平成24年《第4回定例会 代表質問》
10月25日、石原前知事は、突然知事を辞職する旨の記者会見を開き、10月31日に知事を辞職されました。記者会見を見ていて、「蒼穹の昴」でも描がかれていた中国清朝末期の改革者譚嗣同(たんしどう)の「仁がわからなくなるのは名のためである」という言葉を思い出しました。
知事の任期半ばでの辞職は、都政に大きな混乱を齎(もたら)したばかりでなく、首都直下地震に対する抜本的な防災対策や知事が発案した新銀行東京の新たなステージなど都政の重要課題についても道半ばのままとなりました。
今定例会においても、知事不在のままで議会を開催しなければならないという前代未聞の事態を招きました。知事と議会は、車の両輪と言われながら、このような事態になったことは、残念でなりません。今回の地方自治法の改正で、1年中議会を開ける「議会の通年化」が可能となりました。これにより、従来、知事に議会の招集権があったものが、事実上、議会側に担保され、不測の事態にも議会主導で対応できることになります。現在、「議会の在り方検討会」でこの通年化を含めた議会改革の議論を真摯に行っていますが、我が党も積極的に取り組み、都民が納得できる形を示してまいりたいと思います。
以下、都政の喫緊の課題について、技監並びに関係局長に質問いたします。
はじめに、被災地への支援について質問いたします。総務大臣も務めた前岩手県知事の増田寛也氏は、「政府が2012年を『復興元年』と銘打ったが、被災地にたいする日本全体の風潮は『忘却元年』になってしまった」と心配をされていました。
被災地支援は、現地の復興の進み具合に応じて、時々刻々(じじこっこく)とその支援内容を変化させていく必要があります。
我が党は、繰り返し被災三県を訪問し、現地関係者と意見交換を重ね、その都度、議会提案に活かしてまいりました。
【被災地応援ツアー】
被災地応援ツアーについて質問いたします。
我が党が東日本大震災の被災地を調査し、被災県の経済団体からの強い要望により実現した「被災地応援ツアー」は、本年度は原発事故の風評被害で観光客が激減した福島県を限定に、当初2万泊分が用意されました。この「被災地応援ツアー」は、予想を上回る反響があり、当初の2万泊分は夏休みを前に完売するという状況でありました。こうした状況を踏まえ、都がさらに2万泊分の追加予算を計上したことは、高く評価いたします。先日、都議会公明党を訪れた福島県の内堀副知事も「被災地応援ツアー」について「風評被害で苦しむ産業の背中を押していただいた。その効果は、はっきりと県民の笑顔に見えます。」と心から感謝をされていました。
福島県からの報告によると、本年度の観光客は震災前の70%で、「被災地応援ツアー」がなければもっとひどい状態であったとのことです。
いまだ、風評被害に苦しむ福島県の観光産業をもう一押しするためにも「被災地応援ツアー」を来年度も継続すべきであります。
見解を求めます。
その際、「被災地応援ツアー」については、福島県で宿泊した後、2泊目を他の被災県で利用できるようにし、被災地全体での経済復興に寄与すべきであると要望いたします。
【防災教育・視察】
豊かな自然が広がる被災3県では、東京の学校による教育旅行も活発に行われてきました。しかし、昨年の大震災や、原発事故による風評被害の広がりに伴い、その多くがキャンセルされました。都立高校においては、平成24年度に入り、福島県への部活動等での宿泊施設を利用した教育旅行の件数は、やや回復したものの厳しい状況が続いています。都議会公明党は、被災地の応援とともに、防災教育を推進する観点から、東京の教員による被災地での視察・研修を行うよう提案してまいりました。
これを受け、都教育委員会は今年度、防災教育推進校の教員の被災地訪問や、区市町村の指導主事による被災地での視察・研修を実施しました。また、宮城県への都の教員派遣をきっかけにして、都立三田高校と被災地の学校などとの間で、生徒同士の相互交流も生まれています。これらの取り組みは、教員だけでなく、東京の生徒たちの防災意識の向上につながっています。
都の教員による被災地訪問や、被災地と都立高校の生徒たちの交流は、防災教育を推進していく上で大変重要であり、こうした取り組みを今後さらに進めていくべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
【スポーツによる支援事業】
次に、被災地の子どもたちとのスポーツを通した被災地支援事業について質問いたします。都が、我が党の提案を受け、これまでもスポーツを通じた被災地の子どもたちへの支援事業を実施してきたことは、震災により打ちひしがれた子どもたちの心に希望と活力を与えた事業であると高く評価いたします。その中でも特に、被災地から子どもたちを招待し、東京の子どもたちと野球やサッカーの試合、合同練習などを行ったスポーツ交流事業は、被災地の子どもたちだけでなく、受け入れた都内の子どもたちや保護者に感動を与えました。我が党も、八王子市や東大和市、板橋区などで行われた交流事業に参加し、保護者からは「貴重な経験をさせてもらうことができた」との感謝の言葉や事業継続を望む声が届いています。
一方、「津波の恐怖で『水が怖い』、『プールに入れない』と言っていた子どもたちが、トップアスリートと一緒に水に触れ合うことで、恐怖心が薄らぎ、プールに入ることができるようになった。どんな心理療法にも勝る薬になった」という声が届いています。このようにアスリートとの交流も子どもたちの心のケアに大きく貢献しています。
スポーツを通じた被災地支援については、震災の記憶が薄れつつある今こそ、これを風化させることのないよう、継続をし、さらに拡充していくべきと考えますが、これまでの成果と今後の取組について、都の見解を求めます。
【被災地産品の消費拡大】
都はこれまで、都有施設のほか、都内の各事業者に協力を依頼して、被災地産品の産直市などを積極的に開催し好評を博しております。
しかし、被災地での農林水産物の収穫、生産体制が整うのは、遅れていた復興の取組みがようやく形となる、これからであります。
例えば、水産加工品の生産拠点でありました気仙沼市では、我が国有数の水産加工施設が津波で壊滅。その後も、地盤沈下の対策を行おうとしない国の体たらくによって、今も、加工場跡地は空地のまま広がっています。
一方、都内では、すでに東京商工会議所などが会員企業に向けて、消費拡大への協力を繰り返すなど、すでに精一杯の取組みが行われています。被災地の期待に応えるためには、我が国最大の消費地である東京の総力を結集した取組みを展開しなければなりません。
そこで都は、今後、被災地産品の消費拡大に向けた推進組織を立ち上げ、都民全体、都内の全企業と団体に協力を呼びかけ、創意工夫に富んだ粘り強い運動を展開すべきと考えます。見解を求めます。
被災地産品の消費拡大に向けた都内での取組みが効果的に被災地に伝わることは、エールを贈ることになるほか、都民の被災地支援に対する意識が強くなります。そのためにも、まずは、都内の外食産業、食品販売業界の取組みや、職員食堂を有する官公庁、企業、団体の取組みを調査し、都民や被災地の人々に向けて分かりやすく情報を発信すべきと考えます。見解を求めます。
【防災対策】
次に、東京の防災対策について質問いたします。
まず、帰宅困難者対策についてであります。
都は、来年4月の帰宅困難者対策条例の施行に向けて、先般、実施計画を取りまとめました。
東日本大震災当日、350万人の帰宅困難者が発生した事実を踏まえ、この大混乱の状況を二度と繰り返さないためには、何よりも一斉帰宅の抑制に実効性をもたせることが必要です。
そのためには、都民一人ひとりが家族との安否確認を確実に行える体制づくりが最も重要であります。
国や通信事業者に実効ある対策を講じるよう求めるとともに、都としても安否確認の体制づくりに具体的に取り組むべきであります。見解を求めます。
加えて、首都直下地震が発生すると、東京では、昨年の東日本大震災をはるかに上回る大混乱が生じることが明らかであり、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時 滞在施設を出来るだけ多く確保することが、きわめて重要であります。
我が党はこれまで、昨年の第2回定例会や本年の予算委員会において、東日本大震災の状況をつぶさに検証し、本条例制定への具体的な提言を行って参りました。とりわけ、一時滞在施設の拡充や民間企業への備蓄支援など、現場からの視点で、都の取り組みを強く求めてまいりました。
実施計画では、一時滞在施設について都立施設を率先して活用するとしておりますが、実際には、今年度末までに確保できるのは7万人分であり、残りは民間施設に頼らざるを得ない状況です。多くの民間事業者の協力を得られるよう、都は特段の支援策を講じるべきであります。見解を求めます。
次に、都市型集中豪雨等への防災対策についてであります。
都内において、近年、1時間に100ミリを超えるような局地的集中豪雨による浸水被害が発生しております。
都議会公明党は、神田川などの水害が顕著となった1976年に東京の総合的な治水対策として調節のための大規模貯水槽の設置を提案。さらに1979年、地下貯水方式を具体的に提案し、神田川、環状7号線地下調節池の整備へとつながった歴史があります。
今回の専門家による検討委員会の最終報告書では、既設の環七と現在事業中である白子川の地下を連結する広域の調節機能が、今後の河川整備を進めるうえで効果的な方策であると示しております。都は、最終報告書を受けて、目標とすべき整備水準や効果的な対策を示した新たな「整備方針」を策定しました。
今後、広域調節池による調節機能の流域間相互融通を早期に推進することなどにより、局地的集中豪雨や台風に対して、治水安全度の向上を図るべきと考えます。見解を求めます。
【中小企業支援】
次に、中小企業支援について質問いたします。リーマンショック、東日本大震災、そして今日まで長引くデフレ状況の中、都内中小企業は、年を越せるかどうかという瀬戸際に立たされています。
ただ今年の場合は、先の見通しさえつかなかった昨年の年末に比べ、年明けにはこれまでにない受注が見込まれているという企業が少なくありません。
しかし、これまでの不況の中で、苦渋の選択をした「返済条件の変更」により、新たな借り入れができず、年末の資金繰りに困っているとの声が上がっています。
あと一歩のところで立ち直れる中小企業を倒産させるようなことがあってはなりません。
こうした中小企業の現状を踏まえ、これまで以上に踏み込んだ年末の資金繰り対策を実施すべきであります。見解を求めます。
我が国では1980年代末から開業率が廃業率を下回る状態が続き、諸外国に比べ創業活動が低い水準にあります。国際競争力の地盤沈下に歯止めをかけるためにも、新たな産業の担い手である創業者への支援を積極的に展開していくことが重要であります。
創業はまた、不況の時ほど増える傾向にあり、現在のような経済状況のもとでは、創業支援は中小企業支援策として有効な手立てであると考えます。
大阪府の例ですが、製造業を中心とした創業促進のため法人事業税を10分の9軽減する優遇措置を平成13年度から続けています。この大きな減税分の使い道としては、設備投資、販路開拓、研究開発と回答した企業が多く、設立後、資金が足りない新しい企業にとって事業展開を進める上で的確な支援になっていることがうかがえました。
東京には、高度な技術を有するものづくり企業の集積をはじめ、多彩な産業の基盤があり、日本経済を支えています。しかし、長引く円高や需要低迷の影響を受け、廃業や海外移転などにより、1社また1社と貴重なプレーヤーが都内から失われています。こうした状況を打開するためには、都として税制面からインセンティブを与える、思い切った創業支援施策を展開していくことが必要と考えます。
一方、厳しい不況の中で企業が生き延びていくためには、成長が見込まれる分野への積極的な事業転換の道を切り開いていく必要もあります。事業転換には設備投資が不可欠であり、そのために投資経費などの負担増が伴います。大阪府では企業の設備投資の促進を図る目的で、法人府民税法人税割を10分の9軽減する施策が実施されていました。現行税制の中にあっても独自の施策展開が可能であることを改めて認識いたしました。都としても、事業転換も対象にした設備投資促進のための税制面からの優遇策も必要と考えます。あわせて見解を求めます。
また、創業者の負担を軽減するためには、空室が目立つ都内の民間ビルなどを活用したインキュベーション施設の設置促進が効果的であります。
とりわけ、若年の創業者にとっては、接客を可能とする受付人員や商談や打ち合わせに要する会議室スペースの確保が大きな課題であり、経費上も負担となっています。
都は今後、効率的な創業に必要な人的ネットワークの構築に向けた支援に力点を置くとしていますが、こうした課題の解決に向け、柔軟かつ積極的な運用を図るべきと考えます。見解を求めます。
【雇用対策】
次に、若年者雇用について質問いたします。
都内の雇用情勢は依然として厳しく、今年4月から6月の完全失業率は4.8%となっており、その中で15歳から24歳までは9.1%、25歳から34歳まででも5.4%と、若年者ほど厳しい状況となっています。
こうした中、東京しごとセンターにおいて、34歳以下のヤング、30歳から54歳までのミドル、55歳以上のシニアに分けて就労支援を行っています。
特に29歳以下のヤングについては、国のジョブカフエ事業によりキャリアカウンセリングやセミナー、職業体験を行っていますが、職業紹介は国のハローワークを活用しており、2011年度の就職率は55%にとどまっています。
これに対して30歳から54歳までのミドルは、職業紹介を民間の就職支援会社が、自らの求人情報を活用しているため、就職率は69.4%と7割近い数字になっています。
総合的な雇用対策を行うためは、東京都が国に代わって職業紹介権を持つことが望まれますが、改革までの間、29歳以下のヤングの職業紹介についても、ハローワークだけでなく民間の就職支援会社を活用すべきと考えますが、都の見解を求めます。
我が党はかねてより、若者を職業訓練に導くことの重要性を主張し、高校生に職業能力開発センターの魅力を積極的にPRすることを求めてきました。
都は現在14か所の職業能力開発センターで、ものづくりを中心に約6千名を対象に職業訓練を実施し、訓練修了生の就職率は70%以上を確保。 100%近い科目もあります。その中で、加工技術などは、募集の3倍を超える応募が殺到しながら、業界として安い外国製品の大量輸入に苦しみ、求人枠を容易に拡大できず、募集定員も広げられないという状況にあります。
都内のものづくり中小企業の技術水準は高く、大手先端企業の製品開発を支えるだけでなく、大量生産品には見られないブランド性を秘めています。そうした意味で、ニーズの高い産業界の受入れの拡充を図るなど、一層の取組みを強化すべきであります。都の見解を求めます。
【高齢者・障がい者支援策】
次に、高齢者・障がい者への支援策について質問します。
まず、高齢者向け医療と介護のサービス付住宅についてであります。急速な高齢化により、2015年には、都民の4人に1人が65歳以上の高齢者となる見込みであり、一人暮らしの高齢者や介護が必要となる高齢者の大幅な増加が見込まれています。
平成22年度に都が実施した調査によれば、特別養護老人ホームの新たな入所希望者数は約4万3千人であるのに対し、平成24年10月1日現在の定員数は38,476人であります。
したがって、高齢者が地域で安心して暮らしていくためには、多様な住宅の整備が必要となります。
こうした状況を踏まえ、都はモデル事業として、医療と介護のサービス付き高齢者向け住宅の整備を進めており、大都市東京の実情に即した住宅として、高く評価されております。
特別養護老人ホームなどの現在の整備状況を鑑みるとモデル事業の検証を前倒ししてでも、こうした高齢者住宅の整備を、早期に実施すべきであります。見解を求めます。
次に、高齢者等の転倒事故の防止についてであります。
厚生労働省が発表している人口動態統計の調査結果によると転倒・転落事故で亡くなる人の数は、平成22年には、7,500人を超え、交通事故の死者数を上回るという驚くべき数字が報告されています。
その内、平(たいら)な所での転倒事故の死亡者数は、高齢者を中心に年間4,000人を超えており、看過できない状況にあります。
また、近年では転倒事故で怪我をした人が、店舗等の施設所有者や管理者に対して、損害賠償を請求するなどの訴訟が増えています。危険防止措置をとらなかったことが過失認定されるなど、転倒防止対策が急がれます。
国は、本年7月バリアフリーのガイドラインを見直し、新たに危険項目として「床の滑り」を追加しました。
そこで、都においても事業者等にこのガイドラインの周知を早急に図るとともに、福祉のまちづくり条例の「施設整備マニュアル」を改定すべきであります。見解を求めます。
特に、都立建築物については、多くの都民が利用することから、過去にあった転倒・転落事故などの事例を踏まえ、誰もが安全で快適に利用できるよう施設整備を進めていくべきであります。見解を求めます。
次に、障害者用駐車場の適正利用についてであります。
近年、公共施設や高速道路のパーキングエリアまたショッピングセンター、コンビニなどの一般商業施設などに障害者用駐車スペースの整備が進んでいます。
しかし、せっかく設置された障害者用駐車スペースに健常者が駐車しているケースも多く、また、難病や内部障害者、妊産婦やけが人など一時的に歩行が困難な方が専用スペースに駐車した際、その必要性が理解されず、トラブルになるケースなども発生しており、その場所を必要とする方が利用できないとの声が多く寄せられています。
都議会公明党は、来年開催される全国障害者スポーツ大会に向けて、都内のバリアフリーを一層進める観点から、パーキングパーミット制度の導入など、繰り返し障害者用駐車区画の適正利用の推進を求めてきました。
都は、都立施設を含め実態調査の結果を踏まえた実効策に早期に取組むべきであります。見解を求めます。
【私学助成】
次に、私学支援について質問いたします。
東京では、公立学校とともに、多くの私立学校が独自の建学精神に基づいて優れた教育を実施し、公教育を担っています。
その教育力を存分に発揮していくために支援するのが私学助成であり、都政の重要施策の一つであります。
教育は「国家百年の大計」です。私学助成は、経常経費補助をはじめ、継続的かつ着実に拡充していくべきと考えます。都の見解を求めます。
子どもを私学に通わせる人の多くは、個性豊かな教育方針や校風で学校を選んでいます。どのような教育をするのか、どの学校で学ばせるのか、その選択肢を広げることが大切であります。
こうした視点から、父母負担の公私間格差をなくしてしていくために、現在、授業料等の負担軽減補助については、高校生が対象ですが、中学生にも補助をすることが求められています。併せて入学金に対する軽減補助の実施も要望しておきます。
次いで、留学生の支援についてであります。
経済のグローバル化の進展に伴って、外国人留学生を採用しようという日本企業が増え、2013年卒の採用で「採用する」または「検討中」としている上場企業が全体の6割に達するという調査結果があります。
その一方で、日本の学生は「内向き志向」と言われ、留学する学生が減っています。これでは、国際社会で活躍できる人材が育たず、日本が国際社会の中で取り残されていくことになりかねません。
都では、「可愛い子には旅をさせろ」と都立高校生の留学を支援していますが、私学では、それぞれの教育理念に基づき独自の留学制度をもっています。その取り組みを活かせるような留学支援を行うべきであります。都の見解を求めます。
【いじめ対策】
次に、いじめ対策について質問いたします。
子どもたちのなかで、いじめが原因の不登校や、ひきこもり、中途退学、非行、薬物乱用などの課題が頻発しております
保護者も子育てに悩み、うつ病を併発したり、児童虐待などにつながっているケースがあり、対策が急がれます。
現在都は、都議会公明党の提案を受け、全ての中学校と都立高校100校にスクールカウンセラーを配置していますが、全ての小学校や残りの都立高校にも配置すべきであります。専門家への相談をきっかけに解決への糸口を見つけ、一人ひとりを大切にする社会の構築を図るべきと考えます。見解を求めます。
文科省が先日発表したいじめの認知件数は全国で14万件を超え、これは今年度の上半期だけで昨年度の2倍を超えています。そもそも「いじめ」の定義や認知について、現状では学校間でさえ必ずしも一律ではなく、学校現場や保護者の対応だけでいじめの解決に取り組むことは、もはや限界を超えているとも指摘されています。
そこで、いじめ問題の解決に向けた「仮称・いじめ防止条例」を制定し、広く社会全体で発見と解決及び防止に取り組んでいく必要があると思います。そのための有識者会議を早急に立ち上げていくべきと考えますが、見解を求めます。
【エネルギー政策】
次に、エネルギーを有効利用する東京の都市づくりについて質問いたします。
環境負荷の少ない都市づくりを推進するためには、大規模な開発計画を作る早い段階から、未利用エネルギー等の導入検討を求め、エネルギーを有効に利用していくことが重要です。我が党は先般、東京スカイツリーとその周辺施設の冷暖房を一手に担う地域冷暖房施設を視察してまいりました。この施設では基礎杭に熱交換チューブを取り付け、地中熱を活用することで、エネルギー効率を高めるシステムを導入していました。
また、約7000トンの冷水や温水を蓄える貯水槽によって効率的なエネルギー利用が可能となっており、しかも、非常時には消防・生活用水としても提供できるようになっていました。
そこで、こうした地中熱などの未利用エネルギーの導入拡大や、エネルギーのエリアマネジメントを進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
次に、家庭におけるスマートな節電についてであります。エネルギー供給とともに、需要の抑制が重要であり、電力消費の3割を占める家庭における省エネ施策を進めなければなりません。
東京電力によると、今冬の電力需給見通しは、7.5%以上の予備率を確保できるとしていますが、必ずしも安定した供給とは言えません。
現に今月26日に予想外の寒さに電力需要が見通しより上昇し、東京電力は100万Kwの融通を他の電力4社へ緊急要請いたしました。
我が党は、需要の抑制には、ホーム・エネルギー・マネジメント・システム、いわゆるHEMS(ヘムス)を活用した電力の最適制御が有効であると提案してきました。今後、家庭における賢い節電をさらにスマートに進めるためには、HEMSと蓄電池、電気自動車の蓄電機能を活用するビークルtoホームシステムなど、複数の機器の連携による電力の最適制御を行うことが有効と考えます。都の今後の普及促進に向けた取組みについて見解を求めます。
【多摩振興策】
最後に、多摩振興について質問いたします。
都は平成13年に、「多摩の将来像2001」を策定し、2015年の多摩のあるべき姿と取り組みの方向性を明らかにしました。その取り組みの結果として、インフラ整備の分野では圏央道の着実な延伸や南北主要道路5路線の整備などの交通ネットワークの整備などが進展。また、産業サポートスクエア・TAMAの開設をはじめ、地域の中小企業への支援体制の充実が図られてきました。ハード面から多摩振興に向けた取り組みが着実に進展してきたところであります。
「多摩の将来像2001」の策定から10年が経過した今日、都は人口減少社会の到来や高齢化の急速な進展など、多摩を取り巻く大きな状況変化等を直視し、有識者や民間企業等へのヒアリング等を行い、新たなビジョンの策定を進めております。
一方で多摩地域においては、一人暮らし高齢者の増加や買い物弱者の発生などの課題も顕著となっており、地域の実態を踏まえたソフト面の施策の方向性も、新たなビジョンで明示していくことが必要であります。
各局とも十分に連携しつつ、生活者の視点を踏まえたソフト施策の方向性を明確に打ち出していく必要があると考えますが、見解を求めます。
また、ハード面のさらなる振興策として重要なのが、産業交流拠点の整備についてであります。
東京都の平成22年工業統計調査報告によると、多摩地域の市部の工業製品出荷額は、約4兆3千億円で、区部の3兆5千億円を大きく上回っています。
こうした状況を踏まえ、都は、計画の中において、多摩地域の産業集積を活かした施策を打ち出し、多摩地域のイノベーションを活性化するため、多摩産業支援拠点を昭島市に整備するとともに、広域的な産業交流の拠点となる施設を八王子市に整備することとしました。
企業や事業者を地域づくりの重要な担い手として位置付ける「新たな多摩ビジョン」を策定する今こそ、一日も早く、多摩地域の産業交流拠点を整備していく必要があると考えます。都は昨年度、拠点の整備に関する調査を実施しましたが、その調査結果と今後の取り組みについて、都の見解を求め私の代表質問を終わります。