予算特別委員会での新銀行に関する討論から
この問題に対しては、我々議会、そして知事にも当事者としての重大な責任があり、したがって都議会公明党は、その責任を強く自覚し、先送りや一時しのぎ、責任転嫁に終始することなく、あくまでも都民の負担を最小限に抑えることを原則に審議してまいりました。 この問題への対処は、当初から、預金保険法に基づく破たん処理、金融庁の認可による事業清算、そして、追加出資による事業継続の3つの選択肢に限られていました。 しかし、預金保険法に基づく破たん処理は債務超過が前提であり、現状では選択できません。しかし、仮に破たん処理をするとなるとおよそ470億円にも上る全国初のペイオフの発生、整理回収機構に債権が移ることによる数千社に上る中小企業の倒産が予想され、都民に与えるマイナスの影響は計り知れません。 また、金融庁の認可による清算処理も、預金者保護が条件であり、預金の払い戻しに備えて都は1000億円を準備しなくてはならないことが予算特別委員会の質疑で明らかとなりました。さらに、過去の資産処理の事例から融資のいわゆる焦げ付きが、融資残高の5割に達し、これもおよそ1000億円の損失につながることが明白であります。 「都民の負担を最小限に抑える」との我々の原則に照らせば、こうした選択を行うことは不可能であります。加えて清算処理は、協力銀行の存在が不可欠であり、打診を続けたものの、残念ながら未だ確保に至っておりません。 結局、追加出資を認めるか、否決するかの二者択一しか残されていない状況となってしまったわけであります。昨日の予算特別委員会締めくくり総括質疑で明らかになったとおり、追加出資を行わず事業を継続した場合、今年度末の決算の認定が不可能となり、それは正常な監査が行われないことも意味するため、事実上の破綻状態となることは不可避であります。 法に基づく破綻処理、あるいは清算処理であるならば、不十分ではあるとはいえ、事態の発生を予測し、事前の準備が可能でありますが、突然の破綻状態への突入は、発生する事態への対処は全て後追いになり、被害の範囲と程度はまったく予測不能であります。 コントロールが不可能な事態に追い込む選択を執ることは出来ません。 その半面、追加出資を認めるためには、400億円の根拠と再建計画の信頼性の確認が不可欠であります。都議会公明党は、本会議代表質問を皮切りに、予算特別委員会の代表総括質疑、締めくくり総括質疑で都の見解を質してまいりました。 答弁では、400億円の根拠として、非 期待損失に備えて125億円、金利や株価の変動への備えとして45億円、ファンド投資へのリスクヘッジとして100億円などと、積算の根拠が示されました。 また、再建計画の信頼性についても、収益率が高く設定された理由として、金利の低い大企業向け融資が減り、金利が比較的高い中小企業向け融資に特化する傾向にあること、資金調達コストについても預金金利を1%以下に抑えることが明らかにされ、計画の信頼性についても説明がなされ、一定程度、理解したところであります。 もちろん、こうした答弁だけでは重大な決定を行うには不充分であります。 さらに、都民に対する責任を明確にするため、以下の付帯決議を付することといたしました。 その第一は、今回の追加出資は預金者と融資先の中小企業を保護するためのやむを得ざる措置であり、再びの出資は認められないこと。 第二には、追加出資する400億円は断じて毀損させてはならないこと。 そして第三は、再建計画の円滑、かつ着実な実行のため都の支援体制、監視体制を専門組織として設置することであります。 繰り返しになりますが、今回の新銀行東京の問題は、旧経営陣の責任はもちろんありますが、我々議会と知事の責任も重大であります。 そうした責任を自覚するならば、発生する事態がまったく予測不能になるような選択は出来ません。追加出資をやむを得ざる選択として認める議会の意思を体して、知事ならびに理事者は、結束して新銀行の再建に取り組み、必ず都民負担を最小限に抑えることを強く要請いたします。 具体的には、議会に対して、四半期ごとの新銀行の経営状況を報告することを義務付け、議会の監視機能を強く発揮できる環境を整備すべきであります。 同時に、今回の追加出資に対する都民の理解を得る努力として、都の広報紙などを通じ、なぜ追加出資が必要か、あるいは、ほかの選択肢は選べなかった理由等を、詳細かつ丁寧に説明すべきであります。 新銀行問題の解決に向けて、都の最大限の努力を求めます。 |
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