平成20年第2回定例会の代表質問
6月8日の秋葉原における通り魔殺人事件並びに、同14日に発生した岩手・宮城内陸地震において尊いお命を亡くされた方々に対し、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、負傷された皆様並びに避難所生活を送られている皆様に心よりお見舞い申し上げます。 さて、20日後に迫った洞爺湖サミットでは、ポスト京都議定書のフレームづくりが主要議題となります。このため日本政府は、日本独自のCO2国内排出量取引制度を構築し、できれば、それを国際基準にしたいと考えているようであります。ただ、排出量取引そのものでは、排出量が「移転」するだけで、CO2などの温室効果ガスの総排出量は減りません。削減するためには、総量ベースで現状の排出量より少ないキャップを全世界の国や企業に割り当てることが重要であります。しかし、アメリカ、中国、インドといった排出大国が京都議定書に参加しない現状を考えれば、全世界に合理的に排出量枠を配分することは、現時点では難しいと言わざるを得ません。 先駆的な取り組みを行ったEUの域内排出量取引制度は、金融機関のマネーゲームに陥っており、排出削減の点では効果が上がっていないと指摘されています。そもそも、金融工学を駆使して、無価値であるCO2に人為的に価格をつけ、市場取引を進めていけば、新たな投機対象になることは自明の理であります。 かの歴史学者アーノルド・J・トインビー博士は、その著書「21世紀への対話」の中で「われわれは、貪欲と慢心を克服しなければなりません。しかも、テクノロジー進歩の結果、人間が自然環境と自分との関係を逆転させてしまっている現代ほど、この2つの決定的な人間の欠点が蔓延した時代は、おそらくかつてなかったでしょう。」と警告を発しております。都議会公明党は、このことを根幹に据え、真正面から地球温暖化対策に取り組む決意であります。 人間の持つ貪欲と慢心は、環境問題だけではありません。世界の投機マネーは、サブプライムローンの破綻から、オイル市場や食物市場に流れ、その結果、一部の投資家が莫大な利益を享受した反面、原油や食物価格が高騰をし、各国の経済から市民生活まで多大な影響を及ぼしています。 そこで、こうした現代社会の潮流を東京から変えていこうとする、知事の決意を伺います。 以下、都政の直面する課題について、具体的に質問いたします。 【オリンピック・パラリンピック招致問題】 6月4日、アテネで開催された国際オリンピック委員会理事会において、東京は、2016年オリンピック・パラリンピックの立候補都市として、最も高い評価を受けて選出されました。2016年の東京大会の実現に向けて大きく前進をしましたが、招致活動はこれからが本番であります。 来年10月の開催都市決定に向けて、国際招致活動も解禁され、各立候補都市による熾烈な招致レースが繰り広げられることになります。 そのような中、北京オリンピックは、まさに東京の魅力を世界にアピールする絶好の機会であります。知事並びに招致委員会は万全の体制を整えて臨むべきであります。これに向けての知事の決意を伺います。 申請都市の評価結果を見ると、東京は項目によっては、負けているものもあります。そこで、東京の課題を整理し対策を検討すべきであります。見解を求めます。 東京の一番のウイークポイントは、世論調査の低さにあります。IOCの世論調査の結果、東京は、賛成が59%と最も低く、他の都市が7割、8割を超えている中で、世論の支持を重視するIOC委員にアピールするには世論喚起が急務であります。都の見解を求めます。 また、区市町村に委託をするオリンピックムーブメント推進事業の多くが、夏から秋にかけて実施されます。しかしながら、区市町村においては、どのように事業を実施してよいか迷うところが多いと聞きます。 こうしたことから、都は区市町村に対し明確なガイドラインを示し、積極的に支援をしていくべきと考えます。都の見解を求めます。 【パラリンピック問題】 オリンピックの影にかくれてパラリンピックの注目度は低く、テレビ中継や新聞報道などを見ても、オリンピアンの取り上げ方に比べ、パラリンピアンの扱いはあまりにも少ないのが実情です。 そうした中、都が来年9月、14歳から19歳までのアジアの障害のある若者による「東京2009アジアユースパラゲームズ」を開催することは、障害者のスポーツの振興、インフラ整備という観点のみならず、オリンピック・パラリンピック招致という観点からも高く評価するものです。 今後、オリンピック・パラリンピック招致に向け取り組んでいく中で、たとえばオリンピアンのふるさと特使のようにパラリンピアンも招致活動のプロモーションに積極的に参加できる仕組みをつくり、パラリンピックの社会的関心を高めるべきであります。都の見解を求めます。 【治安対策について】 6月8日昼秋葉原で起こった通り魔事件は、あまりの凶悪な犯罪に誰しもが、驚き、悲しみ、怒りを禁じえませんでした。今年になってから、1月に品川で少年が5人に切りつけ、3月には、茨城県土浦市で8人を殺傷する事件が起きており、都は、事件を起こした社会的背景などを徹底的に分析し、模倣事件が起こらないようにしなければなりません。 治安を預かる警視庁としての、被害者支援を含めた事件発生時の対応、さらにはその後の対応について警視総監に伺います。 また犯人が所持していた殺傷能力の有るダガーナイフ、折たたみナイフ、投げナイフなどが何の規制もなく簡単に売られていることに改めて社会的関心が寄せられております。そこで、ナイフの販売規制及び購入者の身元確認などの未然防止策を検討すべきであります。警視総監に見解を伺います。 今回の事件では、犯人が携帯電話サイトの掲示板に犯行予告を書き込んでおりました。自殺サイトの場合、警察庁は、接続業者の団体に協力を求めて自殺阻止に役立てており、全国で121人の予告情報の通報を受け、72人を救助している事実があります。警視庁として、こうした犯罪予告について業界団体に積極的に通報するよう協力を求め、犯罪抑止に取り組むべきであります。警視総監に見解を伺います。 【温暖化対策について】 今回の改正は、欧米の大都市と比べて2、3割もCO2の排出量が低い環境先進都市・東京において、世界で初めて事業所におけるCO2排出総量に削減義務を課すというものであり、評価致します。 我が国の環境政策を牽引してきた東京が、環境サミットとして注目を集める洞爺湖サミットを前に、先駆的な取り組みを発信することは国際社会における日本の存在感を高めることに寄与するものであります。 そこでまず、必要最小限のエネルギー使用で、豊かで快適な都市生活が可能な低炭素型社会の実現に向けた石原知事の決意を伺います。 さて、事業所におけるCO2排出総量削減義務化は、対象となる事業所には当然一定の負担を伴うものであり、制度の円滑な実施には対象事業所からの深い理解と自発的な取り組みを促していくことが必要であります。特に削減率の設定には公平性や公正さが求められます。「2020年までに2000年比で25%の削減」目標を掲げている東京として、事業所の設備更新による削減余地等も勘案しながら、義務化する削減率をどう設定するのか、削減達成期限も含めて見解を求めます。 また、排出量の確認には第三者機関による検証が行われますが、制度運営に関わる事業所の負担をできるだけ軽減するために、検証の方法やルールについても一定の配慮が必要となります。また、排出量取引についても、投機対象とされないための防止策が何よりも重要であります。あわせて都の見解を求めます。 今回の条例改正で、中小規模事業所においても、報告書の任意提出など地球温暖化対策推進制度の中に組み込まれることになります。とりわけ複数の事業所を管理する法人については、エネルギー使用量の合計が一定量以上の場合には、報告書の提出や内容の公表が義務化され、大きな負担となります。従って、今後、中小規模事業所が省エネ性能の優れた設備へ更新する際には、税制面での優遇措置や、更新費への助成制度について検討すべきであります。見解を求めます。 現在、各企業においてはCSRすなわち企業の社会的責任の履行についても、様々な取り組みがなされています。例えば緑の東京募金への協力や、事業所緑化等CO2の吸収源対策を進めています。地球温暖化対策においては、CO2吸収源対策も極めて重要であり、そこで、このような企業に対しては、総排出量削減の取り組みと連動させた制度とすべきであります。都の見解を求めます。 また、都の排出量の約四分の一を占める家庭部門における取り組みも重要です。 太陽光発電の普及や太陽熱の利用の促進について、都としての支援策や新たな仕組みづくりが不可欠であります。設備設置費補助や家庭で発電した電気の購入義務化など、環境先進都市にふさわしいシステムを立ち上げるべきであります。都の見解を求めます。 【学校等の耐震対策について】 中国・四川大地震では多くの学校の建物が倒壊し、大勢の子どもが犠牲になりました。その主な原因は建物の耐震性の脆弱さにあったと指摘されています。 学校等の耐震化の最大の課題は、小中学校、幼稚園、保育園等の耐震改修の遅れです。 平成20年4月段階で都内の公立小中学校の耐震化率は約77%、公立幼稚園は約83%であります。更に、区市町村によっても取り組みに大きな格差があるのが実態です。 私立の小・中・高校、私立幼稚園については、専修学校等も含め平均で67%にとどまっており、特に私立幼稚園の対応の遅れが目立っております。また、保育園の耐震化率についても、公立・私立の認可保育園は平均で63・7%にとどまっているのが実情です。 小中学校の耐震化については、10年後の東京でも重要な施策に掲げていますが、子どもたちの命を震災から守ることを最優先に、都は、学校、幼稚園、保育園などの耐震化を一刻も早く実現するよう、取り組みを一層加速すべきと考えます。知事の見解を求めます。 学校等の耐震改修事業を強力に促進するには大きな財政負担が伴うために、区市町村や、私立幼稚園、保育園に対する十分な支援措置が不可欠であります。 公明党は、公立の学校等の耐震化支援について、四川大地震の被害を踏まえ、自治体の大幅な財政負担軽減措置を福田首相に要請しました。 これを受け国は、従来の補助率1/2を2/3に引き上げました。それでも財政状況が厳しい自治体は積極的な耐震化に踏み込めないのが実情です。そこで、特に財政状況が厳しい自治体等に対し、都独自の支援策を講じるべきです。見解を求めます。 また、経営基盤が弱いために耐震改修の遅れている私立の学校、幼稚園、保育園等についても、都独自の支援強化措置を講じ、保護者の安心と子どもたちの安全に万全を期すべきであります。見解を求めます。 【関連して、耐震化促進税制問題】 都議会公明党は、従来より住宅耐震助成を推進してまいりましたが、これに加え住宅の耐震化を促進する都独自の税制の活用も必要であります。 国は、耐震改修をした住宅の固定資産税を軽減する制度を設けていますが、耐震改修だけでは東京の住宅の耐震化促進には十分ではありません。住宅の建替えが可能な人にも、固定資産税の軽減措置を講ずることより、更に建物の耐震化が促進されると考えます。都の見解を求めます。 【住宅政策について】 2004年、ロンドンは、2012年のオリンピック開催を前に「ロンドンプラン」を発表。「人々にとって住みやすい都市・ロンドンの実現」を政策目標の一つに掲げ、既存住宅ストックの活用や良質な住宅供給の促進など、力強く住宅政策の推進を謳っています。 東京都の住宅行政上の課題も、耐震・耐火対策の充実だけではありません。職住接近や多世代の近・同居による少子化対策、六百万戸を超す都内住戸のスケールメリットを活かした環境貢献など、まさに多種多様です。 少子高齢化に対応しながらも、豊かさを実感し、環境負荷にも貢献できる東京の魅力を、新たな住宅政策を通じて、積極的に展開していくことについて、知事の抱負を伺います。 民間の調査では、都内分譲マンションの着工累計数は140万戸に及び、都内全体の住宅戸数の約1/4を占めます。 しかし、マンション居住者の高齢化が進む中、管理組合による自主的な取組だけでは、老朽化マンションの耐震対策や大規模修繕、建替えなどの推進が次第に困難になりつつあり、行政による適切な誘導策が必要です。 そこで都は今後、年金生活などの低所得居住者への適切な支援策や資金負担の少ない計画案の提示など、居住者間の合意形成に必要な新たな施策を強力に推進していくべきと考えます。所見を求めます。 民間住宅への取組みに加え、都営住宅によるセーフティネット機能の充実も重要です。昨年12月の公営住宅法施行令の改正により、入居収入基準や家賃制度が見直されました。しかし、国が平成18年9月に公表した施行令の改正案では、入居中の全世帯の家賃が値上げとなるため、都議会公明党は、昨年11月国に対し再検討を申し入れました。その結果、全入居世帯の7割強の、収入の少ない世帯の家賃を据え置きとしたほか、事業主体独自の激変緩和措置を可能とするなど、申入れ趣旨に沿った政令改正が行われました。 制度改正の実施は来年4月ですが、都としても、年金生活などの低所得世帯への負担緩和に積極的に取り組む必要があります。そこで都は、国制度に上乗せし、現入居者の負担軽減に向けた都独自の激変緩和策や、家賃改定適用時期への柔軟な対応を検討すべきと考えます。見解を求めます。 また、現行の都営住宅が抱える課題の一つに、いわゆる2K住宅の狭い間取りの問題があります。2K住宅は、財政再建の中での都営住宅の整備策の一環として、進められたものです。しかし、二人世帯用の居住空間としては、子育てスペースが取れない、介護ベッドが入らない、などの課題も明らかになってきています。 そこで、今後の建替えに際しては、子育てや介護に配慮するため、いわゆる2Kを廃止して2DKとし、長期に活用できる良好な住宅ストックとするべきです。既存2Kのより柔軟な活用策も含め、所見を求めます。 現在、都の住宅行政部門は、民間マンションの建て替え、都営住宅の管理・建て替え、耐震化問題など、居住者に関わる極めて具体的な事柄への対応を常に求められています。同時に、良質で安価な住宅を供給する仕組みや、公が関与した安心感のある再開発の工夫など、新しい課題への対応も求められています。 もともと現在の都市整備局は、都市計画局、住宅局、面的整備部門の建設局の三局合併により、広範な業務を担う組織となったものであり、効率的な管理を行う視点からも、体制整備が喫緊の課題となっています。 以上のような観点から、都市整備局において、住宅政策を専管する組織・人事体制の強化を図るべきと考えます。都の見解を求めます。 【中小企業支援策について】 平成18年4月から1年間の中小企業の倒産件数は、9,572件であるのに対して、平成19年4月から1年間の中小企業の倒産件数は、11,333件と1,761件、率にして18・4%増加しています。 わが国経済の下支えをしている中小企業が倒産していくことは、日本の国力を衰退させることに他なりません。特に最近では、大企業に比べ立場の弱い中小企業が、原材料価格の高騰によるコストの増加を価格に転嫁できず、結局は赤字経営に陥って倒産をするという例が後を絶ちません。 例えば、製造業の場合、大手企業が効率化による利益を上げるために、従来は中小企業が単体で受注していたものを、関連行程を一括して発注する「ユニット発注」に見直すようになりました。これにより、単体で受注していた中小企業が、ただでさえ少ない利益が、さらに少なくなるという事態が生じています。 中小企業が生き残るためには、どんな状況になっても大企業に対して物が言える体制を作ることであります。そのためには、大手企業から今まで受注を受けていた中小企業もグループ化し、対等に大手企業と交渉ができるようにすべきであります。今こそ都が思い切って手を差し伸べ、グループ化に向けた支援をしていくべきであると考えます。見解を求めます。 さらに、中小企業がグループ化をすることにより、中小企業の弱点とされる販売部門や財務部門などを切り離して統括会社をグループ内に設立することができます。その事により中小企業の事業が効率化されるばかりでなく、そこに、中小企業振興公社などから専門家を派遣することによって、戦略的な経営を展開できると考えます。都の見解を求めます。 【医師、看護師不足対策の推進策】 都は、小児や周産期、救急・へき地医療に従事する医師を確保するため、このほど順天堂大学医学部の定員を21年度から5名増員し、奨学金を支給する制度を創設しました。 都の小児科・産科医などの不足の現状を考えると、5名の増員だけでは、東京の地域医療を守ることはできません。そこで新たに都独自に医学部の学生に奨学金を貸与するような仕組みを検討すべきであります。見解を求めます。 医療人材の確保という点では、医師に限らず看護職員の確保も大きな課題であります。都が、平成19年11月に発表した看護職員需給見通しでは、平成20年には、3,500人余りの不足が生じるとしています。 都は、都議会公明党の提案により区部と多摩二か所で行っている再就職に向けた研修と就業あっせん事業を、19年度から新たに24病院で開始しました。 しかし、看護職員の不足はいまだ深刻な状況にあります。20年度は、この事業をさらに多くの病院に拡げていくとともに、事業内容の充実を図ることが、看護職員確保対策を一層促進していくことになると考えます。都の見解を求めます。 【アレルギー疾患対策】 厚生労働省研究班の全国調査によると東京都は小学生、中学生ともに気管支喘息の有症率は全国トップクラスで、小学生では6人にひとり、中学生では8人にひとりの喘息患者がいます。また喘息に加えアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎等を加えると何らかのアレルギー疾患をもつ子供は3人にひとりにのぼっています。 こうした患者数の多さとともにアレルギー疾患は、喘息、アトピー、食物アレルギー、アレルギー鼻炎結膜炎、薬物アレルギーなど幅が広く、従って日常生活、学校や保育園、幼稚園など、幅広く関わっていることから、子どもに関わる全ての職種の理解と協力のもとに、医師、心理療法士などコメディカルを含めたチーム医療体制を整える必要があります。 そこで、平成21年度開設予定の都立小児総合医療センターは、都におけるアレルギー疾患医療のセンター的機能を果たすことを目指すべきであり、そのためにはまず、専門診療としての「アレルギー科」を開設するなど、診療機能を強化していくことが何よりも必要と考えます。見解を求めます。 【中学校3年生までの医療費無料化問題】 次に、知事の選挙公約の柱の一つであります中学校3年生までの医療費の無料化について質問いたします。先に述べたように、今、小中学生のアレルギー疾患が増えるなど、子どもたちの医療費が家計を圧迫しております。 都は、都議会公明党の提案を受け、平成19年10月1日より、都内全域で義務教育就学期の小・中学生を対象とした義務教育就学児医療費助成事業をスタートさせました。これにより、保護者の自己負担額が3割から2割へと軽減されました。しかし、平成20年4月1日現在、23区すべてにおいて、所得制限なしで中学校3年生までの医療費が無料化されましたが、一方財政的に厳しい多摩の各市町村においては、医療費の軽減額の2分の1を負担しなければならないため、都の制度を受けて保護者の自己負担額を3割から2割へと軽減するのが精一杯であります。 多摩の市民からは、同じ都民でありながら何故このような格差が生じるのかとの声が上がっております。 そこで、都は、こうした各市町村の財政負担にも配慮をし、各市町村と協議の上で、現在実施されている医療費助成事業の実施要綱を改定し、すみやかに中学校3年生までの医療費の無料化に踏み込むべきであります。見解を求めます。 【コミュニティバスのシルバーパス適用】 東京都シルバーパス制度は高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉向上を図る目的で、平成12年から現行の制度がスタートしました。 この制度は、都内を運行する一般乗合バス事業者が全社加盟している唯一の公益法人である東京バス協会が事業の指定を受けて実施しています。 一方でコミュニティバスは、鉄道やバス路線が通っていない交通の不便な地域をなくそうと各自治体が積極的に関与して運行しており、近年この事業に乗り出す自治体が増加してきています。 現在、各自治体が運行しているコミュニティバスは121路線ありますが、東京都のシルバーパスの適用を受けているのは59路線にとどまっております。 コミュニティバスは公共交通の確保という公益的な観点から運行されるだけでなく、都のシルバーパス制度と同じ高齢者の社会参加を促す目的も有しています。 そこでコミュニティバスについても、各自治体の希望があれば、シルバーパスが使用できるよう検討すべきと考えます。見解を求めます。 【介護情報サービスの公表手数料について】 次に、今定例会に提出された介護情報サービスの手数料の改正について質問いたします。都議会公明党は、超高齢社会を迎えた東京の、介護現場の屋台骨を担う介護従事者の確保や待遇の改善、介護サービス事業所の安定経営などの課題を指摘し、その改善を都に求めてきました。 とりわけ、介護サービス事業者に対して義務付けされているインターネット上での介護サービス情報の公表に掛かる手数料負担については、適正な引き下げを求めてきました。 わが党の主張を反映させ、都はこの度の条例改正に伴い、公表手数料では約10%、調査手数料では約30%を引き下げるとしていることは評価するものです。 しかしながら、大変に厳しい経営状況の中、高齢者や家族のために介護保険制度を支えている介護事業者にとっては、この情報手数料が大きな負担となっていることには変わりがなく、効率的な調査方法によるコスト削減や制度自体の見直しが求められています。 例えば複数の事業を展開する1つの事業所に対し、サービスの種類ごとに異なる調査機関が2回3回と調査に訪れたり、また、公表されたインターネット情報へのアクセス件数をみると、1事業所あたり1ヶ月に2件程度であり、納めた手数料に見合った効果は見当たらないといった不満の声が高まっています。 そこで都は今後、介護サービス情報の公表制度について、調査の単位や周期など効率的なシステムの検討を含めた制度の見直しを、国に強く求めていくべきであります。見解を求めます。 さらに都は、今後予定されている調査対象サービスの拡大や、制度の見直しの際には、厳しい経営状況を抱えながら介護サービスの基盤を支えるため懸命に努力している事業者の状況を踏まえた対応をしていくべきです。見解を求めます。 【児童相談所の充実策】 子どもは、温かい家庭の愛情に包まれながら、養育されることが何よりも望ましいことです。親の離婚や病気などで家庭での生活ができない子どもや、親の虐待等により家庭で生活をさせるべきではない子どもが年々増加をしています。 児童相談所の中の一時保護所には、様々な理由で入所している子がいますが、特に顕著に増加しているのが児童虐待による入所です。総保護人員は10年間で約4割増加し、平均保護日数も平成9年度で25・2日であったものが平成18年度には35・5日と10・3日も伸びています。 都議会公明党は先日、東京都の一時保護所を視察しましたが、一時保護所は、一時保護が集中する時期でないにもかかわらず定員オーバーの状況でした。子どもたちの健全な養育のためには、一時保護所の増設をし、子供たちの安全を確保すべきです。都の見解を求めます。 【豊洲新市場問題】 石原知事の判断により、都が豊洲新市場予定地の土壌汚染を再調査した結果、土壌の一部から環境基準の4万3千倍、地下水の一部からも1万倍のベンゼンが検出されました。都民の多くは、今、強く食の安全が求められる中、なぜそのような土壌汚染された場所に築地市場を移転させるのかと、食の安心に対して不安を抱いております。 加えて、再調査の結果、汚染対策費は当初予定の670億円の2倍の費用がかかるとも言われており、そこまで巨額の税金を使って、あえて豊洲に移転する必要があるのかという疑問の声が上がっております。 都議会公明党は、再調査の結果、新たに浮き彫りになってきた課題について、専門的に検討し、中央卸売市場の方向性を決めていくための調査プロジェクトチームを党内に立ち上げ、検討を開始しました。 ところが知事は、過日の報道番組で、「外環とか圏央道が整備されていたらね、何も豊洲とか築地じゃなくたっていいんだけれども、でもやっぱり業者はですね。海から直に荷揚げしたいというんですね。もうそんな時代じゃないと思うんだよ」と発言されました。もしも、これが知事の本意なら、都議会公明党は「現在の豊洲移転計画をすべて白紙に戻し、都民の不信と不安を払拭すべきである」と強く申し上げたいと思います。 新市場の整備に当たっては、無駄な税金の支出を止めさせることは当然として、食品流通の安定と安全を確保し、都民の食生活を守ることが原点であります。また、「市場」は築地の場外市場が典型例であるように、鮮魚・青果の集荷場・取引場というだけでなく、人々のにぎわい、経済活力や観光エネルギーの源であったといっても過言ではありません。 また同時に新たな「市場」は、時代の進展に伴って変化する商品流通過程に的確に対応していかなくてはなりません。 こうした多様な課題と要請に応える新市場の整備であるべきであり、そして何より、繰り返しになりますが、都民の不信と不安の払拭が何よりも重要であります。 初めに移転ありきの議論は一切やめて、新市場整備の原点に立ち返って、すべての先入観、バイアスを排した再検討が不可欠であります。改めて、新市場整備について、知事の見解を求めます。 【新銀行東京問題について】 さる6月2日、新銀行東京は、2008年3月期の決算発表において確定した1016億円の累積赤字を解消するために、減資をする方針を明らかにしました。もとより新銀行東京の減資計画は、400億円の追加出資の際に提示された再建計画に盛り込まれていたものですが、これにより東京都の出資のうち約860億円が棄損されることになります。 新銀行東京の内部調査報告書においては、このような累積赤字を発生させた責任は、旧経営陣によるずさんな融資と過剰な拡大路線が原因であるとしています。特に、調達する資金の利回りを1・5%から1・7%で行い、大企業50社に対する貸し出し1000億円は、1%の利回りで行っていたのですから、言語道断としか言いようがありません。 改めて旧経営陣への徹底した責任追及を行うことを都民に対して明らかにすべきであります。 また、今回のずさんな融資の中には、35件の詐欺の疑いがある事件が含まれていることを新銀行東京は明らかにしました。この事件についても、刑事、民事の両側面から徹底して追及し、回収を行って行くべきであります。併せて、都の見解を求めます。 今回の減資は、まさに他の金融機関に新銀行東京を営業譲渡や業務提携することを睨んでの対応であると考えます。都議会公明党は、今、新銀行東京を破綻させると、新銀行東京が支援している赤字もしくは債務超過の5635社の中小企業を倒産に追い込むことになり、従業員・家族を入れると約18万人が路頭に迷うことになるため、4年間かけてソフトランディングさせていくことが何よりも重要であると考え、400億円の追加出資を決断いたしました。 従って、新銀行東京は、4年間かけて、累積赤字ゼロ、融資・保証残高を現在の4分の1、預金残高を20分の1にするという縮小再建計画を実現させた上で営業譲渡などを行い、追加出資の400億円を保全もしくは回収していくべきと考えます。改めて、都の見解を求めます。 この4月から、再建計画がスタートしたわけでありますが、再建計画では、先に述べた大企業への融資を縮小し、中小企業には、徹底した目ききを行って正常な融資先に4%から6%で貸し出しを行うと先の予算委員会で、わが党の質問に答えました。また、預金についても、1・5%から1・7%のキャンペーン金利をやめて、1%以下の調達利回りにすると述べました。この4月から融資の返済期日が到来し、預金が満期になるものが出てきております。そこで、こういった状況をタイムリーにチェックできるように、新銀行東京は、議会に対して、四半期ごとに決算報告を行うべきであります。見解を求めます。 最近の景気動向や金融環境は非常に厳しい状況にあり、大手銀行でも決算が大幅に減益となっています。縮小再建といっても安易な道のりではありません。そこで、新銀行東京は再建計画に明記されたモデルだけ実施するのではなく、東京都に新たに設置された金融監理室を窓口として東京都の様々な事業と連携していくべきであると考えます。都の見解を求めます。 【議会改革について】 最後に、意思決定機関としての、議会権限の強化について提案いたします。 言うまでもなく、議会は「政策形成」「行政監視」という2つの機能を有するとされていますが、とりわけ、平成12年の地方分権改革以降、「政策形成機能」の重要性が高まっています。 こうした中、全国的に加速しているのが、行政の長期計画や総合計画いわゆる基本計画を議会の議決事項とする動きであり、すでに20の県が条例制定を行っています。 基本計画等を議決事項とすることの狙いは、議会の監視機能を強化するというよりもむしろ、議会と執行機関が相呼応して、都民の意思をより反映させた、実効性の高い計画を策定するところにあります。 都議会としても、早急に、東京都行政に係る基本的な計画を、議会の議決事項と定める条例の制定に向け、検討を開始する時期に来たと考えます。各党各会派の御賛同を求めます。 |
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