発展しようとしております。

国内に目を転じてもゲリラ豪雨や汚染米事件など、これまでの常識や予想をはるかに超える事態が相次いでいます。時代の危機を乗り越えたジュリアスシーザーの「ただ迅速果敢な行動のみがすべてを決定する」という言葉が思い出されるのであります。時代のカオスを打ち破る東京ならではの行動がいま求められております。こうした観点から、以下知事並びに関係局長に伺います。

【補正予算について】  

我が国経済は、景気後退局面に入った公算が高く、今後の経済の見通しは極めて不透明であります。特に原油価格や物価の高騰は、都民生活に大きな影響を与えております。

都民の不安は、先行き不透明な経済の問題だけではありません。首都東京においては、いつ大地震が発生しても不思議でない状況にあります。さらに、東京は膨大な昼間流入人口を抱え、都市機能が高度に集約しているが故に、様々な危機が先鋭的に現れます。

今日の都政に求められている課題は、都民生活が直面する不安に対して、生活者の視点に立って、具体的な手立てを早急に講ずることであります。

都議会公明党としても、こうした観点から、8月27日に緊急要望を行ったところであります。今回の補正予算案では、我が党の要望を受け、年長フリーターを対象とした雇用対策をはじめ、現下の厳しい経済環境を乗り切るための中小企業支援対策や、小中学校の耐震化対策等が盛り込まれました。他にも新型インフルエンザ対策や低炭素社会への取組など、都民の不安を解消するための具体的な施策を取り入れており、高く評価するものであります。

我々は、都民が危機に直面している今こそ、都民生活のセーフティ・ネットとして、積極的に施策を展開するべきと考えます。そこで、まずこの時期に補正予算の編成を決断した知事の考えを伺います。

今回の補正予算は、将来の財政運営の足かせとなることを避け、かつ、都民生活への影響を最小限にとどめるため、地方債の発行や基金の取り崩しを行わず、その全額を平成19年度決算剰余金で賄うこととしたところであり、これは、都財政の長期にわたる財政再建努力の結実があったからこそ可能となったものであると高く評価するものであります。その上で、補正予算の内容に関連して何点か質問いたします。


【保育所の耐震化について】 

都議会公明党は、先の第二回定例会代表質問で、学校などの耐震化の取り組みを加速させ、特に経営基盤が弱く、耐震改修が遅れている私立の学校、幼稚園、保育所等について、都独自の支援策を講じるよう求めました。都はこれを受け、今回の補正予算案で耐震診断の実施を促進するための補助率を3分の2から5分の4にかさ上げしました。さらに、保育所等については緊急に実態調査に着手するなど、我が党の主張を受けての迅速な対応を高く評価いたします。

そこで、この実態調査を受けて、保育所等の耐震化を推進するための今後の取り組みについて伺います。


【年長フリーター対策について】 

今回の補正で「ネクストジョブ事業」が提案されておりますが、採用する企業側をみると、30代で正社員の経験がないといった方については、履歴書を見ただけで、経験不足を仕事能力の不足と捉えて、採用に二の足を踏むようなことが多いという現実があります。

こうした状況を変えるには、都として企業に積極的アプローチすることが重要であり、また、採用後の職場定着まで支援する仕組みも必要と考えますが、


【原油・資材価格の高騰対策について】

公共工事発注後の資材価格高騰に応じ工事費の支出を上乗せする、いわゆる「単品スライド条項」についてであります。

「単品スライド条項」とは、いうまでもなく、第二次オイルショック期間の昭和55年に、石油価格の高騰による建設資材の価格変動に対応し、特別措置として契約金額の変更を行ったことを受け、昭和56年に単品スライド条項が工事請負契約書に規定されたものであります。

以来28年間、この「単品スライド条項」の適用事例はありませんでした。昨年来の石油高騰による鋼材をはじめ建設資材の急激な価格上昇により、公共工事を取り巻く社会経済情勢は大変厳しいものとなったため、都議会公明党は都に対して本条項の初適用を強く申し入れました。

都はこれを受け、6月16日、この「単品スライド条項」の適用を発表しました。迅速な対応を評価するものであります。また、わが党の強い要望を受け対象資材を鋼材類や燃料油に限定せず、その他の資材まで広げたことは高く評価するものであります。しかしながら6月16日の適用発表から3ヶ月が経過した今日でさえ、未だにこの条項が適用された工事は1件もありません。

資材高騰に苦しむ事業者に対応するための単品スライド条項であります。早期にさかのぼって本条項の適用を実施するとともに、今後の状況を見据えながら、「1%条項」すなわち「価格上昇に伴う増額分のうち、資材別に対象工事費の1%を超える部分のみ都が負担する」という条件については早期に撤廃すべきと考えます。併せて見解を求めます。

次に、原油価格の高騰の影響を直接受けている公共交通機関、特にバス交通について質問いたします。

東京におけるバス交通は、経営環境の厳しさに対し、自ら輸送サービスの改善や運行の効率化・合理化を進めるなど、内部努力を続けておりますが、追い打ちをかける軽油価格の高騰により、一部路線廃止や運行回数の縮小を検討しなければならない状況に追い込まれています。そこで、通勤・通学など、都民の日常生活を支える公共交通機関として重要な役割を担うバス交通について、都としての支援策を検討すべきであります。見解を求めます。

特に、都の温室効果ガス25%削減目標を見据えた時に、CO2排出量が15%削減でき、低燃費のハイブリッドバスの導入は重要であります。

国の、低公害車に対する補助制度を例にあげるまでもなく、都は、積極的に導入助成を行うべきであります。


【入札契約制度改革について】  

都の入札契約制度改革研究会は先般、入札契約制度改革に関し、直ちに実施すべき当面の対策として、9項目にわたる第一次提言を受け、都が実施方針を発表しました。

今回、都が明らかにした実施方針は、透明性と競争性の向上を目指しながらも工事品質を確保し、入札不調の解消、低価格競争抑制への試みであり、本年第一回定例会の予算特別委員会でのわが党の主張に応えたものとして、一定の評価をするものであります。

研究会では、今後の制度改革の抜本的な解決策の視点として、予定価格の事前公表、総合評価方式や最低制限価格、契約担当者を窓口としない不服審査機関の設置や発注者側の技術能力の向上など挙げております。

なかでも、事業者の社会貢献活動等の評価のあり方について取り上げておりますが、災害復旧に関する地域への貢献や、高齢者・障害者雇用など、都の施策推進に貢献している事業者に対しては、改革される入札契約制度の中で、何らかの優遇措置を講じていくべきと考えます。             


【行革・ムダの削減について】

都が、3年間の行財政改革の具体的な道筋を示した「行財政改革実行プログラム」は今年度で一区切りとなります。

今後の行財政改革における大事な視点として、第一に、都立病院の行政的医療の存続など、効率化を進めながらも、都民サービスの向上や不安解消など、都民の視点に立って改革を進めること、第二に、団塊の世代を中心とした職員の大量退職が見込まれる中においても、都が引き続き責任をもって担うべき業務とは何かを再検証するとともに、技術、ノウハウを着実に継承していくことなどが挙げられます。

都は、以上の視点も踏まえ、今後の行革の基本的方針を明らかにした上で、新たな実行プログラムをとりまとめるべきと考えます。答弁を求めます。

関連して監理団体については、これまで都議会公明党の主張を踏まえ、団体の統廃合や都派遣職員数の削減などの改革が進んできており、高く評価をするものであります。

しかし一方で、外郭団体に対する都民の視線はますます厳しく、手綱を緩めることなく更なる監理団体の改革を進めていく必要があると考えます。見解を求めます。

ムダを削減する具体的な事例として、都は、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を策定し、事業者や都民を牽引する意味で、都の率先行動を示しています。その中には、建設局による街路灯や公園灯の省エネ照明灯への転換や、警視庁による信号灯器のLED化への転換の取り組みがあげられております。こうした取り組みは、CO2削減に加え、電球が長寿命であるため、交換に要する手間もはぶけ、さらに毎月かかる電気使用料金(コスト)削減にも大きく貢献いたします。

今後、都は、照明の省エネ化によるコスト削減効果も踏まえて、環境局が各局に対し、これまで以上にリーダーシップを発揮し、都の率先行動を推進していくべきと考えます。


【オリパラ・スポーツ振興計画について】

石原知事が北京オリンピックの開会式に出席をされ、東京招致への強い意欲を内外にアピールされたことを公明党は高く評価するものであります。わが党も北京オリンピック視察団を派遣し、開会式に出席をしたのをはじめ、セキュリティ対策や選手村施設、オリンピックレーンによる渋滞対策、ジャパンハウスを中心とした招致活動等をつぶさに視察してまいりました。

何よりもまずは、友好都市・東京として北京大会が成功裏に終わったことを心から祝福するわけでありますが、この北京大会の開催を通じて、北京に足を運ばれた石原知事は、東京招致に向けて、参考になった点は何か、また北京での招致活動の取り組みの成果について、知事の見解を求めます。

東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を強力に進めていく上で、単に高齢者・障害者だけでなく、外国人や子ども等も視野に入れたユニバーサルデザインに基づくまちづくりを進めていくことは、重要であります。したがって、東京が内外に世界のユニバーサルデザインの最先端をリードする姿勢を示し、福祉のまちづくりを一層推進していくべきと考えます。都の見解を求めます。

北京大会での日本選手の活躍は、都民に深い感動と活力を与えてくれました。またオリンピックに限らず、多くの都民がスポーツの感動に沸いたこの夏、都は、「スポーツ振興基本計画」を策定しました。

今回の計画では、都民のスポーツ実施率を高める取り組みの一つとして、いつでもスポーツを実践できる場となる地域スポーツクラブの増加を目指しております。地域スポーツクラブは、子どもからお年寄りまでスポーツを通じて交流する場として、地域の活性化にも役立っており、わが党もその普及を強力に推し進めているところであります。

都は、今年度から地域住民が地域スポーツクラブの活動を実際に体験する事業に対して支援を始めましたが、こうした取り組みをさらに拡充し、全区市町での地域スポーツクラブの設立も促進すべきと考えますが、見解を求めます。

尚、スポーツ振興基本計画では、スポーツ人口の裾野を広げることも大きな柱として位置付けてあります。しかしながら、学校教育における部活動は、顧問がいなくなるなどの理由により休廃部している現状があります。現在、策定に着手している十年後の東京実行プログラム2009にも明確に位置付けるなどして部活動再生に取り組むべきと考えます。


【消費生活基本計画について】

都はこのたび11年ぶりに、東京都消費生活基本計画を改定しました。折しも国内では米粉加工販売会社による事故米の転売問題が発覚し、時を同じくして中国ではメラミンに汚染された粉ミルク被害が明らかになり、日本で全国販売された輸入食品も自主回収されるなど、中国産冷凍餃子の薬物中毒事件に続き、全国的に食の安全が脅かされています。

止まることを知らない食の安全の崩壊を目の当たりにし、首都東京の食の安全を守りぬく知事の決意を伺います。

消費者の安全・安心確保のため、国では公明党の推進により消費者庁を設置します。都としても食の安全確保はもちろんのこと、深刻な消費者被害や多発する商品・サービスの安全に関する事故、偽装表示などに対応するため、悪質事業者排除や商品・サービスの安全性及び適正表示の確保など、様々な課題解決に一段と強く立ち向かっていかなくてはなりません。

このたびの消費生活基本計画の改定は、国の消費者庁設置による行政一元化に呼応したものでもありますが、今回の改定で提示されている緊急対策や政策課題は、庁内8局にまたがっており、その推進のためには、都としても一元的に取り組む体制を構築すべきと考えます。


【高齢者支援について】

都内在住の65歳以上の高齢者のうち要介護、要支援認定を受けていない、いわゆる元気高齢者は8割以上の約207万人に上ります。介護サービスを利用していないこうした元気高齢者の健康維持や生きがいづくりに支援策を講じていくことは、目前の超高齢社会への対応として極めて重要であります。

その一環として厚生労働省は、高齢者施設等での元気高齢者のボランティア活動を活発化させ、しかも活動実績をポイントに換算して実質的な介護保険料の負担軽減等が可能となる「介護支援ボランティア活動」を19年度から開始しております。

東京都も今年度、高齢者施設でボランティア活動を行う介護サポーターを養成して、施設への円滑な受け入れを進める「施設介護サポーター事業」に乗り出しました。

国、都の両事業ともボランティア活動への参加意欲と高齢者施設等での介護サポートを結び付けるものですが、二つの事業はそれぞれ独自に行われているために、事業への補助額の違いや活動状況に応じて還元されるポイントなどの対価に格差があり、こうした課題の解消が求められます。

そこで都の「施設介護サポーター事業」を介護サポートの担い手としてのボランティア確保と研修を行う部門と位置付け、それを国制度の「介護支援ボランティア活動」につなげる一貫したシステムを整備すべきであります。見解を求めます。

また、元気高齢者のボランティア参加を促していくためには、介護サポーターに関する意識啓発をはじめ、介護支援ボランティア活動の対象業務の拡大などによって、より多くの高齢者が参加しやすくなる環境整備も検討すべきと考えます。

(シルバーパスの継続について)



シルバーパス制度の激変緩和措置の継続について質問いたします。

シルバーパスについては、国の税制改正により、高齢者の区市町村民税の課税基準が引き下げられ、その結果、収入が変わらないにもかかわらず、多くの高齢者が千円から二万五百十円のパスを購入しなければならない事態を避けるため、我が党は負担拡大について配慮するよう強く主張し続けてまいりました。

都はわが党の主張を踏まえ、税制改正の影響を受けた方の負担額について、平成十八年度、平成十九年度、そして今年度と激変緩和の観点から経過措置を実施してきたことは評価をするものであります。

その上で、二十一年度も引き続き経過措置を継続することを強く求めるものであります。


【子育て支援策について】 

子育ての経済的負担はどの所得層でも年収の約3割を占めており、特に若年層の子育てにおける経済的負担は深刻な状況となっています。

こうした就学前の子育てにかかる負担を軽減する一環として、都議会公明党はこれまで園児保護者の負担軽減事業の拡充を推進してきました。現在この制度では、兄・姉がいる園児については、優遇措置として補助単価の増額が設定されています。これと同様の国制度では今年度から兄・姉の要件を小学3年生まで拡大されました。しかし、都の制度では、兄・姉が同時に幼稚園等に通っている場合のみと限定されています。そこで都においても、早急に国と同様の優遇措置を図るべきと考えます。都の見解を求めます。

次に、中学3年生までの医療費助成制度について質問いたします。公明党の強い要請を受け、都は昨年10月から、中学校3年生までの医療費の一割助成をスタートさせました。その結果、本制度が導入されることを契機に、23区10町村では独自に入院・通院とも自己負担分を全額助成し、中学校3年生までの医療費ゼロが実現しています。しかしこれが、区部と比べ財政基盤の弱い多摩の市町村との間での格差となり、新たな三多摩格差と指摘されるに至っております。

石原都知事の選挙公約でもある中学校3年生までの医療費ゼロを早急に都の制度として実現すべきであります。


【住宅政策について】

はじめに、子育て支援としての住宅政策の強化についてであります。

初めて少子化問題を取り上げた平成2年版の厚生白書では、少子化の要因の一つに、教育費や女性の社会進出と並んで、住宅問題を指摘しています。特に近年では、非正規雇用やワーキング・プアーの増大が社会現象化し、若年者を中心とした経済的困窮が、結婚や出産の大きな壁となっていると言われています。まさに都においては、就労の促進とともに、次代を担う若い世帯が安心して生活できる住まいを確保するための公的な政策を、急ぎ整えていく必要があります。

そこでまず、都は今後、従前の子育て支援策に加え、子育て世帯の住環境整備に積極的に取り組むべきと考えます。都の見解を求めます。

併せて都営住宅の役割が重大であります。例えば、子育て向け住宅の募集枠を大幅に拡充し、基準に見合う子育て世帯の入居希望を原則可能としたり、子育てに適した間取りの型別基準の新設や、子育て限定の定期借家制度を活用したりするなどの工夫が考えられます。

そうした意味からも都は、今後一定期間、都営住宅ストックの総管理戸数抑制を弾力的に運用し、子育て支援策としての「特別枠」を設定することを検討すべきであります。現居住者の居住の安定を図りながら、都営住宅における子育て支援策を緊急に実施していく必要があると考えます。都の見解を求めます。

また、都営住宅においては、明年4月に施行予定の公営住宅法施行令の改正について、都は第二回定例会でわが党の代表質問に答え、都独自の家賃変動の緩和策の検討を約束しましたが、都営住宅の現入居者の不安を一日でも早く解消するため、都独自の緩和策の骨子を急ぎ明らかにすべきであります。


【がん対策について】

都は、本年3月、がんの予防から治療及び療養生活の質的向上を図る総合的な計画である東京都がん対策推進計画を策定しました。

この計画の基本方針として、「第一に予防を重視する」を掲げ、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの五つのがん検診の受診率を50%にすることを目標としています。

しかし、区市町村が実施しているがん検診の受診率は、五つのがんのいずれも10%前後であり、全国と比べて低く、特に、女性のがんである乳がん、子宮がんについては、東京が全国と比較して死亡率が高いのが実態であります。そこで都は、乳がん、子宮がん検診の受診率を向上させるためにマンモグラフィー検診車を増やすなど、具体的な対策を実施すべきであります。見解を求めます。

また、女性のがんのうち、子宮頚がんは20代から30代の女性に急増しています。子宮頚がんの原因は、ヒトパピローマウイルスによる感染であります。

ヒトパピローマウイルスの研究がすすみ、ワクチンが開発され、世界でも103の国で承認されています。子宮頚がんは、予防可能ながんとして予防ワクチンへの期待が高まっているところです。申請されている予防ワクチンが承認された後は、その推進を図るために接種についての情報提供を速やかに行うべきと考えます。都の見解を求めます。

次に、在宅での緩和ケアについて質問いたします。

都の調査によると、都民の半数が在宅での療養生活を希望しています。身体的にも精神的にも苦痛を抱えるがん患者が、安心して在宅療養生活を送ることができるよう、在宅での緩和ケアを拡充すべきであります。そのためには、在宅緩和ケアの人材育成や療養生活を支援する体制づくりを積極的に推進すべきと考えます。都の具体的な取組みについて見解を求めます。


【救急医療におけるトリアージについて】

公明党の主張を受け都は、平成8年に、国に先駆け、都独自の災害現場におけるトリアージ制度の導入を行いました。そのような中、先月末、救急医療対策協議会の中間のまとめにおいて「救急医療」の「トリアージ」の実施がうたわれたことは、高く評価するものであります。

この中間のまとめでは、地域ネットワークの要となる東京都地域救急センターが先行的にトリアージを実施、効果を検証し、その取り組みを地域の救急医療機関に広げていくことが有効であるとしております。しかし、救急現場において「病院内トリアージ」を円滑に進めるには、何といっても患者側の理解が欠かせません。「トリアージ」を実施する趣旨の説明、患者の個々の状況に応じた配慮があってこそ、はじめて救急医療における「トリアージ」は成り立つものと考えます。そこでトリアージをスムーズに行うためにも、例えば「トリアージナース」などの訓練を積んだスタッフの配置などが何よりも必要であると考えます。患者の理解と納得を得るための体制の整備の確保について、都の見解を求めます。

また、救急医療にとっては、こうした「トリアージ」とともに、医師の確保が重要であります。我が党がかねてより主張している奨学金の拡充による医師確保はもとより、制度的に弱体化した大学医局の医師派遣機能を都が補っていくことが重要であります。そこで都は、医師不足に深刻な公立病院に医師を派遣する新たな仕組みを構築すべきであると強く要望しておきます。


【環境政策について】

第2回定例会で都は、世界で初めてオフィスをも対象としてCO2排出総量に削減義務を課す環境確保条例の改正を行い、先駆的な取り組みをスタートしました。都は条例改正以降、制度の円滑な実施に向けて様々な準備を進めていると思いますが、何といっても制度の対象となる事業所に対して、都の制度について正しく周知する必要があります。

そこで、CO2排出総量の義務化される削減義務率の検討はじめ条例改正後の取り組み状況を明らかにするとともに、新たな融資制度の創設も含めた中小規模事業所に対する省エネ支援策について、併せて見解を求めます。

先の定例会で、わが党が求めた太陽光・太陽熱の利用促進について、都は直ちに太陽熱の利用拡大に向けたグリーン熱証書検討会を設置するなど、家庭部門における取り組みも強化しております。

しかし、都の排出量の約四分の一を占める家庭部門における省エネ・節電の遅れを取り戻すには、家庭での取り組みをさらに抜本的に強化していく必要があります。都は現在、白熱球一掃作戦や省エネラベリング制度などの施策を進めておりますが、その展開にあたっては、量販店での取り組みに加え、都民にとってより身近な地域家電店とも積極的に連携し、家庭部門の温暖化対策推進に取り組むことが効果的と考えますが、見解を求めます。

さらに今、社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目されているのが「エコポイント」であります。都民一人ひとりのエコ活動については、商店街での取り組みや公共交通の利用促進、リサイクルといった様々な広がりを見せており、こうした活動に「エコポイント」が結びついている例も、既にいくつか見受けられます。

社会全体で地球温暖化阻止に取り組む仕組みを構築していくためには、公明党は「エコポイント」の活用が大きな鍵を握ると考えております。

都民一人ひとりの環境配慮行動をより一層喚起できるように、大都市東京ならではの「エコポイント」制度を幅広く立ち上げ、その活用策についても、具体的な検討を開始すべきであります。


【教員の資質の向上策について】 

教員の資質の向上を図るためには、優れた人材の採用とともに、社会全体で教育を支援する事が大事であると考えます。

都教委は、教員の大量退職時代を迎え、それに伴う大量採用が教員の資質の低下につながらないようにしなければなりません。そこで、教員採用に向けて、東京だけでなく地方からも、また、新たに設置された教職大学院との連携など、既存の枠組みにとらわれない様々な取り組みを行っていくべきであります。

次に、教育を社会全体で支えるしくみについて質問いたします。

近年、常識では考えられないような要求を繰り返す保護者が増加し、教育現場の混乱の要因になっています。

そのため、学校単独で解決できない困難な事例が平成19年度で小中高、特別支援学校を含めて234校で発生しています。本来ならば、学校内で解決していくことが望ましいことでありますが、子どもたちの適切な教育環境を確保するためには、学校事例の問題解決の研修を積み重ねてきている行政書士、司法書士、弁護士などの法律の専門家を活用し、対処できる仕組みを構築していくべきであります。


【ネット・携帯のサイトの監視について】

また、いじめにつながる特定の個人への誹謗・中傷が、携帯ネットやインターネットの学校裏サイトと呼ばれる掲示板やブログ、プロフなどの中に記載され、大きな社会問題となっています。こうした学校裏サイトやブログ・プロフなどは、秘密裏に行われることも多く、各学校での実態把握は困難な状況であります。

実態調査については、分析中と聞いていますが、次から次へと立ち上がる学校裏サイトを的確に把握し抹消する仕組みを作り、子どもたちが被害にあわないための実効性のある対策を講じることが急務であります。教育長の考えを伺います。


【豊洲新市場問題について】

まず、市場の整備のあり方について質問いたします。

新たな市場の施設は、50年、100年先の生鮮食料品流通を見据え、時代の進展に伴って変化する商品流通過程に的確かつ効率的に対応できるものにしていかなくてはなりません。近年の市場外取引の増加など、流通環境の変化や情報化の進展への対応、将来の都市人口の動向、少子高齢化に伴う消費の質的・量的な変化など、社会経済状況の変化も勘案してみると、新市場予定地の整備規模については、敷地面積40haは必要ないとの指摘もあります。このことに関して都の見解を求めます。

都議会公明党は、党内に築地市場問題調査特別チームを立ち上げ、これまで、精力的に調査活動を展開してまいりました。

農林水産省は、施設の整備に当たり、「卸売市場整備基本方針」のなかで、「大都市圏の市場においては、土地の高度利用を図る観点から、立体的かつ効率的な施設の配置とすること」と指導しております。

わが党としても土地を高度利用するならば、豊洲以外にも候補地は存在すると考えます。都には、水産卸・仲卸売場の一体配置が可能であり、土壌の地歴から土壌汚染がなく、既に都有地であり異なる会計間の所管換えにより用地が取得でき、あわせて公有財産規則の第十条但し書きにより取得価格が無償または軽減可能となる土地が存在します。このような土地は、たとえ40haを下回っても高度利用することによって移転候補地になりえると考えます。都の見解を求めます。

仮に豊洲に移転するとしても、現在作業を行っている「技術会議」における新技術・新工法の提案に対する評価・検証は、慎重かつ十分な検討期間を必要とするものであります。

ところが、公募提案の検討、及び委員からの提案の検討期間は、9月下旬から10月中旬と僅か半月余りしかありません。このような重要事項を何故短期間で結論を出すのか理解に苦しむところであります。土壌汚染対策への都民の不信と不安を払拭し、安心・安全を確保するために、都は、技術会議の評価・検証の検討期間を見直すべきであります。


【新銀行東京問題について】

新銀行東京についてであります。

 さる6月30日、新銀行東京は、定時株主総会において1016億円の累積損失を補填するため、株主資本を減少することを決議いたしました。改めて、このような累積赤字を発生させた旧経営陣の責任を問うものであります。

 前にも述べたところではありますが、新銀行東京は、調達する資金コストを1.5%から1.7%で行っていたにもかかわらず、大企業50社に対し、1000億円の貸出しを1%で行っていたのですから、不良債権問題以前に、ありえない銀行経営を行っていたわけであります。

 さらに、新銀行東京は、銀行のシステム開発においても時代遅れのシステムを採用し、この使えないシステムに何百億円も投入していたわけであります。

 こういった新銀行東京の旧経営陣の責任は一つ一つ明らかにしていくべきであります。新銀行東京の現経営陣は、年内に旧経営陣への法的な責任追及を行うということでありますが、このことに対する知事の見解を伺います。

また、8月29日、新銀行東京は、平成21年3月期の「第1四半期決算」を発表いたしました。四半期決算の発表は、400億の追加出資の際に、わが党が今後のチェック体制の一つとして強く主張していたものであり、新銀行側の対応に一定の評価をするものであります。この第1四半期決算の状況を踏まえ、何点か質問いたします。

この第1四半期の経常収益は18億円で、前期の第1四半期の経常収益の60%しかありませんが、純損失は、37億円で前期と2%しか変わりません。果たしてこの経営成績が妥当であるのかと疑問視する声もあります。そこで、何故このような経営成績になったのか、まず、明らかにすべきであります。都の説明を求めます。

また、決算短信によると平成21年3月期の業績予想は、経常収益が67億円で、当期純損失が126億円となっています。この数字は、新銀行東京が提示をした再建計画と同じであります。第1四半期の経営成績がそのまま推移すれば、決算短信の業績予想通りになると思いますが、今年の5月に金融庁の検査がはいり、貸倒引当金の積み増しが必要であるとの情報も流れています。したがって、今回の第1四半期決算には、金融庁の検査結果が反映されているのかどうかを都民に明らかにすべきであります。説明を求めます。

仮に金融庁の検査結果を受けて、平成21年3月期の業績予想が下方修正されることになれば、新銀行東京の再建計画に対する信頼が揺らぐことになります。金融環境を取り巻く状況を考えれば、大変に厳しいと思いますが、他の金融機関と業務提携をしていくなど、積極的な努力を行っていくべきであります。